迫るスタグフレーション懸念、BTC(ビットコイン)はどうなる?

Daily Market Report 2022/6/30

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当社取扱い19銘柄の騰落率

騰落率ランキング(期間2022/6/19 – 2022/6/25)
当社クローズレート(Bid)より作成

上図は、先週1週間(2022/6/19~2022/6/25)における当社取扱い銘柄の騰落率のランキングである。

BCH(ビットコインキャッシュ)以外の銘柄がプラスに転じ、上位11銘柄が+10%を超える上昇となっている。

なかでもENJ(エンジンコイン)は40%近い上昇、BATは30%に迫る高パフォーマンスであった。

ENJが上昇した背景としては、6/18に50円を割ったことによる、割安感による買戻しが考えられる。

実際、ENJは年初の価格が300円台と、現在の価格と比較して3.7倍もの価格であった。

他銘柄と比較してもENJほどの割安感は無いことと、ENJのニュースが乏しいことから買戻しと考えるのが妥当であろう。

また、BATについては6/22のレポート(Daily Market Report 2022/6/22「急反発のBAT(ベーシック アテンション トークン)、IE終了によるBraveブラウザへの注目も?」参照)で記載のとおり、IEサポート終了によるBAT固有のファンダメンタルズが下支えとなり6/24に55円のレジスタンスにチャレンジしている。

現在は48~55円のレンジを推移しているが、今後の動向にも注目しておきたい。

一方で、暗号資産の代名詞となるBTC(ビットコイン)は+5.74%とパフォーマンスは芳しくないものの、何とかプラス域で先週を終わることができたようだ。

細かい動きを見てみると、6/18に250万円を割り込んだ後に反発局面を向かえたが、米株式市場の戻りも鈍く、BTCも300万円が意識されると上値が重い動きとなった。

さらに今週(6/26~)に入ってからは3日連続で陰線であり、上昇のきっかけをつかめない展開が続いている。

本稿では先週から今週にかけて起こった暗号資産市場のニュースから、今後のシナリオを想定してみる。

BTCのチャートで見る先々週からのニュース(6/18~6/28)

BTC/JPY 日足 Bidチャート(当社取引ツールより作成)
BTC(ビットコイン)のチャート・価格情報はこちら

上図は、2022/6/18~2022/6/28のBTC/JPY日足Bidチャートに先週のニュースを記載したものである。

6/18の下落、6/19の反発が目立つが、何があったのか。ニュースとともに振り返る。

初めに、大幅下落となった6/18は、2020/12以来となる安値232万円を記録した。

同日は、香港の大手暗号資産融資サービスBabel Financeが顧客資金の出金停止を発表した(6/18 Coinpost)。

それに加えて、米連邦準備制度理事会(FRB)が27年ぶりとなる0.75ptの利上げを決定したほか、スイス国立銀行が15年ぶりの利上げを実施した。

さらには、イングランド銀行も5会合連続の利上げを実施するなど、投資家心理的にマイナス材料が多い中でのニュースとなり、大幅な下落が発生したと考えられるだろう。

翌日6/19の終値は270万円を超えた。同日は付近に大きなニュースが無いことから、前日の1年半ぶりに安値を記録したことによる反発だと考えられ、BTCの価格はその後、260~290万円台で推移している。

6/22、機関投資家向けに無担保ローンを提供するDeFi融資サービスMaple Financeが、6/18の暗号資産大手融資サービスの出金停止により約13億円の資金が拘束されていることを発表。

両者のローン契約の満期まで数週間の猶予があるものの、当DeFiプロトコルの性質上、貸し手の出金対応に応じられない可能性があるようだ(6/22 CoinPost)。

また、上図のチャートに記載はしていないが、6/29にはカナダの上場企業Cypherpunkが保有するBTCとETH(イーサリアム)をすべて売却したことが報じられた(6/29 CoinPost)。

同社は売却の理由について、「傍観することが最も懸命なアプローチであると信じている」とコメントしているが、このような動きが、今後、暗号資産の保有を明言している他企業に影響を与えるのか注目したいところだろう。

6/20から値動きの乏しいBTCだが、今後はどうなるのか。

最後にファンダメンタルズの観点から検討する。

ビットコインを取り巻く動きは…?

