米国債デフォルト(債務不履行)の危機。どちらに転んでもビットコインに資金流入?

Daily Market Report 2023/5/18

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4月17日からの騰落率

騰落率ランキング(期間2023/4/17 – 2023/5/16)
当社クローズレート(Bid)より作成

上図は、過去一カ月(4/17~5/16)における当社取扱い銘柄の騰落率のランキングである。

4/17までに取扱いがあった26銘柄中24銘柄が下落しており、下落率6位以降の銘柄はすべて10%を超える下落となった。

これに対して、TRX(トロン)は10%超えの上昇を記録しているが、これはTronの創設者であるジャスティン・サン氏の「ミームコイン及び有望なプロジェクトへの積極的な取引を開始する」との発言によるところが大きいと思われる。

また、ZPG(ジパングコイン)は、後述する米債務上限問題を背景に「安全資産」といわれる金(GOLD)の需要増加によるGOLD価格の上昇を受け、しっかりとした動きとなっている。

こうした中で、暗号資産の代名詞であるBTC(ビットコイン)は6.95%の下落と、下落銘柄の中では健闘している。

下落幅が小さい理由として、5/16 マーケットレポート「BTCは340万円まで下落。ミームコインバブルの裏でBTCは下値を固めるか」でも記載したように、BRC-20規格(BTCのブロックチェーン上で取引できる規格)で作成されたミームコインの影響もあろうか。

下落基調にある暗号資産市場であるが、ここにきてアメリカの債務上限問題がまとまらず、世界の金融市場の混乱を招く懸念が浮上している。

次項以降では、現時点でのアメリカの債務上限問題の状況を整理し、今後のBTCの展開を考察する。

イエレン財務長官の発言からの値動き

BTC/JPY 日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
BTC(ビットコイン)のチャート・価格情報はこちら

上図は、2023/1/1~5/17までの現物BTC/JPYの日足チャートである。

5月に入り、アメリカのイエレン財務長官は、早ければ6/1にも米国債がデフォルト(債務不履行)に陥る可能性があると言及した(5/2 TBS)。

アメリカは、すでに政府の債務が上限に達しており、バイデン政権が無条件の債務上限引き上げを求めているのに対し、野党である共和党は上限引き上げを認める条件として大幅な政府の支出削減を求めており、合意に関しての見通しがたっていない。

上記を受けて、ダウ平均は5/4に33,127.74ドルをつけ、5/1比2.7%のマイナスになった。以降は多少の戻しはあるものの、5/16時点で33,013.13ドル付近を推移している。

BTCも米株指標とある程度相関が保たれており、5/5に398万円台を付けたあとは下落。5/16時点で約364.6万円付近を推移している。

今後の暗号資産市場への影響は…?

債務上限の引き上げに対して議会承認が得られず、6/1にデフォルトに陥った場合の展開として2つ考えられる。

・BTCをはじめとした暗号資産への資金流入
米国債がデフォルトに陥った場合、米ドルを根拠とする金融資産に大きな影響を与えることになるだろう。

米ドルとペッグしているステーブルコインにも影響が波及すると考えられ、2022年5月に発生したテラショックの時のように、ディペッグが発生するかもしれない。

そうなった場合、2013年のキプロスの金融支援においてキプロスの全預金に対して最大9.9%の課税を導入することで始まった金融危機であるキプロス・ショックの時と同様に、BTC等の暗号資産に注目が集まる展開もあるだろう。

資金の避難先としてデジタルゴールドといわれるBTCが選択されれば需要が上がり、市場が急騰することも考えられる。

上昇した場合の目指す価格帯は現段階から数段上がり、2023年の最高値である4,000,000円台(上図水色線)を目指す展開になろうか。

・世界的な金融不安による資金引き上げ
世界一安全と謳われていた米国債がデフォルトに陥った場合、金融資産に対する不安が世界に広まる恐れがある。

そうなれば、リスク資産である株式はもとより、暗号資産からの大規模な資金引き上げも考えられる。

大規模に資金が引き上げられた場合、BTCをはじめとした暗号資産の価格が大きく下落することになるだろう。

世界的な経済への影響を鑑みると、2023/1中旬~下旬でもみ合っていた300万円(上図黄色線)付近まで下落する可能性もあるかもしれない。

もう一つのシナリオ どっちに転んでもBTC上昇

米国債の発行から現在まで、デフォルトは起きていない。

しかし、アメリカでは民主党と共和党の財政規律をめぐる考えが異なることから、たびたび対立が起きてきた。

直近では、2011年のオバマ政権時代にも今回のようなデフォルト危機があった。

2011年はデフォルトという事態を避けられたものの政府機関の一部閉鎖に繋がり、大手格付け機関の「S&P Global Ratings」は安全と考えられていた米国債の格付けを引き下げ、世界の金融市場に大きな影響を与えた。

今回の債務上限引き上げ問題でもデフォルトを回避できる可能性は高いと考えられるが、再度、米国債の格付けが引き下げられる恐れがある。

この場合、ドルの下落は避けられず、翻ってBTCへの資金流入も想定される。

デフォルトが発生してもドル売り、BTC買いは強くなるが、デフォルトが発生しなくても米国債の格付けはネガティブになる可能性もあり、どちらに転んでもBTCに妙味が出る展開となることもあろう

債務上限引き上げ問題が与える影響は大きく、世界規模に及ぶ可能性もあるため、今後の展開には十分注意しておきたい。

(5/16 午後5:00時点)

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