ステラルーメン(XLM)とはどんな暗号資産(仮想通貨)?特徴を解説
2019年以降、日本の暗号資産交換業者でもステラルーメン(単位: XLM)の取り扱いが始まりました。ビットコインやイーサリアム、リップルに比べると、日本ではステラルーメンはあまりメジャーではないかもしれません。そこで今回は、ステラルーメンがどのような暗号資産なのか解説しましょう。
ステラルーメン(XLM)とは?
ステラルーメン(単位: XLM)は、リップル社の元開発者・共同創業者であるジェド・マケーレブ氏によって開発された暗号資産(仮想通貨)です。時価総額ランキングでは14位となっています(2020年3月5日現在)。
ステラルーメンの発行上限数量はリリース直後は1,000億XLMで、発行上限数量が毎年1%ずつ増える仕組みになっている点がビットコインやイーサリアムと異なる特徴です。また、ビットコインのマイニング(採掘)のような仕組みは存在せず、ステラルーメンは全数量が発行済みです。運用が始まった2014年から2019年までは、供給量が毎年1%増える仕組みを採用していたものの、2019年10月にステラルーメンのコミュニティによる投票を経て、新規発行が終了しました。
また2019年11月には、後述の「ステラ開発財団」(SDF。Stellar Development Foundation)が、所有している550億XLMを焼却(バーン)しています。この焼却によって、ステラ開発財団の所有するステラルーメンの数量は、300億XLMとなりました(市場に流通しているステラルーメンは約200億XLM)。なお、同財団は今後さらなる焼却は予定しておらず、向こう数年間かけて市場にステラルーメンを放出していく予定です。
暗号資産(仮想通貨)の焼却(バーン)とは?
ここで焼却(バーン)について簡単に解説しておきましょう。焼却とは、発行済みの暗号資産(仮想通貨)の数量を減らすことで、価値の減少によるインフレーションを抑える手法を指します。主として、暗号資産の価値を向上させる目的で実施されています。
一般的に暗号資産の焼却は、誰も秘密鍵を持っていないアドレスに暗号資産を送付することで行われます。例えば「0000・・・0000」といったように、すべてゼロで構成された保有者が存在しないアドレス(秘密鍵から導出されたものではないアドレス)に暗号資産を送ると、その暗号資産は誰も使えなくなるのです。なお、アドレスから秘密鍵を導出することは、計算量的に限りなく不可能に近いといわれています。
また、暗号資産の焼却は通常、計画的に行われます。そして、暗号資産の取引履歴は誰でも閲覧できるので、送付者が焼却用アドレスに暗号資産をいつどのくらい送付したのかをブロックチェーン上に記録として残せます。
「ステラ」とステラルーメン
2014年7月31日、マケーレブ氏は特に個人が国際送金に使うことを目的としたブロックチェーン「ステラ」(Stellar)を立ち上げました。マケーレブ氏は、銀行口座を持てない新興国の人々をはじめ、十分な金融サービスにアクセスできない人々に対する金融包摂を達成する解決策として、ステラを提示しています。
ステラの主な開発・運営は、ステラ開発財団という非営利団体が担っています。ビットコインなど多くの暗号資産(仮想通貨)とは異なり、中央集権的な暗号資産・ブロックチェーンとなっている点が特徴的といえるでしょう。
またマケーレブ氏は、金融機関を中心とした法人向けの国際送金ネットワークを提供するリップル社の開発者・共同創業者でもあり、ステラ自体はリップル(XRP)の分散型台帳技術をベースとしています。リップル(XRP)とステラルーメンの大きな違いは、リップルが法人向けであるのに対し、ステラルーメンが個人間における送付を主なターゲットとしている点だといえます。
ステラ上で流通するステラルーメン(XLM)は、異なる通貨同士のトレードを橋渡しする「ブリッジ通貨」として利用されており、送付にかかる時間は5秒前後とされています。また、送付にかかる基本的な手数料は、0.00001XLMです。国際送金を素早く安価な手数料で行えるという点は、リップルとステラルーメンに共通する特徴であり、今後両者がどのように市場を獲得していくかは注目すべきポイントだと考えられるでしょう。
なお、ステラルーメンには「ストループ」(stroop)という単位があり、「1XLM=1,000万stroops」となっています。例えば手数料0.00001XLMの場合なら、100ストループと表記されます。
「ステラ」ブロックチェーンの全体像
ブロックチェーンとしてのステラは、さまざまな数の組織・個人が設定・管理する「Stellar Core」(ステラ・コア)ノードから構成されており、暗号資産(仮想通貨)のウォレットや外部のアプリ、決済サービス事業者などとステラ・コアが通信する際の仲介役となる仕組み(API)「Horizon」(ホライゾン)が機能しています。
またステラでは、独自のコンセンサスアルゴリズム「Stellar Consensus Protocol」(SCP)が導入されています。SCPを簡潔に説明すると、ステラ・コアで構成された合意形成を行うためのネットワーク(Quorum)において、3分の2のノードが同意した取引データが同期されていく仕組みとなっています。
デジタル資産(アセット)を発行可能
ステラブロックチェーン上では、デジタル資産(アセット)を新たに発行できます。この点はイーサリアムと似ており、米ドルトークンや円トークンといった法定通貨のデジタル版(1ドル=1ドルトークンの比率で交換できるステーブルトークン)の作成も可能です。
実際にステラ上ではステーブルコインが流通しており、事例としてはドルと1対1で交換できる「AnchorUSD」などが挙げられます。なお、ステーブルコインとは、法定通貨、金やダイヤモンドなどの現物資産(の価格)と連動することで、価格を一定に保つようにした暗号資産(仮想通貨)の一種です。ステーブルコインは、別名ペッグ通貨(ペッグ/pegは「釘で固定する」の意)と呼ばれています。
ステラ・スマートコントラクト
ステラ上ではスマートコントラクトを実行できます。スマートコントラクトとは、プログラムによってあらかじめ決められた処理を自動執行できる仕組みであり、当該プログラムを事後的に変更・改ざんすることは困難です。
スマートコントラクトに対応したブロックチェーンとしてはイーサリアムが有名ですが、ステラとイーサリアムの大きな違いが2点あります。ひとつは、ステラにはスマートコントラクトに特化した開発用の言語がないこと、もうひとつはEVM(Ethereum Virtual Machine)のようなスマートコントラクトの実行環境がないことです。
その代わりにステラでは、価値の送信や保存、取引に特化した、非常にシンプルな「ステラ・スマートコントラクト」(SSC:Stellar Smart Contract)を提供しています。なお、ステラのブロックチェーン(メインチェーン)上のSSCは、条件とロジックがステラとは別に作成され、SSCの参加者が条件を同意した場合に、トランザクションが実行されます。
ステラルーメンの今後、2020年以降の動向は?
