暗号資産(仮想通貨)IOSTとは? 特徴と将来性を解説
IOST(アイオーエスティー)は、従来のブロックチェーンが抱えるスケーラビリティ問題の改善と非中央集権性に焦点をあてて開発が行われたブロックチェーンプロジェクトです。クレジットカードと同等の処理能力の実現を目指し、様々なサービスにIOSTが活用できることを目標としています。ブロックチェーン上で利用される暗号資産(仮想通貨)もまたIOSTと呼ばれています。プログラミング言語のJavaScriptに対応していることでDApps (分散型アプリケーション)が開発しやすい側面も持っています。
この記事では、IOSTの特徴と仕組みおよびその将来性について解説していきます。
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IOST(アイオーエスティー)とはどんな暗号資産(仮想通貨)?
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IOSTは、2018年1月に、中国人技術者Jimmy Zhong氏を始め、Terrence Wang氏、Justin Li氏、Ray Xiao氏、Sa Wang氏、Kevin Tan氏によって開発がスタートしました。
メインネットの公開は2019年2月25日です。
プロジェクト名のIOSTは、Internet Of Service Tokenの頭文字を取った名称です。ブロックチェーン上で利用されるネイティブトークンである暗号資産(仮想通貨)もまたプロジェクト名と同様IOSTと呼ばれています。現在IOSTは、IOST財団(IOST Foundation)という組織によって運営されています。
IOSTは、独自の次世代コンセンサスアルゴリズムであるプルーフ・オブ・ビリーバビリティー(Proof of Believability:PoB)を採用しています。PoBよって超高速の分散型ブロックチェーンネットワークを実現に成功しました。
IOSTの特徴
ビットコイン(BTC)を始めとする多くの暗号資産(仮想通貨)は、コンセンサスアルゴリズムにプルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work:PoW)を採用しています。PoWでは取引の合意形成時に、ネットワーク参加者同士による膨大な計算処理を必要とするため、大量の電力を消費するという問題点があります。
IOSTが採用するコンセンサスアルゴリズムのPoBは、膨大な計算処理を必要とせず、ブロックチェーンネットワーク参加者が保有するIOSTの量やネットワークへの貢献度(SERVI)の高さなどから選出された承認者によって取引が承認されるため、ネットワーク自体の情報処理速度を上げることができます。また、PoWの大量の電力を消費するという問題も解決します。IOSTのトランザクション処理は理論上1秒間に8000件の処理ができるといいます。これはクレジットカードのトランザクション処理の約2倍の速さになります。
IOSTはスマートコントラクトによるDAppsの開発が可能な分散型アプリケーションプラットフォームでもあります。IOSTのスマートコントラクトはJavaScriptによるプログラミングが可能であるため、多くのエンジニアがDAppsの開発に参加できます。
暗号資産IOSTは、総発行枚数が900億枚と上限が決められています。
IOSTの仕組み
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IOSTの仕組みで重要なのは「PoB」、「JavaScriptによるプログラミング開発」です。詳しく解説します。
コンセンサスアルゴリズム「PoB」
IOSTはスケーラビリティの問題を解決するために、非中央集権性を確保するPoBを実装しました。PoBと似たコンセンサスアルゴリズムにプルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake:PoS)があります。PoSはブロック承認者を暗号資産の保有量によって決定します。PoSは膨大な計算を必要としないために、PoWよりも電力消費が少ないという利点がありますが、暗号資産の大量保有者に権力が集中してしまう問題が指摘されています。
PoBは、ブロックチェーンネットワークに参加するノード(コンピューター)が保有するIOSTの量の他に、ネットワークへの貢献度(SERVI)など複数の条件を組み合わせてブロック生成権を算出し、ブロック承認者を決定します。これにより、PoSのような特定ノードの寡占化を防ぎ、ネットワーク自体の情報処理速度を上げることができます。
さらに処理速度を上げるためにIOSTは、シャーディング技術を採用しています。シャーディングは、簡単にいうとデータ分割処理技術です。トランザクションの処理をグループ分けし、複数のノードに分散させることで、ネットワークの負荷を軽減できます。
IOSTに実装されたシャーディング技術は、「効率分散型シャーディング(EDS:Efficient Distributed Sharding)」と呼ばれています。EDSは、ブロックチェーンの処理をシャードというグループ単位にノードを分割し、トランザクションを並列処理します。それによってブロックチェーンのスケーラビリティの問題を解決します。
シャーディング技術では、ノードをどのようにグループ化するかが難易度の高い技術になっています。EDSは、DRP(Distributed Randomness Protocol)という独自のプロトコルで、ノードをランダムに振り分けることで、公正かつ安定した状態でノードのグループ化を実現します。
JavaScriptによるプログラミング開発が可能