金融引き締めやウクライナ情勢、USTC(テラクラシックUSD)のディペッグ騒動など、マイナス方面の出来事が多い中、BTC自体の好材料は乏しいものの、イーロン・マスク氏が改めて「DOGE(ドージコイン)を応援する」との発言や、イーサリアムの大型アップデート「ザ・マージ(The Merge)」など、アルトコイン関連のニュースが散見される。

これらのニュースによりアルトコインが市場を主導した場合、暗号資産市場全体の盛り上がりに繋がることが考えられる。

暗号資産市場が盛り上がれば、各国の金融引き締めの影響で伸び悩む株式市場等から、逃避資産として暗号資産が再燃し好循環する可能性も考えられるだろう。

こうした、アルトコイン主導の相場上昇から逃避資産として暗号資産が注目される流れは過去にも起きたことがある。

2019/5の株式市場は、ナスダック総合指数と日経平均株価が前月比-7%を超え、市場の冷え込みが見えた。

反対に、暗号資産市場はETHのプロジェクト進行状況への期待や、それに伴うトランザクション数の大幅増加などにより、ETHが市場を牽引。他アルトコインやBTCもそれに追従する形となっていた。

一方で、象徴的な原油価格の上昇に見られるようにグローバルなインフレリスクは引き続きマーケットのかく乱要因となりそうだ。

引続き各国の金融政策が引き締め傾向を強めれば、株式市場の下落とそれに連れられる形で、暗号資産市場にも逆風が継続する流れは警戒したい。

5月の消費者物価指数(CPI)が4月から上昇したことを受けて連邦準備理事会の利上げペースが上がるという観測が起こり、実際に6月の連邦公開市場委員会(FOMC)では75bp(ベーシスポイント)の利上げが実施された。

7月も引き続き50bpないしは75bpの利上げも濃厚となっているが、利上げの影響が実態経済の悪化に繋がるリスクが徐々に織り込まれつつある。

6月28日に発表された米国消費者信頼感指数は、2021年2月以来の低水準となる98.7でとなっており、GDPの中で最も大きい消費の先行きに不安が高まりつつある状況だ。

個人消費が落ちこめば景気の悪化は避けられず、いよいよスタグフレーション(景気後退とインフレの同時進行)が顕在化することになるだろう。

今後も重要な経済指標が目白押しであり、6/30に発表される5月の米個人消費支出(PCE)、7/8の雇用統計と目が離せない展開が続く。

現在、BTCは米株指標、とりわけナスダック指数との相関性が高いとされており、5/22時点の30日間の相関係数は0.82であった。

上述したようにアルトコイン主導で値が動くことがあれば、米株指標との相関関係は乖離し、経済指標から受ける影響も軽くなることが考えられるだろう。

しかし、このまま相関関係が続くようであれば、株式市場と同じように経済指標の影響を強く受けてしまうかもしれない。

経済指標の結果が景気後退を裏付ける内容となれば、米国株、ナスダック指数の下落も強くなり、これを受けてBTCが再度調整する展開には注意が必要だ。

(6/29 午後4:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

6/29の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は-2.34%、中央値は-3.00%、標準偏差は1.96%となった。

最大上昇銘柄はBAT/JPYの1.70%、最大下落銘柄はDOT/JPYの-5.12%

最大上昇銘柄のBAT/JPYは、一目均衡表の雲下限(4時間足)で反発し、依然として厚い雲の中にいる。そして現在推移している52円付近は、1ヶ月ほど続いた前回レンジのレジスタンス付近である。

4時間足のスローストキャスティクス(14,3,3)は50付近であり、方向性がつかめない状態のようだ。

最大下落銘柄のDOT/JPYは、一目均衡表の雲下限(4時間足)付近でオープンしたが、レジスタンスとはならず、前日の下落の勢いのまま続落した。16時以降に三役逆転となり続落の可能性がうかがえるが、4時間足のスローストキャスティクス(14,3,3)は20と売られすぎ水準に位置している。

24時間ボラティリティ(%)

社内データより作成

6/29の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は6.57%、中央値は7.02%、標準偏差は1.67%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はBCH/JPYで10.12%

一方、最もボラティリティの低かった銘柄はBTC/JPYで3.11%となった。

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2022-06-30
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