スケーラビリティ問題

スケーラビリティ問題はビットコインが抱える難題

ビットコインにおけるスケーラビリティ問題とは?

スケーラビリティ問題とは、暗号資産(仮想通貨)に用いられているブロックチェーン技術において、1つのブロックの中に書き込めるトランザクション(取引データ)の数が限られていることが引き起こす障害の問題です。ブロックの容量がフルに達するまでデータが書き込まれると処理速度がにわかに低下し、送金遅延を引き起こしてしまいます。

特にビットコインにおいては、スケーラビリティ問題が非常に深刻視されてきました。なぜなら、ビットコインのブロックサイズは1MBに制限されており、すぐに満杯となってしまい、アルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産(仮想通貨))と比べて処理速度が遅れがちだからです。ブロックに入りきらなかったデータが増えれば増えるほど処理能力は低下し、送金の遅延のみならず、送金要求も承認されないといった事態も発生します。また、そういった状況下で迅速な処理を求めると、ビットコインの購入者がマイナー(ビットコインの採掘者)に対して支払う取引手数料が高くなってしまいます。

ビットコインは、最も大きなシェアを獲得しており認知度でも群を抜いているだけに、先々ではビットコインが日常的な決済においても最も選ばれやすい暗号資産(仮想通貨)となる可能性が十分に考えられます。したがって、ビットコインのスケーラビリティ問題はそのような時代が訪れるまでに抜本的に解決する必要のある重要テーマだと言えそうです。

実際、ビットコインにとってスケーラビリティ問題は、「51%攻撃」の問題とともに、真っ向から取り組むべき課題だと指摘する専門家もいます。

51%攻撃とは、悪意のある個人もしくは集団がビットコインの過半数に相当するマイニング(採掘)能力を掌握してしまうことです。そうなると、正当な取引を拒否する一方で、不正な取引を正当化したり、マイニングを独占したりすることが可能となります。

スケーラビリティ問題の解決策とは?

話をスケーラビリティ問題に戻すと、その解決策としては、①ブロックの容量を拡大する、②ブロックに書き込む取引データを縮小する、③ブロックが生成される時間を短縮する、④ブロックチェーンの外で取引を行うといったものが考えられます。

ブロックの容量拡大は手っ取り早い解決策のように思われますが、その弊害も考えられます。容量が増えると、マイニングにおいてマシンにかかる負荷も増します。このため、大がかりな規模で採掘を行っているマイナー(採掘者)と比べて、小規模なマイナーが新たなブロックを発見できる確率が下がり、妙味が薄れてしまった後者が撤退を余儀なくされかねないからです。そうなると、一部の大規模なマイナーによる寡占化が進みがちです。そして、下手をすれば「51%攻撃」が可能なレベルに達してしまうと、不正がはびこってしまう恐れも出てきます。

その点、取引データの縮小化は弊害が比較的少ない策だと言えそうです。ソフトフォークとも呼ばれ、縮小化を図るために、暗号資産(仮想通貨)の仕様を変更します。ブロックチェーンをいったん分岐(枝分かれ)させるプロセスが発生するものの、旧ルールでつながっているチェーンと新ルールに沿って生じ始めたチェーンとの間には互換性があり、やがては収束(一本化)されて永続的な分裂には至りません。この具体的な手法としてよく用いられているのは、Segwitと呼ばれているデータ圧縮技術です。

さらに、ブロックの生成時間短縮化もスケーラビリティ問題の解決につながるとはいえ、同時にもたらせられる弊害を看過できません。送金は円滑になるものの、ブロックチェーンの分岐(枝分かれ)が自然発生しやすくなり、それに伴って二重支払いなどのトラブルが発生し得ると考えられています。

残るブロックチェーンの外での取引については、すでにライトニングネットワークやサイドチェーンといった具体的な手法が考案されています。ただ、ライトニングネットワークはセキュリティ面などに課題を抱えているのが実情です。サイドチェーンはリスクというアルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産(仮想通貨))で採用されていますが、こちらもセキュリティ面に不安があると言われています。

1つのブロックの中に書き込めるトランザクション(取引データ)の数が限られていることで、送金遅延などの障害を引き起こすスケーラビリティ問題は、ビットコインが一般の人々にも本格的に普及していくうえで、根本的な解決が求められます。

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