CIE指数が2020年ぶりの鈍化、暗号資産市場には追い風か?
Daily Market Report 2023/1/16
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・米国の共通インフレ期待指数(CIE)推移
FRB公開資料より当社作成
左軸:SPF調査の10年先PCE
右軸:ミシガン大学の消費者物価調査
上図は、FRB(米連邦準備制度理事会)が年4回発表しているCIE(共通インフレ期待指数)を表したものだ。
青線がSPF(フィラデルフィア連銀の経済調査「サーベイ・オブ・プロフェッショナル・フォーキャスターズ」)調査の10年先PCE(個人消費支出)を反映したもので、オレンジ線がミシガン大学の消費者物価調査を反映したものである。
今までFRBは、インフレを図る指標としてBEI(ブレークイーブンインフレ率)と呼ばれる、価格変動の激しい商品価格やエネルギー価格を省いた、市場中心のコアインフレ指標を重要視していた。
しかし、コロナによるサプライチェーンの遅延やロシアとウクライナの戦争に起因するコストプッシュ型のインフレ実情を把握するために、食品価格やエネルギー価格を加えた一般消費者目線のインフレ指数であるCIE(共通インフレ期待指数)を重要視する方向にFRBはシフトしている。
図を見ると、直近の推移は依然として2008年から2009年レベルの高水準に位置しているものの、ロシアウクライナ戦争が顕在化してから初めて共通インフレ指数がマイナス成長となっており、FRBが問題視している食品価格やエネルギー価格を含めたインフレが鈍化してきていることがわかる。
直近でも、1/12に発表されたCPIが前年同月比6.5%と低い水準であったことや、12月の雇用統計で平均時給前年同月比が予想5.0%に対し実績値4.6%とサプライズな展開となり、唯一堅調な推移だった労働市場もインフレ後退傾向を示している。
2023年の利下げは見込んでいないというのが、現FRBボードメンバーの共通見解ではあるが、今後の各経済指標やCIE指数の内容次第によってはリセッション懸念から方針転換する可能性もありえるだろう。
金融引締め局面が終焉局面を迎える兆候が見られれば、BTCやETHをはじめとする暗号資産市場やリスク資産市場には追い風となるため、今後の先行きに注意が必要だろう。
・テクニカル分析
ETH/JPY日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
ETH(イーサリアム)のチャート・価格情報はこちら
上図は、2022/5/27から執筆時点(2023/1/15)までのETH/JPYの日足チャートである。
足元のETH/JPYの相場状況は12/14に付けた179,000円の高値を上抜き推移しており、堅調な相場推移が続いている。
今回は、今後のETH/JPYの相場推移について、ライン分析と移動平均線を用いて考察していく。
分析する上で重要な価格水準を上図に描画した。
・Aライン(215,000円付近)5/27の安値と11/2のダブルトップのネックライン
・Bエリア(195,000~200,000円付近)8/22の安値であり、9/22から10/18まで上値抵抗帯として機能していたライン
・Cライン(179,000円付近)7/26の安値、12/14の高値のライン
・Dライン(170,000円付近)7/8の高値、9/22の安値のライン
・赤の20日移動平均線(日足の長期トレンド確認)
直近の20MA(赤の20日移動平均線)を見ると、最後に形成した谷で11/21に付けた146,000円の安値を切り上げ、12/30に付けた安値152,000円をつけた。
このことから直近のトレンドは安値の切り上げ、高値更新しており日足の長期トレンドが上昇相場入りしていることがわかる。
図に赤の破線矢印で示した通り、上昇トレンドがこのまま続くようなら、Bエリア(195,000~200,000円付近)を上抜けた後、Aライン(215,000円付近)を目指してくる展開も想定しておきたい。
上述のとおり、このまま、金融引締め局面が終焉を迎える兆候が見られれば、その可能性も高くなるだろう。
一方で、上昇が一旦終了し、下落を誘う相場になるなら青の破線矢印で示した通り、Cライン(179,000円付近)、Dライン(170,000円付近)の下抜けの可能性も高くなる。
暗号資産市場は全般的に買戻しが優勢となっているが、完全に底値をつけたと判断するまでは警戒感も必要な展開が続きそうである。
(1/15 午後10:00時点)
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