騰落レシオは暗号資産市場でも使えるか?MATIC(ポリゴン)で検証した結果は
Daily Market Report 2023/4/11
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・暗号資産の時価総額上位100銘柄の騰落レシオ
CoinMarketCap (https://coinmarketcap.com)より当社作成
上表は、暗号資産の時価総額上位100銘柄の値上がり数、値下がり数を日付毎に集計し、騰落レシオを算出したものである。
騰落レシオとは、主に株式市場にて市場参加者の強気、弱気の群集心理をつかむ上で用いられる指標である。
なお、騰落レシオの日数は計測期間を示している。
(上表、2023/4/10の「7日間」を例に挙げると、2023/4/4~2023/4/10までの7日間の値上がり数の合計(351)/値下がり数の合計(345)で「101.7%」となる)
計測期間について、株式市場では5日間、10日間、25日間が主に用いられるが、営業日換算すると1週間、2週間、5週間となることから、暗号資産市場を扱う本稿においては、7日間、14日間、35日間とした。
上表の期間は、シリコンバレー銀行などの金融機関の破綻を経て、暗号資産市場が反発に向かった時期にあたる。
まず、2023/3/12の騰落レシオをみると、7日間、14日間、35日間とも100%未満(値上がり数<値下がり数)であったが、3/15からは、7日間、14日間の順に100%以上(値上がり数>値下がり数)となった。
そして現在、35日間の騰落レシオは100%を回復できていないが、日を追うごとに増加しており、市場心理が弱気から回復しつつあると推察される。
上表左部の「時価総額合計」をみると、時価総額も増加基調となっており、市場心理の回復が押し上げた可能性も示唆される。
このことから、暗号資産市場においても騰落レシオは考察余地のある指標といえそうだ。
次に、この騰落レシオがトレンド転換の指標として使えるか考察する。
・天井の予測は困難か
CoinMarketCap (https://coinmarketcap.com)より当社作成
上図では、前述の騰落レシオの日付を昨年9月まで遡って横軸にとっている。
時価総額と騰落レシオが比例していると仮定すると、上昇していた時価総額が下落に転じる場合には騰落レシオも頭打ちとなり、下落していた時価総額が底打って反発する場合には騰落レシオも底入れると考えられる。
上記期間における各騰落レシオのレンジをみると、
・7日間が30.1%(2022/11/13)~465.6%(2023/1/15)
・14日間が37.5%(2023/3/10)~278.6%(2023/1/16)
・35日間が67.6%(2023/3/12)~198.4%(2023/2/5)
となっている。
まず、レンジ下限から考える(下落から上昇に転じるシナリオ)。
下限をつけた時期については、昨年11月または今年3月となっており、期間の程度はあるものの、その後の時価総額は増加に転じている。底打ちの目安としては、7日間、14日間では30%台、35日間では60%台が考えられそうだ。
また、騰落レシオの底が、FTXショックや金融不安のファンダメンタルズと関連性がある点にも注目しておきたい。
今後、ショック性のある急落が起きた場合に、そのときのファンダメンタルズと騰落レシオを併用して、前回と比較する活用法が考えられる。
具体的には、今後起こりえる急落が今年3月の金融不安ほど悪いファンダメンタルズではなかったにも関わらず、騰落レシオが30%付近まで低下した場合には、①まだ何らかの潜在的な悪材料があるか、②市場の警戒が過度といえるかの2通りの解釈ができ、①と考えるならば弱気で臨み、②であれば強気で臨むことができる。
次に、レンジ上限について考える(上昇から下落に転じるシナリオ)。
FTXショック前の7日間の騰落レシオは180%付近で一旦のピークをつけていることから、短期的な先行指標としての活用法が考えられる。また、FTXショックは買い意欲が低下し始めた中での出来事だったとも解釈できる。
一方、騰落レシオの値については、7日間、14日間とも2023年1月にそれまでの180%台までの上限から倍以上に急増していたことから(赤矢印、緑矢印)、売り指標としての活用は難しいといえるだろう。
ただ、35日間の騰落レシオ(青矢印)を見てみると、ピークをつけた後に時価総額が減少に転じているように見える。この期間中、市場には金融不安があったことを差し引いても過熱感から下落したと言えるかもしれない。
最後に、今回の騰落レシオの結果を活用できる銘柄を取り上げる。
・MATICの1.0154ドル(≒133円)と騰落レシオの30%に注目
MATIC/USD CoinMarketCap (https://coinmarketcap.com)より当社作成
MATIC(ポリゴン)のチャート・価格情報はこちら
上表は、前項の騰落レシオにMATIC(ポリゴン)の価格を当てはめたものである。
MATICの価格推移が注目できる箇所は、①7日間の騰落レシオが30%台となった水準よりも現値が高い点(赤矢印)、②前回高値(2/17 1.5256ドル ≒200円)を現値が更新できていない点が挙げられる。
図内の①については、今後、騰落レシオと時価総額が下落に転じた場合に、市場心理と比較して売買するための指標として活用できる。
仮にMATICが、3/10につけた1.0154ドル(≒133円)を下回った場合、テクニカル的には年初安値の0.80ドル(≒105円)を目指すシナリオが考えられるが、年初安値に到達した場合、その時点の騰落レシオが30%をさらに下回っていた場合は、売られ過ぎからの反発を想定して、強気で臨む方法も一つの策と言えそうだ。
図内の②については、足元の上位100銘柄の暗号資産時価総額合計が前回を超えるなかでのMATICの出遅れ度ともいえ、見直し買いに向かった場合の伸びしろといえる。
仮に②の1.56ドル(≒200円)をブレイクした場合には、上値を追いとなる展開も視野に入れておきたい。
一方で、現在のところMATICに際立った悪材料は見当たらないが、2/17高値までの上昇が、上振れ過ぎていた可能性にも注意されたい。
(4/11 午前5:00時点)
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