ネットワークアップグレードを控えたBCH、ボラティリティ拡大でレンジブレイクなるか
Daily Market Report 2023/5/10
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・BCH(ビットコインキャッシュ)、5/9は3日ぶりに8.5%超の反騰
BCH/JPY 日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
BCH(ビットコインキャッシュ)のチャート・価格情報はこちら
上図は、当社取引ツールのヒストリカル・ボラティリティを描画したBCH/JPYの日足チャートである(期間:2022年11月~現在)。
上記期間のBCH/JPYの値動きを確認すると、内側(桃線)と外側(黄線)の2段階のレンジに分けられる。
内側の上限は昨年11月高値につけた18,400円で、今年に入ってからも3度頭を抑えられており、昨日5/9の反発後の展開でも特に意識しておきたいラインといえる。
内側の下限である14,300円は今年3月の米銀行の信用不安問題の頃につけた安値で、今回5/9の反騰によって、サポートとして新たに意識された価格となる。
外側の上限は20,589円で、今年2月につけた年初来高値であるが、1月からの暗号資産市場の続伸による過熱感や高値警戒感から失速した。3月の信用不安問題を受けた続落もあり、際立っているラインとなる。
外側の下限は、2022年11月につけた12,239円で、当時の米国のインフレと利上げによる景気失速への懸念から、世界的にリスク資産が下落した時期につけた安値となる。
足元のBCH/JPYは4/17に18,400円をつけてからは14,300円まで下落基調となっていたが、5/9に8.5%超の反発を見せた。
反発の要因として、特に材料視されているのは、5/15に控えたネットワークアップグレード「The May 2023 upgrade」だろう。
BCHのネットワークアップグレードは例年5月と11月に行われており、前後して動意づくことがある。
14日間の値動きをベースとした変動率を示す、ヒストリカル・ボラティリティをみると、昨年11月の前回のネットワークアップグレードから今年5月にかけて逓減していたが、5/9の上昇で再び急拡大しており、ネットワークアップグレードの期間とボラティリティの連動性が示唆される。
仮に価格に弾みがついたことで上昇を継続させ、18,400円のラインを超えることができれば、20,589円の年初来高値の更新が視野に入るかもしれない。今回のボラティリティ拡大が後押しとなるか要注目である。
なお、BCHのネットワークアップグレードについては、過去にも当社レポートで複数回取り上げており、あわせて参考としていただきたい。
2022年4月18日「ハードフォークを控えたBCH(ビットコインキャッシュ)、フィボナッチの127%水準の47,500円に注目」
2023年1月26日「堅調な暗号資産市場。5月にハードフォークを控えるビットコインキャッシュは?」
2023年3月7日「5月のハードフォークは懸念材料!?BCHはテクニカル面でも重石あり。」
次に、BCHの出来高から取引量の動向を確認する。
・出来高急増の先行指標となった移動平均線のゴールデンクロスは間近?
CoinMarketCap (https://coinmarketcap.com/)より当社作成
上図は、BCH/USDの日次終値に前項の2段階のレンジを追記したものと、出来高に14日移動平均線(14MA 赤線)と35日移動平均線(35MA 黄線)を追加したものである(期間:2022年11月~現在)。
出来高においても、移動平均線(MA)は長期的な動向をつかむために活用されるケースがある。
14MAと35MAをみると、上記期間で2度、出来高急増の急増に先行してゴールデンクロス(14MAが35MAを上回る)が発生した事例があるようだ(緑矢印)。
足元の相場でも35MAが14MAの上を抑える形で接近しており、ゴールデンクロス間近といえる。これに次回のネットワークアップグレードを材料視した出来高急増が重なる可能性も考えられる。
次に、ゴールデンクロス後の展開をみると、今年1月はゴールデンクロス後に出来高と連なる形で価格も上昇しており、結果的に出来高の増加が価格上昇の先行指標となった。
一方で、昨年11月のネットワークアップグレードによる出来高急増では、上昇後、下落という形で急変動の指標にはなったものの、価格の方向性は示せなかった。
現在のBCHのファンダメンタルズがネットワークアップグレードを控えていることから、昨年11月に近い性格であるとするならば、ボラティリティの拡大が同様に起きたとしても価格の方向までの判断は難しいかもしれない。
上図で例えると、上は135ドル(18,400円)ラインを超える水準、下は95ドル(12,239円)を瞬間的に割る可能性も考えられるが、どちらから先に動くのか、その後は上昇(下落)し続けるのかは改めて考える必要があるだろう。
下方向に価格を割った場合は、サポートとなる価格の乏しさから、下値模索となる可能性、出来高が急減せずに逓増し続けるならば、今年1月~2月のような価格上昇のシナリオに移行する展開も想定して臨みたい。
(5/9 午後10:00時点)
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