2019年5月、ステラ開発財団の新CEOとしてダネル・ディクソン氏が就任しました。同氏のCEO就任以降、ステラ開発財団はコミュニティとの関係強化をうたったイベントの初開催、ステラ開発財団自体の人員増強、開発者支援策の強化などを実施しています。これらはステラルーメンの長期的な価値向上を見据え、その足がかりを構築しているといえるでしょう。
直近の価格という点では、IBM社による国際送金プロジェクト「IBM World Wire」の動向に注目です。ステラはIBM World Wireにおいて国際送金を実現する仕組みとして採用されています。IBM社は関連施策をいくつか打ち出しており、ステラルーメンでの投資を考える方はまずその最新情報を収集するといいでしょう。
これら今後の動向については、以下コラムにまとめていますので、ぜひご確認ください。
参考コラム: 「ステラルーメンの価格動向を知るには?今後や将来性は?」
ステラルーメンは、DMM Bitcoinで売買できる
DMM Bitcoinでは、2020年2月19日から、レバレッジ取引でステラルーメンの取扱いを開始、2021年9月15日から現物取引の取扱いを開始しています。
「現物取引」とは?
暗号資産の取引には2種類あります。まずはそのひとつ「現物取引」の説明から始めましょう。
「現物取引」とは、売買の都度、日本円や暗号資産の受け渡しが発生する取引で、ユーザーが口座に入金した資金の範囲内で暗号資産を売買することができます。お店で現金で商品を購入(販売)するイメージと言えばわかりやすいと思います。最初に暗号資産を購入することからスタートし、その暗号資産の価格変動を見て売却して利益を得るといったことが可能です。具体的には、トレード口座に10万円が入金してあれば10万円分の暗号資産を購入でき、価格が値上がりしたタイミングで売却すれば差額の利益を得られるというわけです。
DMM Bitcoinでは、現物取引の対象暗号資産として、今回説明しているステラルーメンのほかにもビットコインやリップルなど複数の銘柄を取り扱っています。取扱い銘柄については「取引概要」のページをご覧ください。
レバレッジ取引の特徴は?
レバレッジ取引とは、一定額の資金(証拠金)を担保として事業者に預け入れ、手持ちの資金よりも大きな金額で売買を行える取引方法のことです。例えば、暗号資産(仮想通貨)の現物取引であれば、手持ちの資金が10万円なら最大10万円の取引しかできません。一方で、倍率2倍のレバレッジ取引の場合は、10万円の証拠金を預け入れれば、最大20万円分の取引が可能です。
またDMM Bitcoinのレバレッジ取引では、取引ごとの現物暗号資産(ステラルーメン)の受け渡しは行われません。暗号資産の売買(新規注文と決済注文)を行い、その差額の現金(日本円)のみを決済時に受け渡す「差金決済」が採用されています。
レバレッジ取引の注意点
レバレッジ取引に関する注意点は、わずかな価格変動でも損失が膨らむリスクがあることです。暗号資産(仮想通貨)は価格の変動幅(ボラティリティ)が大きく、取引にはストップ高・ストップ安といった仕組みもないため、価格の上昇または下落が続く可能性があります。最新情報を常に確認しつつ冷静な判断を心がけ、余剰資金の範囲内で取引を行いましょう。
ステラルーメン(XLM)まとめ
ステラルーメンは、リップル社の元開発者・共同創業者であるジェド・マケーレブ氏によって作られた暗号資産(仮想通貨)です。高速かつ安価な国際送金を実現するために独自のコンセンサスアルゴリズムを採用しており、国際送金ネットワークとして一定の存在感を示しています。トークンの発行やシンプルなスマートコントラクトに対応しているため、ステーブルコインをはじめとした多様なユースケースが想定されます。
※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。
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