ETH(イーサリアム)のクジラが取引所へ大量送金?大きな売り圧となるか
Daily Market Report 2023/6/8
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・6月1日からの騰落率
騰落率ランキング(期間2023/6/1 – 2023/6/6)
当社クローズレート(Bid)より作成
上図は、6/1~6/6における当社取扱い銘柄の騰落率のランキングである。
27銘柄中19銘柄が下落しており、上昇した銘柄もほとんどが小幅な上昇であった。
米SEC(証券取引委員会)による大手暗号資産取引所のバイナンス、コインベースの提訴が暗号資産には逆風となっているようだ。
今年の2月にクラーケン、4月にビットトレックスと、相次いで暗号資産取引所が提訴されており、SECのアクションがリスクイベントとして今後も懸念される。
暗号資産の代名詞であるBTC(ビットコイン)は、バイナンスの提訴時には大きく値を落とし、一時340万円付近まで下落したものの、6/7 17時時点では提訴前の水準である370万円付近まで戻した。
これは昨日のレポートでも記載したとおり、悪材料が出尽くしたための買戻しによるものとみられる。
しかし、他の銘柄を見ると提訴前までの水準に戻っていないものが散見される。特に今回、SECにより証券に該当とされた、MATIC(ポリゴン)、ADA(カルダノ)、CHZ(チリーズ)は下げ幅を拡大しており、今後の各取引所・米SECの動向には注意しておきたい。
このような状況の中、6/5にETH(イーサリアム)の共同創設者のウィルケ(Wilcke)氏のウォレットとされるアドレスから、55億円相当のETHがクラーケンに送金されたことが分かった(6/6 CoinPost)。
一般的に暗号資産取引所への大口送金は、市場の売り圧力に繋がる可能性があるとみられている。
果たして、この大口送金は市場にどのような影響を与えるのか。
次項では、大口送金の影響を考察する。
・大口送金は市場に影響を与えるのか
ETH/JPY 日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
ETH(イーサリアム)のチャート・価格情報はこちら
上図は、2023/2/1~6/6までの現物ETH/JPYの日足チャートである。
上述した通り、6/5、ETHの共同創設者であるウィルケ氏のウォレットであるとされるアドレスから、クラーケンに55億円相当のETHが送金された。
この際のETH/JPYの値動きはSECのバイナンス提訴もあり、前日比約6%下落と市場の懸念が高まった状況のようだ。
対象のウォレットがウィルケ氏のものであるという確証はないが、暗号資産メディアであるThe Blockのリサーチチームや、ブロックチェーンの分析企業はウィルケ氏のウォレットだと指摘している。
一般的に暗号資産取引所への大口送金は市場の売り圧力に繋がる可能性があるとされており、以下のような過去の事例がある。
2020年3月のBTCが50%近く下落した場面は、大口取引が行われた影響であると指摘されている(2021/2/23 コインテレグラフ)。
翌2021年2月の20%を超える下落時も、2020年3月の時と同じ投資家が大口取引を行ったため下落したようだ。
今回の送金額は約55億円と、ETHの6/8 12時時点の取引高(24時間)約1兆円の0.55%程度であるものの、短時間での大口売りがあった場合は狼狽売りが走り、相場が急落する可能性も考えられる。
そうなったときの価格帯は、前述した2021年2月のBTCの下落幅と同じ20%と考えると、20万円付近(上図黄線)が目安となろうか。
ウィルケ氏については、過去にも大口の送金を実施したことがわかっている。
2019年12月に92,000ETH(約12億円)を送金しているが、この時はゲーム開発に利用する資金捻出のためETHを売却していたようだ(2019/12/27 CoinPost)。
当時のチャートを確認してもこの付近では大きな値動きはなく、今回の送金額分が売却されても市場に与える影響は限定的であったという可能性もあるが、先に記載した米SECの訴訟問題があるため、今後の相場の動きには十分注意しておきたい。
(6/8 午後1:00時点)
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