5月のハードフォークは懸念材料!?BCHはテクニカル面でも重石あり。

Daily Market Report 2023/3/7

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5月にハードフォークを控えるBCH(ビットコインキャッシュ)が低迷している。

BCHの状況は、年初来では約33%上昇と一見好調とも言えそうだが、BTC(ビットコイン)は年初来で40%上昇しており、市場全体の上昇ムードに牽引された結果であると考えられる。

また、ブロックチェーンの仕組みや機能面で似ている暗号資産であるLTC(ライトコイン)は年初来で約71%上昇しており、足元では大きな差をつけられつつある。

ハードフォークが材料視され価格低迷か

当社取引ツールより作成

上図は、BCHとLTCの2022年以降の価格推移を表したものである。両者はBTCと同様に、ウォレット残高に相当するUTXOモデル(※)やPoWの採用、チェーン稼働年月が長いことなどが特徴としてあげられる。
※UTXO(Unspent Transaction Output):未使用のトランザクションアウトプット

このように類似性があるBCHとLTCは、2022/7頃まではほぼ同じような価格推移をしていたが、それ以降はLTCが上昇基調となる一方でBCHは横ばいの値動きが続いている。

価格乖離が広がっている要因は、2023/5に予定されているBCHのハードフォークとも考えられそうだ。

今回のハードフォークでは「CashTokens」導入によりBCHはスマートコントラクト機能を持つようになり、UTXOのやり取りを目的とした従来の単純な仕組みから大きく発展することになる。

その反面、LTCと共にBTCから派生し誕生したBCHは今回のハードフォークにより、親元のBTCや特徴が似ているLTCとは性質が大きく異なる存在に変化する。

例えば、BTCはシンプルな機能のみに特化し、セキュリティ向上を図るため不要なオペコード(プログラム上での命令コード)は随時削除されている。これは、スマートコントラクト等の高度な機能実装のためオペコードを拡張する暗号資産(ブロックチェーン)とは対照的である。

従って、スマートコントラクトを実装する予定のBCHは、機能面から考えるとETH(イーサリアム)やMATIC(ポリゴン)等に近い存在となるだろう。

2022/7にはBCHの開発者が「CashTokens」の構想についてツイートをしており、これが7月頃からのBCHとLTCの価格乖離の発生時期と重なることは興味深い。

結果として、シンプルな機能性のみを持つ暗号資産がより選好される動きとなったが、それを如実に表したのがFTXショックでの動きであろう。

上図でも記載しているが、2022/11のFTXショック時とその後の価格をみると、BCHがLTCに大きく水を開けられたことがわかる。これは、BCHの将来的なハードフォークを見据えた結果かもしれない。

テクニカル上でのシグナル

BCH/JPY日足チャート(当社取引ツールより作成)
BCH (ビットコインキャッシュ)のチャート・価格情報はこちら

上図は、2022/11以降のBCH/JPYの日足チャートである。

BCH/JPYは年初から上昇し、2/21には約7ヶ月ぶりに20,000円を突破した。しかし、その後は下落に転じ、足元では約16,000円前後を推移している。

16,000円前後で下げ止まっているとも見受けられるが、相場の勢いを表すRSIは1月をピークに価格より先行して下落している。

テクニカルの観点では、このような価格上昇とRSI下落はダイバージェンスであり、弱気シグナルと捉えられる。

20,000円から16,000円の下落により、弱気の流れは顕在化したともいえるが、RSIの反転の兆しが見えない状況では更なる調整も視野に入れておきたい局面か。

今年5月のハードフォークが迫る中、市場が再びこの材料を積極的に織り込む様な流れとなれば、今年の上昇分を全て吹き飛ばすような下落となる可能性には注意したい。

(3/7 午前7:00時点)

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