楽観ムードのビットコイン、FRBバランスシート縮小に見る悲観相場の可能性?

Daily Market Report 2023/2/27

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FRB(連邦準備制度理事会)のバランスシート縮小状況

Tradingview(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
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上図は、FRBの資産総額の推移とその増減額を表したものだ。

現在、FRBはパンデミックとロシアウクライナ戦争に起因する未曾有の高インフレを抑え込むため、金利を引き上げると共に保有する資産の売却等を実施している。

金利の上昇に関しては、米経済指標が示す通りインフレのピークアウトを示唆するような内容が散見されるようになり、2022年後半から今年にかけて金利の据え置きがささやかれてきた。

これにより、BTC(ビットコイン)市場含めリスク資産群は楽観相場を形成し始めているように見えるのも事実である。

しかし、忘れてはならないのはFRBの資産額の縮小に関してである。

FRBが市場に供給する資金の量が減れば、当然BTC市場の上昇を抑制する大きな一因になりかねないのだ。

では、現状累積的なバランスシートの縮小はどの程度進んだのか。

図を確認すると、FRBは資産額9兆ドルのピークを迎えた2022/4/13の資産額から、直近の2023/2/22までは5,800億ドル(約79兆円)ほど資産額を削減していることがわかる。

単純比較は不可能だが、記憶に新しい日銀の為替介入総額が6兆円弱でドル円相場に与えた影響を鑑みると、79兆円という数値がいかに金融市場に大きな影響があるか見えてくるのではないだろうか。

去年5月の後半、FRBは2025年までにトータルで2兆5000億ドルの資産削減を目標とし、月900億ドルの削減を目安に資産縮小を行うと発表した。

現在の縮小額が5,800億ドルであることを考えると、進捗は23.2%ほどしか進んでいないことになる。

去年6月から始まったバランスシート縮小は、今月で9ヶ月目を迎えるが、各月平均の削減額を見ると644億ドルの削減となる。

バランスシート縮小は累積的に行う政策で、金融市場への波及具合にも徐々に影響が及んでくるかもしれない。そのため、インフレピークアウトで市場が楽観的になっても、頭を抑えられるような相場展開が続く可能性も無視してはならないだろう。

前回高値から半戻し

BTC/USD日足チャート(Bloombergより当社作成)

上図は、2022年5月から執筆時点までのBTC/USDの値動きを示したものだ。

チャートからわかる意識されている節目として、
・2022/8/15につけた高値(25203.03ドル≒343万円)と、2022/5/12につけた安値(25424.51ドル≒346万円)と2023/2/21につけた日足直近高値(25235.43ドル≒343万円)を結んだAの25,200USD(343万円付近)ライン
・2022/9/13の高値(22777.32ドル≒310万円)と、2023/2/25につけた安値(22771.3ドル≒310万円)を結んだBの22,770USD(310万円付近)ライン
・2022/11/5につけた高値(21469.5ドル≒290万円)と、2023/2/13につけた安値(21379.21ドル≒290万円)を結んだCの21,300USD(290万円付近)ライン
・2022/12/14の高値(18365.13ドル≒250万円)と、2022年の9月から10月まで幾度となく反応のあったDの18,400USD(250万円付近)ライン
の4つが挙げられる。

現状の値動きとしては、2023/2/21に高値25,235.43USD(343万円付近)を付け上昇トレンドとなっているものの、Bライン(310万円付近)まで戻している。

2023/2/13に付けた安値(290万円付近)から2023/2/21の高値(343万円付近)までの半値ほどを戻してきているようなイメージだ。

このBラインは過去幾度となく反応のあったラインで、上抜けきれず再度高値を切り下げてしまうことも考えられる。

そうなる場合、次の価格節目としては、Cライン(290万円付近)までの下落が視野に入ってくる。

Cライン(290万円付近)が明白に突破されると、Dライン(250万円付近)への下落が加速する可能性には注意が必要だ。

利上げに加えてFRBの資産圧縮を市場が積極的に織り込むようになると、株式を始めとしたリスクアセットに影響が大きく出てくる。暗号資産にとっても、再度、悲観論が強くなる展開も想定しておく必要があるかもしれない。

(2/27 午前7:00時点)

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