イーサリアム -2022年の振り返りと今後の展望-
Daily Market Report 2023/1/5
期間:2022/1/1~2022/12/31
Wall Street Journal、CoinGeckoより当社作成
ETH(イーサリアム)のチャート・価格情報はこちら
2022年は3月にロシアによるウクライナ侵攻によって暗号資産の需要が増加したかに思えたが、その後の米国の政策金利上昇や、5月のテラショック、6月のセルシウスショック、11月のFTXショックなどにより、「暗号資産の冬」といわれる状況が続いたまま、2023年を迎えることとなった。
実際、この状況は上図の推移をみると一目瞭然であり、代表的な暗号資産であるBTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、XRP(リップル)は、2022年1月から年末までに、価格がそれぞれ約60%程度下落することとなった。
現時点では、米国の政策金利が下落に向かうことで暗号資産の冬が終わると考えられているものの、肝となる政策金利の下落の予測が難しく、今年の年末ごろになるという見方もあるため、我慢の時期はまだまだ続くかもしれない。
・イーサリアムの展望
暗号資産の冬であるとはいえ、ETHの材料は豊富に存在する。
Ethereum Foundationより当社作成
まず、昨年9月に実施された「The Merge」は、イーサリアムのメインネットがPoW(プルーフ・オブ・ワーク)からPoS(プルーフ・オブ・ステーク)に移行したことだけでなく、イーサリアムを長年悩ませたスケーラビリティ問題を改善するための基盤となるアップグレードでもあった。
そしてついに、今年中にイーサリアムのスケーラビリティ問題を根本的に改善する「The Surge(またはシャーディング)」と呼ばれるアップグレードが実施される見込みだ。
このアップグレードによって、イーサリアムのトランザクション手数料がどれほど安くなるのかについてはまだわからないものの、シャーディングは昨年実施されたThe Mergeと同様に大きな注目が集まるアップグレードとなるだろう。
また、イーサリアムの直近のイベントとしては「Shanghai(上海)」と呼ばれるアップグレードが3月に予定されている。
現時点では、イーサリアムネットワークに参加するためには32ETH(約512万円)のデポジットが条件とされており、これを引き出す手段が存在しないが、ShanghaiアップグレードによりバリデーターはデポジットしたETHの引き出しが可能になるとされているため、ネットワーク参加者にとっては非常に重要なアップグレードであるといえるだろう。
これにより、ユーザーの資金的な問題が解決するため、イーサリアムネットワークの参加者はより増加し、DApps開発の分野で他の暗号資産に対し、さらなる独占的な体制を強化できるかもしれない。
期間:2022/6/12~2022/10/16
ETH/JPY チャート(当社取引ツールより作成)
上図は、The Merge実施前後のETH/JPYの価格の値動きである。
The Mergeのケースでは、9月実施に向けて期待感を先取りした買いから価格は上昇した後、実施後は事実売りが発生していることがわかる。
ETHは昨年6月時点の約13万円からThe Merge実施1カ月前となる8月に約26万円まで上昇後、9/14のThe Merge実施後は価格を下落させている。
現在、ETH/JPYは15万円台での推移が続き、上値の重い展開が続いているが、Shanghaiのアップグレードが今年3月に予定されていることから、前回のThe Merge実施時のように、その前後での値動きには注意が必要だろう。
今回、上述のとおり、Shanghaiのアップグレードにより、ETHへの期待はより高まるが、一方で、米国の政策金利の下落予想が難しい現在の状況において過度な期待は禁物である。
これらのことから、少なくとも、米国の政策金利の動向に目途が付き、暗号資産の冬の「雪解け」が行われれば再びETHが脚光を浴びる要素は存在するため、ETHの今後の動向に注目する価値はあるといえるだろう。
(1/4 午後7:00時点)
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