今回もビットコインは上昇?過去の金融危機を振り返ると、、、
Daily Market Report 2023/5/26
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金融危機の象徴であるリーマン・ショックの翌年となる2009年に誕生したBTC(ビットコイン)は、過去の金融危機時にどう動いたか。
本レポートでは、無国籍通貨と表現されるゴールドに因んで「デジタルゴールド」とも表現されるBTCが、法定通貨や政府の信用不安により急騰した事例を改めて振り返る。
・米国債ショック
CoinMarketCap(https://coinmarketcap.com/)
Tradingview(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
上図は、2011年におけるBTC/JPYの価格推移である。
2011年は、それまで最高水準にあった米国債の格付けが引き下げられた年であり(同年8月、S&Pにて)、この一連の経緯は「米国債ショック」と呼ばれている。
2011/1、米財務長官は米政府債務上限が引き上げられなければ数ヶ月以内に政府はデフォルトなどに陥る可能性を指摘していた。しかし、政府支出などをめぐる与野党での対立が原因となり、問題は解決せず5月に政府債務は法定上限に到達。政府資金は、公的基金への拠出を一時的にストップさせるなど綱渡り状態となった。
この影響により株式市場は振るわなかった一方、当時100円に満たなかったBTCは6月に2,000円を突破する上昇をすることとなった。
その後、2011/7に債務上限問題が解決されるとBTCの過熱感はなくなり、200~300円前後で価格は落ち着いたものの、BTCがリスク回避として機能した一つの事例と言えるだろう。
・キプロスショック
BTC/JPY 週足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
BTC(ビットコイン)のチャート・価格情報はこちら
上図は、2013年におけるBTC/JPYの週足チャートである。
資産家のタックスヘイブンとなっていたキプロス国内の銀行は、同年3月、ギリシャ債務危機の余波を受け経営難に陥りEUの金融支援を受けることとなった。それと同時にキプロス国内の銀行は資金規制を受け、預金引き出しの制限といった強行措置も執られた。
この当時はBTC取引に関しての規制自体は無かったため、預金者がBTCを通じて自己資金を動かそうとしたことなどがきっかけとなり、年初1,500円付近だったBTCは4月には3万円近くまで急騰した。
この急騰は長く続かなかったが、BTCの知名度は高まった。同年10月には中国の検索大手が決済手段として採用したことも話題となり、3万円台へ到達。翌月には10万円の大台も突破することとなった。
・2023年現在
BTC/JPY 日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
上図は、2023/1~現在におけるBTC/JPYの日足チャートである。
BTC/JPYは、年初の約215万円から現在(370万円)まで約70%の上昇をしている。
その大きな原動力の一つとなったのは、3/10の米大手地銀(SVB)の経営破綻であろう。
同行の破綻によって深刻な金融危機や信用不安などには至っていない。しかし、預金保険制度の対象外である大口預金者の救済措置などといった異例の措置は、金融制度のモラルハザードを助長しかねないという声もある。
また、3/19にはスイス大手銀行のクレディ・スイスが破綻した。同行は世界的な金融システムの安定に欠かせないと認定した銀行を指すG-SIBs(グローバルなシステム上重要な銀行)に名を連ねており、リーマン・ショック後に敷かれた資本規制の欠陥を浮き彫りにしたとも言えよう。
このような背景の中BTC/JPYは続伸し、3/9(260万円)からわずか10日で370万円まで急上昇した。
2022年から続いている欧米の急速な利上げの歪みにより、改めて金融危機が意識されればBTC/JPYは500万円の大台を突破する展開も考えられるかもしれない。
また、多数のメディアで報じられているように米国債務上限問題は今年も再燃しており、こうした材料もBTCを後押しする可能性もある。
その一方、米国債ショックやキプロスショック時と比べ現在のBTCは格段に投資対象としての存在感が増しており、近年は主要株式指数との連動性も高まっている。単なるリスク性資産としてBTCが意識されれば、景気後退時などには急速に戻り売り圧力が働き、年初来の上昇を打ち消すシナリオにも注意が必要だ。
(5/26 午前5:00時点)
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