ベーシックアテンショントークン、今後の価格はBraveのユーザー数次第か

Daily Market Report 2023/3/9

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2023年に入り、暗号資産市場は浮き沈みがあるが、昨年末の水準と比較すると活気を取り戻しつつある状況だ。

2023/1/1終値および2023/2/6終値から算出
CoinMarketCap、Wall Street Journalより当社作成
BAT(ベーシックアテンショントークン)のチャート・価格情報はこちら

上図は、NFTまたはWeb3関連銘柄であるベーシックアテンショントークン(BAT)、イーサリアム(ETH)、ポリゴン(MATIC)、エンジンコイン(ENJ)の1/1~現在までの価格上昇率である。

上図のとおり、NFT、Web3関連銘柄は年初来の価格が40%以上の上昇をしている。

特にENJは年初来の価格が3/23時点で一時120%まで上昇しており、大きく価格を伸ばした。ENJの上昇に関しては、2/26の当社レポートでも触れたとおり、昨年よりリリースしていたエンジンウォレット2.0が今年に入りiOSに対応したことなどが要因だろう。

今年に入り、NFTは巻き返しを見せており、米国暗号資産メディアのThe Blockによると、2/19の週におけるNFTの週間取引高は、630万ドル(約8億5670万円)であり、昨年5/8の週以来約10カ月ぶりの水準となった。実際に同週はETHやMATIC、ENJなどのNFT関連銘柄が大きく価格を上昇させている。

これに対して、BATは3/4に公開されたロードマップでNFTに注力することが発表された。

その発表までは特に材料はなかったが、年初の約21円から2月中旬の段階で約42円と、一時100%近く上昇するほどのパフォーマンスを見せており、現在もMATICと僅差のパフォーマンスを発揮している。

本日は、BATの上昇と今後の行方についてレポートする。

BATの上昇は偶然か?

各暗号資産の最高値記録日を100として指数化した数値
CoinMarketCap、Wall Street Journalより当社作成

前述の通り、3月まで特に材料のなかったBATが大きく上昇した要因としては、BATの割安感によるものかもしれない

実際、BATは2021/11/27に過去最高値となる201円を記録して以降価格を下落させており、2022/12/31には最高値から約90%減となる21円まで落ち込んでいた。同様の例としては、昨年末に過去最高値から95%下落していたENJもBATと同様に今年は大幅な上昇を記録している。

材料が豊富なENJと材料の乏しいBATでは単純な比較はできないものの、NFT関連の銘柄が市場で物色される中、Braveエコシステムでの実績もあるBATが割安とみなされ価格が上昇したのかもしれない。

BATの材料と今後の懸念点

BATの材料としては、3/4にBATの運営元であるBrave Software, Inc.が公表した2023年のロードマップが挙げられる。

同日の価格にも大して反映されなかった通り、このロードマップはBATが今年NFTに対して焦点を当てられることが示された程度であるため大きな意外性はなく、好材料とみなすには弱いものであったようだ。

ただし、今後NFT関連銘柄が物色される際に、BATが選ばれる状況も出てくるかもしれないので注視していきたい

一方、BATの懸念材料としてはBraveのユーザー数の伸び悩みが挙げられる。

Brave Software, Inc.より当社作成

Braveとは、ウェブ上で表示される広告やトラッカーをブロックできるウェブブラウザである。また、BATがBraveを使用することで獲得することができるコンセプトであるとおり、BraveはBrave Software, Inc.のプロジェクトの中核を担う存在だ。

Braveは2019年7月のリリース以降、順調にアクティブユーザーを増加させていたものの、2022年7月をピークにMAU(Monthly Active User=月間アクティブユーザー)は減少傾向にある。

また、DAU(Daily Active User=1日当たりのアクティブユーザー)は微増しているにもかかわらずMAUが減少傾向にあるということは、広告などからBraveを利用するユーザー数は一定数存在するものの、ユーザーの定着に苦戦しているということでもあり、これはBATの課題といえる。

今後、この課題を克服し、MAUを改善できればBATにとっても好材料となりえるうえ、2022年7月に記録した6200万MAUを更新することができればより状況は改善するだろう。

BATの3/8時点の価格は約33円となっているが、まずはサポートラインとなっている30円で踏みとどまれるかに注目したい。

この水準をキープできれば、今年1月から2月に見せた動きの通り、さほど材料がない状況でも大きく売り込まれることはないかもしれない。

NFTに関する好材料が出てくれば、それを追い風に、再度40円を目指していく可能性もあろうか。

ただし、BATのコアであるBraveブラウザーの行方が、やはり最も重要であろう。

Braveのユーザー数の改善が見えるようであると、さらなる上昇も起こりえるが、このまま伸び悩むと30円を割り込んで下値模索となる可能性も念頭に入れておきたい。

(3/8 午後7:00時点)

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