既に米国債務は上限超過。リスクオフ要因がビットコインには重しか
Daily Market Report 2023/3/27
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・FOMCはタカ派寄り。
今月22日から23日にかけてFOMC(連邦公開市場委員会)が開かれ、シリコンバレー銀行やクレディ・スイスの経営破綻を受けて、金利の頭打ちが示唆されるかどうかに市場の関心が向いていたが、25bp(ベーシスポイント)の引き上げを発表し、依然タカ派な姿勢を示した。
パウエル議長は議会中、銀行の連鎖的な経営破綻の動きを踏まえて、利上げの打ち止めについても議論が上がったものの、雇用と物価の想定以上の強さに利上げ継続を決定したと話し、『追加的な引き締め』が必要になってくるかもしれないとした。
これを受けて、ビットコインは、375万円の高値から340万円の安値までの急激な下落となった。
また、イエレン米財務長官が市場への影響度合いを鑑みて後に発言を変更したものの、『銀行預金の保険や保証に関しては議論も検討もしていない』との発言したことを受け、同日にパウエル議長が「銀行システムは健全であり、安心して預金すべきだ」と発言したことへの矛盾感から、金融危機による信用不安が再度意識される展開も見られた。
・ドットチャートは前回12月FOMCからほぼ変更なしで明るい兆しも
CMEのFedWatch ツール(https://www.cmegroup.com/ja/)より当社作成
BTC(ビットコイン)のチャート・価格情報はこちら
上図は、年4回発表されるFOMCボードメンバーたちの予想ターミナルレートを表した最新のドットチャートだ。
足元では米国の金融引締に対して市場の感度が高い状態が続いており、今回のFOMCでも、FRBの描く将来的な金利見通しについて注目が集まっていた。
実際に公表されたドットチャートでの変更点は、去年12月のFOMC時点で2024年の中央値が4.125%となっていたものが、今回では4.250%となったのみの変更で、今年度や長期部分での金利見通しには変化が見られなかった。
そのため、市場からは利上げの最終段階に近づいているとの声も上がり、リスクオンの様相も見せている。
・米債上限到達によるリスクオフ要因も健在か
Fiscal data(https://fiscaldata.treasury.gov/)より当社作成
上図は、直近一年の米債務状況を表した図である。
現在の米国の債務上限は31.385兆ドルとなっており、米国の財務状況は債務上限を超過している状態にある。
現在、上限引き上げが議論されてはいるが、債務上限引き上げには、通常、議会での法案成立が必要となる。具体的には、下院と上院で法案が承認され、大統領が署名することによって、債務上限が引き上げられる。
債務上限引き上げについては、アメリカ政府の財政状況や政治情勢など、複数の要因が絡み合うため、引き上げが実現するまでには、数ヶ月以上の時間がかかることもある。
2011年のオバマ政権では債務上限問題に陥った際、アメリカの民間格付機関であるスタンダード・アンド・プアーズが米国債を信用格付が最上級である「AAA」から「AA+」に一段階引き下げた過去がある。
その際には、信用格付の引き下げが一要因となり、世界同時株安や為替相場の急変動などの世界的な金融市場の混乱が生じた。
今回も債務上限引き上げに際して何かしら問題が起きれば、米国債が売り込まれてしまい、財政懸念から各金融市場へ動揺が波及していく可能性も無視できない。
国債が売り込まれることによる金利の上昇や、金融市場の混乱によるリスクオフの展開が強まれば、リスクアセットであるビットコインにはマイナスの影響を与えかねないため、今後の動向には十分注意が必要だろう。
BTC/JPYでは、昨年末のFTXショックを消化し、360万円台まで回復している状況であるが、債務上限の引き上げ議論などにより、金融市場で懸念が膨らむこととなれば300万円の大台割れを目標に売りが強まる展開となる可能性もあるかもしれない。
もし下落に転じる場合、極短期的には、3月FOMCの際につけた340万円がサポートとなるかに注目したい。
(3/26 午後9:00時点)
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