露・ルーブルに円が負ける世界。法定通貨希薄化でBTCは序章から本編に?

Daily Market Report 2022/4/19

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BTC 法定通貨別変動率

Bloombergより当社作成

上図は、2021/1/1から現在まで4通貨の法定通貨別BTC価格を2021/1/1を起点とし、価格変動率を比較をしたグラフである。グラフでは視認性に欠けるため、以下に8通貨の価格変動率を表にする。

上図から、2022年からは法定通貨別のBTCの価値に更なる格差が生じると考えることができるだろう。

代表的なのがトルコリラであり、ドル建てと比較し価格変動率は100%を超えていることがわかる。トルコのエルドアン大統領は、インフレ抑制のために政策金利の引き下げを実行することを公言しており、トルコリラは大きく売られた。

このため、他通貨とのBTCの価値に大きく差が開いたといえるであろう。

しかし、今回注目するべきは円とBTCの関係である。

円建BTCは、ウクライナ侵攻で経済制裁を受けたロシア・ルーブル建の変動率を超える上昇となっており、平たく言えば円がルーブルよりも売られ、価値が低下しているということが分かるだろう

ロシア・ルーブルは、SWIFT(国際銀行間通信協会)から排除され、市場はロシア企業のデフォルトに警戒感を募らせているにも拘らず、経済制裁を受けていない円がロシア・ルーブルに劣っている結果は注目に値するであろう。

米国が金融緩和の出口とインフレ高進を止める金融政策発動で動きだしたが、日本の中央銀行である日本銀行は、インフレ高進する中でも、大規模金融緩和を止めず低金利環境を継続する姿勢をみせている。円がマーケットの独歩安へ傾くのは当然の帰結であるといえるのではないだろうか。

世界はコロナ禍という病に加え、地政学的リスクを抱えることとなり、根強いインフレが恒常化した先に見える未来は、法定通貨の希薄化・価値の減少であると推測することもできるだろう。

著名投資家であり、BTCを所有するレイ・ダリオ氏は今回のウクライナ侵攻を世界秩序を決定する戦争の序章であると指摘している。ドルへのアクセスや西側諸国の金融システムを封鎖することによって経済制裁を実施してきたが、その後のロシア・ルーブルの動きをみると制裁の効果は一時的で、ウクライナ侵攻前に価格変動率が戻っていることがBTC/RUBの動きからもわかる。

今回のロシアに対する経済制裁が失敗となるならば、他国もドルの支配、金融システムから逃れ、基軸通貨であるドルが武器とならない世界、いわば中央集権でないBTCの利用拡大が加速していくことも考えられるかもしれない。

その場合、BTCが法定通貨の代替案としての価値を見出す序章から本編に移行する年になる可能性もあるだろう。

次に暗号資産時価総額とCRB指数から現在のBTCの相場展開を確認しよう。

BTC(ビットコイン)、トレンドはいつ出る?

Bloombergより当社作成
BTC(ビットコイン)のチャート・価格情報はこちら

上図は、2021/1/1から現在までの暗号資産時価総額とBTC/USDの価格を比較したグラフである。

2022年の四分の一が経過したが、暗号資産時価総額、BTC/USDともに保ち合い推移が続く展開であることがわかる(上図赤枠)。

暗号資産時価総額は年初から概ね1.5~2.0兆ドルでの保ち合い推移となり、BTC/USDも概ね35,000~45,000ドルでの保ち合い相場で4月を迎えた。

別の指標との比較で暗号資産の立ち位置を確認したい。

Bloombergより当社作成

上図は、2021/1/1から現在までのBTC/USDとCRB指数(※)の価格を比較したグラフである。(※CRB指数とは、原油や金といった商品19品目で構成され、物価や景気の判断材料として使用される指数となる。)

4/12に発表された米国CPI(消費者物価指数)は前月比1.2%上昇。前年同月比では40年前の1981年以来となる8.5%という大台を記録した。

コロナショックを受けた大規模金融緩和の弊害というインフレ高進に加え、ウクライナ侵攻という地政学的リスクを世界は受け止めなければならず、食品、エネルギー価格高騰という負の影響を家計に与えている。

CRB指数は、まさしく現在のインフレ高進の波を反映して、上向きの価格が続いているようだ(上図赤枠)。あらゆるアセットが地政学リスクとインフレ高進の余波を受けるマーケットとなっているが、インフレヘッジの価値があると市場で評価されてきたBTCに関しては底が固いのか、上値が重いのか、どちらとも決まらずに、はっきりしない相場推移と言えるだろう。

しかし、暗号資産時価総額も一定の価値を維持していることから、暗号資産市況から資金流出が生じているとは考えにくいかもしれない。

次に、ロシアによるウクライナ侵攻という地政学的リスクの勃発を受けて、BTCが貴金属や主要な株式と比較してどのような位置にいるかを確認してみる。

※TはTrillionで兆、BはBillionで十億
Bloombergより当社作成(4/18時点)

上表のとおり、BTCの時価総額は貴金属や主要な株式との対比では世界9位に位置していることがわかる。

昨今の米株高を牽引したハイパーグロースと呼ばれる新興企業株の代表格である米テスラ社を下回るものの、世界有数の投資家であるウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社・米バークシャーハサウェイ社の時価総額を上回っている。

BTCは、インフレ高進と地政学的リスクが共存する世界で、現在も既存金融資産に匹敵する存在感を示していることが上表から読み取ることが出来ようか。

今後のBTCの問題は、現在の保ち合い相場を脱してどちらに放れるかであるが、前述したとおり、今後の地政学的リスクの行方がBTCの今後の鍵を握るともいえるであろう。

(4/18 午後6:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

4/18の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は-0.41%、中央値は-0.30%、標準偏差は1.60%となった。

最大上昇銘柄はBAT/JPY2.78%、最大下落銘柄はENJ/JPY-2.31%

最大上昇銘柄のBAT/JPYは、行って来いの値動き。東京時間にBTC/JPYが大きく下落したことにつれて、BAT/JPYも下落したが、すぐに切り返しその後は堅調な値動きを辿った。

なお、日足一目均衡表では、一時的に雲下限を下回ったものの、終値ベースでは雲上限以上の水準を維持しており、雲のサポート力を確かめる格好となった。

最大下落銘柄のENJ/JPYは5日続落。ENJ/JPYもBTC/JPYに影響を受けた値動きとなり、米国時間にかけて東京時間の急落分を取り戻した。

しかし、日足での上値の重たさも手伝ってか、他銘柄に比べて反発力が弱く、急落前の水準に浮上してからは冴えない動きとなった。

24時間ボラティリティ(%)

社内データより作成

4/18の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は8.98%、中央値は8.69%、標準偏差は1.70%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はXYM/JPY11.57%

一方、最もボラティリティの低かった銘柄はXRP/JPY6.77%となった。

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2022-04-19
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