3月に大型アップグレードを控えるイーサリアム。アップデート後は狼狽売りの可能性も?

Daily Market Report 2023/2/9

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当社取扱い25銘柄の騰落率

騰落率ランキング(期間2023/1/24 – 2023/2/7)
当社クローズレート(Bid)より作成

上図は、1/24~2/7における当社取扱い銘柄の騰落率のランキングである。

25銘柄中21銘柄上昇しており、1月に引き続き2月に入っても堅調に推移していることが伺える。

その中でも、MATIC(ポリゴン)の上昇率は30%を超えており、他の暗号資産とは一線を画す内容となった。

上昇基調の相場に加え、MATICはインスタグラムやワーナー・ミュージックなど、大手パートナーシップとの協賛を発表。また、MATICは「Polygon zkEVM(※)」の稼働を予定しており、それらの期待が高い上昇率の要因と考えられる。
※Polygon zkEVMは、ZKP(ゼロ知識証明)を活用することで複数のトランザクションをまとめて処理し、イーサリアム(Ethereum)のスループットの向上とガス料金の低下を目指すレイヤー2ソリューションである。高速ファイナリティを備え、大量のトランザクション処理を低コストで実現することが可能になる。

3月に大型アップデート「Shanghai」を控えるETH(イーサリアム)は、上昇はしたものの上昇幅は約5%と他の暗号資産に比べパフォーマンスが弱い印象だ。

ETHのアップデートに向けた値動き

今回のアップデートで注目すべき内容は、ステーキングされたETH及び報酬の引き出しができるようになることだろう。

市場参加者の間では、ステーキングされたETHの引き出しにより、売りが増大する可能性があり、価格への影響について関心が高まっている(1/14 Coinpost)。

2/8にはテストネットである「Zhejiang」でステーキングされたイーサリアムの出金が処理されたこともあり、3月のアップデート実施は濃厚だろう。

本稿では、背景は違うものの、2022年9月に行われた大型アップデート「Merge」前後の値動きを振り返り、3月に行われる大型アップデート「Shanghai」の値動きを考察する。

・2022年9月のアップデート「Merge」

ETH/JPY日足チャート(当社取引ツールより作成)
ETH (イーサリアム)のチャート・価格情報はこちら

上図は、2022年8月~9月末までのETH/JPY日足チャートである。

2022年中盤は米政策金利引き上げやテラショックの影響で、暗号資産市場が落ち込んでいたことを念頭に置いておく。

上図を見ると、大型アップデートへの期待感と、フォークの可能性からか8月中旬までは上昇基調であったことが分かる。

その後、中旬から下旬にかけて値を下げ、8月末には中旬の値上げ幅をほぼ潰し初頭と同水準の価格に落ち着いた。

大型アップデートの期待感はありつつも、トルネードキャッシュ(※)への制裁を皮切りとした暗号資産市場に対する規制強化の流れや、エネルギー危機から懸念されるPoW(Proof of Work)を採用する暗号資産の環境問題などマイナス要因のニュースが多かったことが要因とみられる。
※トルネードキャッシュとは…マネーロンダリングに使用される恐れがある、クリプトの匿名化サービス。

9月初頭から徐々に値を上げていくも、アップデート直前の9/11頃より値が下がりアップデート日(上図赤丸)を通過。下旬には一時17万円を割る場面もあった。

要因として、米国株式市場の連れ安、分裂で誕生したETHPoWの混乱、その後、混乱がひと段落したところでの売りが考えられる。

上述した要因でアップデート後は軟調な展開だったETHであるが、3月のアップデートではどのような値動きになるのだろうか。

「Merge」のときの様相を考慮すると、現在の堅調な相場と相まって期待感からある程度の上昇は維持するとも考えられる。

実際にETHは1/1から2/7終値ベースでみると39.89%上昇と凄まじい勢いで推移している。
上昇の鈍化は考慮する必要はあるが、アップデート日の前までは堅調に推移する可能性もあるだろう。

現時点で、詳細な日時は発表されていないものの、「Shanghai」アップデート直前の値動きには注意が必要だ。

「Merge」アップデートの際には、売りの先行でアップデート前に値が落ちた。

前述したとおりETHは年始から約40%近く上昇しているため、利確売りが多く発生する可能性もある。

それらに加え、アップデート後はステーキングしたETHと報酬を引き出せるようになるため、上昇した相場と相まって利確売りが促進し、狼狽売りを呼び込んで下げが加速する可能性も考えられるだろう。

2022/9/13~現在までのETH/JPY1日足チャート(当社取引ツールより作成)

現在、ETH/JPYは約21万円で推移しているが、上述のとおり、狼狽売りにより下落が加速した場合、2022年9月~2022年10月のサポートラインであった17万円を目指すこともあろうか。

詳細なアップデート日時が発表された際は、値動きや今後のスケジュール等に十分注意しておきたい。

(2/8 午後10:00時点)

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