ADA(カルダノ)に激震、米SECの思惑と今後の見通しは?
Daily Market Report 2023/6/16
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・米SECによる訴訟がADAに波及
ADA/JPY 日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
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上図は、ADA/JPYの日足チャートに直近のイベントを示したものである。
2023/6/7の当社マーケットレポート「米SEC、バイナンスとコインベースを提訴。BTCには追い風となるか」で取り上げたように、米SEC(証券取引委員会)から大手2社が提訴された報道を受け、6/5から6/6にかけての暗号資産市場は荒れ模様となり、ADAを含めて多くの銘柄が急落に見舞われた。
また、6/7にはADAのブロックチェーン開発を担うIOG(Input Output Global)がADAは証券ではない旨の声明を発表するも下げ止まらず、6/9には米投資アプリ大手のロビンフッドがADA、MATIC(ポリゴン)、SOL(ソラナ)(※)の取扱い停止を表明したことから、さらなる下落に拍車をかける展開となった。
※当社では、SOLは取扱っていない。
現時点で訴訟報道から10日ほど経過したが、6/14の米FOMC(連邦公開市場委員会)における政策金利の据え置き発表にも反応薄であり、ADAのみならず、暗号資産市場では、金利動向より米SECによる次の一手に戦々恐々とするムードが勝っているのかもしれない。
米SECのゲイリー・ゲンスラー委員長は、かねてより暗号資産について強硬な発言を繰り返しており、今回の訴訟についても、米SECにおける暗号資産へのビジョンをあらためて明確にしたものといえそうだ。
・暗号資産は有価証券?
そもそも、米SECは何故に暗号資産を有価証券と主張したのか。
ここで米SECが暗号資産を有価証券とみなす理由をおさらいしておこう。
米国では、特定の取引が有価証券に該当するのかを判定する基準として「ハウェイテスト(Howey Test)」が用いられており、テストを構成する4つの基準は以下のとおりである。
・資金の投資であるか(investment of money)
・共同事業であるか(in a common enterprise)
・収益が期待できるか(with an expectation of profit)
・第三者の努力によるか(from the efforts of others)
米SECは、バイナンスに対する訴状において、ADAについて以下のように評している。
・トークンセールによって資金調達を行った。
・調達した資金は、開発、マーケティング、事業運営、成長のために使用した。
・保有者は、成長に対する投資と考え利益を期待している。
・WEBサイト等において、これまでの技術的な取組みや今後の取組みを説明した。
つまり、米SECとしては、ADAの販売や販売によって得た資金を開発等に使用したこと、保有者による収益への期待、発行主体による取組み(努力)をテスト基準に結び付け、ADAを有価証券とみなしたい思惑があるのだろう。
なお、ハウェイテストは、1946年のハウェイ社に下された判決に由来しており、現在の基準とすることには賛否両論があるようだ。
・リバウンドの鍵はXRP(リップル)?
一方、2020年12月に米SECから提訴されたXRPの動きはどうだろうか。
昨日の当社マーケットレポート「アルトコインに大打撃も、XRP(リップル)は影響軽微?」でも触れたように、XRPは今回の訴訟の影響を軽微に留めており、ADAとは対照的な動きといえよう。
XRPの訴訟と今回の訴訟では、米SECの主な係争相手が暗号資産の発行主体か、取引所かという相違点はある。
しかし、米SECが暗号資産を有価証券とみなす主張は共通しており、ADAの今後を占う上でXRPの訴訟は重要な指針となるはずだ。
現在のところ、XRPが有利な形で訴訟の終焉を迎えると予測する向きもあり、仮にXRPが勝訴ないし勝訴に近い判決を得られれば、同様に有価証券と見なされたADAにおいても、リバウンドの起爆剤となる可能性も考えられる。
ただし、XRPの訴訟は提起から既に2年以上が経過しており、今回の訴訟も終焉まで数か月から数年を要するかもしれない。
XRP訴訟の終焉によりADAが連れ高になるとしても、あくまでも主役はXRPのため、リバウンドの持続性には疑問符がつくだろう。
・今後の見通し
最後に、テクニカルの観点からもADAの動向を確認しておこう。
ADA/JPY 日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
上図は、ADA/JPYの日足チャートに5日移動平均線と25日移動平均線、RSIを示したものである。
本稿の冒頭で述べたとおり、ADAは、米SECによる大手2社への提訴から6/5を起点として急落し、上図を見ると、直近は5日移動平均線に上値を抑えられつつ、揉み合いから下放れの傾向が見られる。
また、一時的ながら6/10に昨年12/29の安値30.983円を割り込んだ点が気になるところであり、同日は長い下ヒゲをつけたが、急激な下げピッチを警戒したショートカバー(売り方の買戻し)の可能性も考えられ、底打ちと判断するには時期尚早であろう。
当面は6/10の安値30.444円に対して二番底を模索するか、あるいは底割れするかを注しする必要があり、底割れとなれば20円台前半までのオーバーシュートがあるかもしれない。
25日移動平均線からの乖離やRSIを見ると、短期的なリバウンドもあろうかという場面だが、今回の急落が外部要因だけに、テクニカルのみに捉われず、XRP訴訟や米SECの動向を見据えた慎重な判断が求められる。
ADAの買いは、XRP訴訟の終焉を見てからでも遅くはないだろう。
(6/15 午後9:00時点)
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