3/8開幕のWBC、スポーツファントークンCHZ(チリーズ)に弾みがつくのか

Daily Market Report 2023/3/6

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昨年秋のサッカーW杯で動意づいたCHZ、野球では?

CHZ/JPY週足チャート(当社取引ツールより作成)
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上図は、2022年初頭からのCHZ/JPYの週足チャートである。

CHZは、スポーツクラブとそのファンをつなぐプロジェクト「Chiliz」で用いられる暗号資産として知られているが、上図をみても、昨年秋に開催されたFIFAサッカーW杯を材料に動意づいたことが確認できる。

昨年のCHZ/JPYの動きを振り返ると、年前半は米国の利上げ懸念やウクライナ侵攻の長期化などを背景に軟調に推移したが、6/18に10.118円をつけてからは流れが変わり、9月1週までに週足で11連騰し11月まで上値を追う動きとなった。

その後、11/7のFTXショックでは暗号資産市場全体の急落に巻き込まれると下落トレンドへ転換した。W杯も終わりに近づくと売り優勢が明白となり、開催に先立って事実売りの流れとなったようだ。

足元のCHZ/JPY相場は、12/30に12.389円をつけてからは、比較的底堅く推移しているが、20円を超えられない状況となっている。

CHZの今後の動きを考える場合、スポーツイベントを確認しておく必要があるが、直近に控えているスポーツイベントとしては、3/8のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)だろう。

CHZと野球の関連については、前年のW杯時ほど表立った報道はないものの、2020年に提携した米スポーツマーケティング会社はMLBと契約していることから(2020/2/18 CoinPost)、今後のプレスリリースも視野に入れておきたい。

直近の値動きは、昨年6/18以降の相場形成にも似ており、再びスポーツイベントを材料に上昇する可能性について分析する。

まずは、WBCが材料視された場合のCHZのターゲットプライスを考察する。

競技人口を用いたターゲットプライスの算出

CHZ/JPY週足チャート(当社取引ツールより作成)

上図では、サッカーと野球の競技人口の比率からCHZ/JPYのターゲットプライスを算出している。

前回の6/18安値(10.118円)をスタートとし、11/7高値(43.446円)にかけての上昇が全てW杯によるものだったと仮定すると、W杯は+329%寄与したといえる。

この329%の上昇率をもとに、今回の12/30(12.389円)を底とした場合の上昇幅を考える。

サッカーの競技人口は全世界で2億6千万人と言われていることに対し、野球の競技人口は3,500万人と言われている(国際野球連盟 2012年3月)。

競技人口比率は、野球の競技人口:3,500万人÷サッカーの競技人口:2.6億人≒13.5%

となり、世界的には野球に比べてサッカーの競技人口がかなり大きいことがわかる。

また、サッカーの2.6億人の競技人口による329%の寄与率から、野球の0.35億人の競技人口による寄与率Xを求めると、
2.6億:329%=0.35億:X%
となり、X≒44.4%となる。

よって、ターゲットプライスは12.389円からの+44.4%で17.882円と考えられる。

ただし、17円台は2/6につけた23.078円を下回っていることから、前回のW杯の開催前に高値をつけたように、すでにWBCが材料視されていて、事実売りされている可能性には注意されたい。

仮に下値模索の展開となり、12/30安値の12.389円を割った場合は、6/18安値の10.118円を目指す可能性も考えられる。

この算出方法の問題点として、CHZの市場参加者(買い手)のサッカーと野球の選好度合いを、競技人口と同じ比率と想定していることや、当時の暗号資産市場全体の値動き動向を無視している点が挙げられる。

しかし、この算出方法のシンプルさは一つの強みともいえるだろう。

CHZの市場参加者の選好度合いを加味した場合

CryptoCompare(https://www.cryptocompare.com/coins/chz/analysis/)
3/6午前4:00に取得したデータより、当社作成

上図は、3/6午前4:00に取得したCHZと取引銘柄ペアの比率である。

ここから、市場参加者の選好度合いを考える上で必要な、市場参加者の属性を考える。

まず、54.04%のUSDT、10.18%のBUSD、2.25%のUSDCについてはUSDと連動している銘柄とされており、合わせて68.52%を占めているが、グローバル展開しているため、市場参加者の属性は割り出せない。

3.43%のBTCも同様で、これにその他(2.68%)を加算した計72.58%が市場参加者の属性のつかめない部分といえる。

一方、計27.42%のシェアをもつ法定通貨からは市場参加者の属性をある程度は絞り込むことができる。

上図より、シェアの大きい順から、KRW(17.91%)、TRY(7.46%)、USD(2.05%)となる。

これらは韓国、トルコ、米国となるが、韓国と米国については、野球の強豪国と位置づけられており、この時点で前述の野球/サッカーの競技人口比率よりも、高い結果ではないかと伺える。

次に、この3カ国の野球の競技人口とサッカーの競技人口の比率を考える。

各国の具体的な競技人口については、公式発表がされていないため、プロリーグの観客動員数の比率から推定した。

・韓国
116.8%
≒201万人(2020年KBOリーグの観客動員数)/172万人(2020年Kリーグの観客動員数)

・トルコ
0%
≒データなし(プロ野球リーグが存在しないため)/141万人(サッカーリーグ「スュペル・リグ」の2020-2021シーズン観客動員数)

・米国
1,457.14%
≒1,020万人(2020年MLBの観客動員数)/70万人(2020年MLSの観客動員数)

上記比率を用いて、CHZの市場参加者の選好度合いを考える。

例えば、CHZの17.91%を占めるKRWの取引主体は、サッカーよりも野球を1.168倍(=116.8%)選好するということなので、17.91%と116.8%の積で、20.92%となる。

同様に、TRY(7.46%)は0%、USD(2.05%)は29.87%となる。

属性の絞り込めない72.58%については、前項の競技人口比率より、13.5%を掛け合わせて9.80%とした。

以上の和は60.59%(=20.928% + 0% + 29.87% + 9.8%)となる。

ここから、CHZの取引参加者のサッカーの選好度合いを100とした場合に、野球の選好度合いは60.59であると考えることができる。

これをもとにCHZのターゲットプライスを算出する。

前項より、サッカーW杯が寄与した+329%のパフォーマンスをベースにWBCのパフォーマンスを計算すると、

329%と60.59%の積で+199.33%となる。

12/30安値の12.389円を出発点とすると、ターゲットプライスは12.389円の198.33%で24.695円と考えられる。

全世界の競技人口をもとにした前項の17.882円のターゲットプライスと比較すると、取引参加者の属性を加味したほうが6.81円高いターゲットプライスとなる点に注意されたい。

この方法の問題点としては、暗号資産市場全体の強弱によるCHZの変動が含まれていない点だろう。

昨年後半はFTXショックや米金利上昇を受けたリスク資産の嫌気により、暗号資産市場は下落局面だった。

一方、年初からの暗号市場全体の値動きは、金利上昇への警戒感も和らぎつつあり、比較的堅調に推移しており、CHZの下支えとなった。

しかし、今年2月に入り、米1月雇用統計の非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に上回る結果となったことで、市場ではそろそろ頭打ちとなると見られていた、米金利のさらなる上昇への警戒感も再燃している。

金利上昇はリスクアセットである暗号資産に対しては、下落方向への圧力がかかりやすいと言える。

直近3/3には暗号資産に特化したシルバーゲート銀行の株価急落が発生しており(3/3 Coindesk JAPAN)、金利上昇リスクに加え、暗号資産市場特有のネガティブ材料への注意が必要だろう。

(3/6 午前8:00時点)

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