ステーブルコイン急落!ETHとTRXには要注意!?
Daily Market Report 2023/3/13
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暗号資産取引において重要な役割を担っているステーブルコインへの懸念が広がっている。
発端は3/10に経営破綻した米銀SVB(シリコンバレー銀行)の経営破綻である。同行に預金を持つCircle社が発行しているステーブルコイン(USDC)は、3/11に急落した。現在のUSDCは発行残高が5兆円を超えステーブルコイン市場の約30%シェアを誇っている。
2022/5には当時のステーブルコインの急落の影響が暗号資産全体に及んだ過去もあり、USDCの行方が気になるところだ。
・主要ステーブルコインの推移
Tradingview.comより当社作成
価格は1時間足終値
上図は、3/9以降の主要ステーブルコイン2銘柄の価格推移である。現時点でUSDTはステーブルコイン市場の約55%、USDCは約30%のシェアを占めている。
SVBの経営破綻が報道された後にUSDCは0.9ドル付近まで下落し、本来目指す1ドルの価値とは10%も乖離していた。足元ではやや持ち直し0.98ドルほどとなっているが、未だに1ドルに対し2%割り引かれている状況だ。
過去の暗号資産ショック時と比較すると、この2%安水準は決して小さな数値ではない。
Tradingview.comより当社作成
価格は1時間足終値
上図は、当時のステーブルコインUST急落により暗号資産全体が落ち込んだ2022/5/11~5/14におけるUSDC、USDTの推移である。
USDCは目立った影響は無い。USDTは6時間ほど0.99ドルを下回っていたものの、半日足らずで適正な水準まで回復していた。
Tradingview.comより当社作成
価格は1時間足終値
上図は、FTXショック当時の2022/11/7~11/10のUSDC、USDTの推移である。両銘柄ともに動きはほとんど無く、FTXショックによる影響は無かったと言えるだろう。
以上3つの図の違いから分かるように、今回のSVB破綻はステーブルコイン市場に大きな影響があると言えそうだ。
ステーブルコインは1ドルと同じ価値を保ちやすい特徴故に、変動の大きい暗号資産市場内での安全資産的や役割を担っている。
しかし、想定された担保価値が保たれないと、プログラム上で取引が全て完結するDeFi市場での予期せぬ担保精算の連鎖が起こるかもしれない。2022/5のルナショックではDeFi市場が崩れ暗号資産全体が悲観ムードとなった。
・ステーブルコインとの関連性が強いのはETH、TRX
defillama.comより当社作成
上図は、発行済みの全ステーブルコインがどのブロックチェーンに紐づけられているかを表したものである。
USDC個別の算出ではないものの、大局的にはステーブルコイン下落の影響はETH(イーサリアム)、TRX(トロン)に強く出るかもしれない。ETHのブロックチェーン内で取引されるENJ(エンジンコイン)、BAT(ベーシックアテンショントークン)の動きにも注意が必要であろうか。
・ETHは6月安値も視野に
ETH/JPY週足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
ETH(イーサリアム)のチャート・価格情報はこちら
上図は、ETH/JPYの週足チャートである。
ETH/JPYは2022/5のルナショックの週に最大で約30%近く下落した。
単純比較はできないものの、再びステーブルコイン市場に不安が大きく広がれば、現在値段から約30%安の14万円台(2022/7の安値)への下落もあろうか。
その一方で、USDCの裏付け資産の77%は安全性の高い米短期国債などで運用されており、信用不安はこれから収縮に向かう可能性もある。悪材料出尽くしで反転上昇のシナリオも消えたわけではない。
経営破綻したSVB絡みの今後の動向に注目だ。
(3/13 午前7:00時点)
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