XRP(リップル)の上昇率が年初来2位へ。暗号資産の定義が争点?
Daily Market Report 2023/6/6
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当社クローズレート(Mid)より当社作成
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上図は、年初を起点とする当社レバレッジ銘柄の騰落率とその平均値を示した比較チャートである。
6/4時点で、平均値(上図 黄色太線)は35%上昇し、25銘柄中24銘柄が年初来プラス圏となっている。
また、一度でも0%を割り込んだのは3銘柄(LTC、XYM、OMG)だけであり、暗号資産の堅調さが継続しているといえよう。
その中で最も注目したい銘柄はXRP(リップル)である。XRPは同様の図表を用いた2/17のレポートで示した通り、年初は大きく出遅れていた銘柄である。
XRPは3月中盤までは平均をアンダーパフォームする動きであったが、5月前半に大部分の銘柄が下落する中、XRPは平均から乖離する強い上昇をみせ、BTCに続く上昇率2位、アルトコインでは首位の銘柄となった。
XRPの上昇要因として、まず考えられるのはXRP裁判の行方である。
XRPのリスク要因として、2020年末から続く米SECによる訴訟が広く知られている。その中でリップル社は、積極的な情報開示による透明性の確保や、欧州の各国政府や企業との提携を報じてきた。
これらの活動はリップル社への信頼度を高めるものであり、ひいてはXRPに対する一定の安心材料と言える。
リップル社への心象の良さが相場の下支えとなり、今回の上昇に繋がったといえよう。
裁判に影響を及ぼす争点はXRPが有価証券なのかである。ここで、CFTC(米商品先物委員会)は、暗号資産は商品であるとする方向性を示しており、仮にCFTCの主張が受け入れられれば、XRP側に有利となる裁判の進展が想定される。
しかし、CFTCの元会長が「ビットコインには有価証券の特徴が備わっていない」との解釈を示す一方で、「イーサリアムやリップルはかなり事情が異なっている」と指摘するなど、個別の暗号資産について有価証券か商品か定義する見方もできるため、慎重な見極めが必要だろう(詳細は当社コラム「ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)は有価証券化されるのか?」参照)。
暗号資産の定義については現在も各国政府で論ぜられているものの、現時点で有価証券と定めた国はないことから、米SECが前のめりであると言う見方もできる。さらなる時間が必要と考えられるものの、5月のG7財務相会議ではマネーロンダリング対策を主題とした暗号資産規制が議論された。
XRPが5月中旬から上昇を再開させており、6月に入ってから年初来高値を更新した要因の一つとして、各国の暗号資産の枠組みが固まることの進展が期待されたと想定することもできそうだ。
次に、昨年8月以降のXRPの出来高と価格から今後の展開を考える。
・上抜けた場合は昨年3/28の0.93ドル(≒130.20円)が視野か
CoinMarketCap (https://coinmarketcap.com/)より当社作成
上図は、2022/8/1~現在までのXRP/USDの日次終値と出来高に14日移動平均線(14MA 赤線)と35日移動平均線(35MA 黄線)を追加したものである。
上記期間において、XRP/USDの14MAと35MAは5度、出来高の急増に先行してゴールデンクロス(14MAが35MAを上回る)が発生した事例があるようだ(緑、紫、橙矢印)。
一般に、ゴールデンクロスは上昇サインとされるが、上記では直近(橙)を除く4回のうち、3回(緑)の発生後に出来高が急増し、価格も上昇した。
上昇しなかった矢印(紫)のクロスは、FTXショックという特有のファンダメンタルズによる下落時の出来高急増によるものである。他の矢印と異なる特徴として、前回の出来高を越えられなかった点、それまでRippleSwellが期待感として価格の下支えとなっていた点が挙げられる。
直近の矢印(橙)が今後の展開を見るうえで重要だが、現時点で明確なファンダメンタルズはXRP裁判の進展への期待であり、これに応えられれば、昨年9月以降の高値圏のレジスタンスを抜けることができると考えられる。
XRPは現在0.50ドル(≒70円)で推移しているが、上述の場合、ターゲットプライスとして、昨年3月につけた戻り高値(0.93ドル≒130.20円)を想定しておきたい。
また、XRP裁判以外にも、前項のXRPの透明性確保や各国政府との提携などの取り組みからプラス材料が報じられれば、上抜けることも考えられる。
一方で、これまでの期待感が過大だった場合や、これを損なう悪材料が報じられた場合には、失速する可能性も考えたほうがよいだろう。価格としては0.40-45ドル(≒52.0円-58.5円)付近が3月高値かつ、5月安値として意識されているとみておいたほうがよさそうだ。
(6/5 午後10:00時点)
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