IOSTは、プログラミング言語の中でも簡単かつエンジニアが多いといわれているJavaScriptによってスマートコントラクトを記述でき、誰でも容易にDAppsの開発が可能です。他のブロックチェーンと比べて参入障壁が低く、IOSTによるDAppsの展開、様々なDeFiの誕生が期待されています。
また、JavaScriptはWebサイトやゲームなどでも広く使われていることから、IOSTによるDApps開発はWeb3.0に関連した開発にも利用できるのではないかと注目されています。
IOSTのユースケース
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IOSTは2019年からDeFi市場にも加わっています。これまでDeFiはイーサリアムを基盤にしたサービスが主流でしたが、イーサリアムのガス代(手数料)高騰の折、それよりも手数料の安いブロックチェーンが注目されるようになり、イーサリアム以外のブロックチェーンに移行する動きも出てきています。そうした移行先の一つとしてIOSTは注目されています。
ブロックチェーンゲーム分野においても動きがあります。分散型アプリケーションの開発を行うエバーシステムは2019年4月、ブロックチェーンゲーム「CryptoNinja(クリプトニンジャ)IOST版」を公開しています。CryptoNinjaは、先行してイーサリアム版が稼働していましたが、手数料の安いIOST版を新たにローンチしました。
IOSTは2021年7月21日、IOST初のマルチチェーンNFTマーケットプレイスRevivalを公開しました。Revivalはチェーン上のアートワークをトークン化できます。Revivalにより、スマートコントラクトアドレスを持つユニークで検証可能なNFTアートワークを生成することが可能になりました。Revivalでは、4つの簡単なステップに従って、NFTを作成でき、Revival NFTマーケットプレイスに出品することが可能です。
IOSTの今後や将来性は?
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2021年3月、エバーシステムが、大学発ヘルステックベンチャーのプラクスと共同で、IOSTブロックチェーンのプライベート環境を採用したプロトタイプの医療データ共有プロジェクトの技術的検証を行いました。ブロックチェーン技術により改ざんがほぼ不可能な状況で医療および健康記録を保存し、個人が特定できないようにした上で医療健康データを共有する研究を行いました。このようにIOSTは、金融のみならず医療分野でも応用される可能性が見えてきました。これもすべてDAppsの開発が容易であることが理由の一つになっています。
また、IOSTは2022年3月、クロスチェーン・ブリッジ・プロジェクトEntroverse(エントロバース)の発表を行いました。エントロバースは、イーサリアム・プロトコルをIOSTブロックチェーン上に統合することが可能になります。
それによりIOSTユーザーは、EVM(イーサリアム仮想マシン)ベースのアプリケーションとそのオンチェーンアセットを、将来的にIOSTネットワーク上で利用することができるようになります。プロジェクトには、IOSTスワップのクロスチェーン・ブリッジを皮切りに、EVMとの互換性の実現、Web Assembly (Wasm) サポートの開発、さらには開発者への支援など、様々なソリューションが含まれます。詳細については2022年4月現在、今後段階的に発表される予定です。
こうした動きの中でIOSTは、次世代プロジェクトの育成促進を目的とする、EVM関連開発者向けに1億ドル(125億円相当)のファンドを立ち上げています。ファンドは、エントロバースに関する支援も目的の一つとしています。
IOSTは2021年10月に日本ブロックチェーン協会(JBA)に加盟したことを発表しました。ブロックチェーンプラットフォーム自体がJBAに加盟するのは珍しいことです。IOSTは、先端技術の普及活動と社会実装に貢献することが加盟の目的であると発表しています。
IOSTは、2018年の日本での活動当初から、日本の学生向けにブロックチェーン技術の理解と潜在的なエンジニアの育成の活動を続けてきました。2021年9月には9つの大学と教育機関、300名以上の学生に、ブロックチェーン技術の基礎の理解とスマートコントラクトのワークショップを無償提供しています。
まとめ
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IOSTに関するニュースは、2022年になってからも益々増えつつあります。これまでにも新たなDeFiサービスやNFTマーケットプレイス、またメタバースやWeb3.0に展開していく話など枚挙に暇がありません。
IOST自身もまだ完全に開発が終わったわけではありません。すでに公開されているIOST Explorer、iWalletプラグイン、アカウント作成システムなど、IOSTインフラストラクチャの開発、保守、およびアップグレードの予定も組まれています。前述のエントロバースのプロジェクトもこれからが本番です。
また、今後の予定にはIOST開発者ツールを開発し、DeFi、NFT、GameFi、およびメタバースのエコシステムアプリケーションを強化していくこともロードマップとして組み込まれています。
これらがすべて完成した暁には、当初のIOSTの目的の一つであった様々なサービスにIOSTを活用するという目的の実現の可能もより高くなるのではないでしょうか。IOSTもまた、今後も見過ごせないブロックチェーンの一つのようです。
※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。
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