高い水準を維持するTVL。DeFi市場から見える2023年のリスクは
Daily Market Report 2023/1/6
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・DeFi市場の存在感は衰えず
2022年は暗号資産にとっては厳しい年となり、暗号資産の代表格であるBTC(ビットコイン)は年初来で約6割下落。同時に暗号資産全体の時価総額も縮小することとなった。
その一方で、銀行のような中央管理者が存在せずプログラム上で暗号資産の貸し借りなどができるDeFi市場は一定の過熱感が残っており、関連銘柄の下落リスクがあるといえるかもしれない。
tradingview.com、defillama.comより当社作成
上図は、暗号資産の時価総額と、同時価総額に対するTVL(※)の割合を表したものである。TVLはDeFi市場に預け入れ(ロック)されている価値総額を表している。
※TVL=Total value lockedの略。DeFi(分散型金融)プロトコルに預けられた暗号資産の価値のこと
暗号資産全体が乱高下した局面でもTVLの同割合(上図赤線)は2022/5のピーク(約9%)までほぼ一貫して上昇しており、足元でも2021年上半期の水準を維持している。暗号資産の時価総額が急激に縮小する中でもTVLの存在感は衰えていない状況だ。
TVLはDeFi市場に資金が流れ込むと加速度的に膨らむ傾向があり、DeFiへの関心度合いを測る指標のひとつとして知られている。
2022/5のルナショック時(上図黒矢印)にはDeFiへの預け入れ総額低下に伴ってTVLも同時に低下し、ETH等の関連銘柄の下げが目立った。しかし、足元のTVLの同割合(上図赤線)は5%台を維持しており、暗号資産全体と比べDeFiの活況具合はいまだ健在であるとの判断もできるかもしれない。
もし、再びDeFi市場が急激に縮小すれば、ETH関連銘柄のBAT・LINK・ENJ・ETCや、DeFi市場で扱いが活発なMKR・TRX・AVAXといった銘柄は特に影響を受ける可能性もありそうだ。
それでは、DeFiの低迷という悲観的シナリオは2023年に現実のものとなるだろうか。視野を広げてマクロ経済環境を鑑みると、その可能性も完全否定はできなそうだ。
・危機は意外と目の前に?
上図は、2000年以降の利上げサイクルにおける米国金利(FFレート)のピークとなった年と、その後の経済危機についてまとめたものである。なお、2019年の利上げサイクルは、ピーク時FFレートが2.3%と相対的に低いため上表には載せていない。
市場参加者の米金利予想を表すフェドウォッチによると、2023年のFFレートは5%近くに達すると見られており、これは2007年と似たような水準である。そして、2008年にはリーマンショックが起こっている。
仮に、世界的に経済が一気に悪化することとなれば、リスク性資産とされる暗号資産には逆風となりそうだ。
現在のDeFi市場がバブルから抜けきっていないと考えると、暗号資産内で最も負の影響を受けるセクターはDeFi市場ということも考えられるかもしれない。
暗号資産銘柄は全体的に似たような当落推移になりやすいものの、2022/11のFTXショックではLTC(ライトコイン)、BCH(ビットコインキャッシュ)といった残高に相当するUTXOを単純にやり取りする機能のみを持つ銘柄に買いが集まった。LTC、BCHは共にDeFi市場との関係性が薄い傾向にある銘柄でもある。
今後どのような材料が出てくるかは分からないものの、2023年は暗号資産市場内での銘柄選別がハッキリする年になるかもしれない。特にDeFi関連銘柄の動向には注視しておく必要があるだろう。
(1/5 午後4:00時点)
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