2022年、TRX(トロン)が比較的堅調、下落に強い銘柄の条件とは
Daily Market Report 2023/1/4
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・2022年末、時価総額ランキング:明暗を分けたのは「流動性」と「売買材料」?
暗号資産市場内における時価総額順位の変動(取得日時:2022/1/2 7:00 , 2023/1/1 7:00)
CoinMarketCap(https://coinmarketcap.com/)より当社作成
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上表は、暗号資産市場における2022年の年初から年末までの当社取扱い銘柄の時価総額順位(100位以内)の変動である。
まず、ランキング上位(青枠)の銘柄からみていこう。
BTC、ETHの順位は昨年と変わらないが、XRPとADA、LTCとTRX、DOTとAVAXがそれぞれ逆転しており、時価総額が高い銘柄でも1年で順位が入れ替わる暗号資産の市場特性が確認できる。
個別に変動要因をみていくと、XRPは2020年末にSEC訴訟を受けて急落するまで、時価総額5位以内に位置することの多い銘柄だった。このため、当時から各国の取引所に上場する流動性の高い銘柄と考えられる。急落後もSEC裁判の進展に関する報道や、リップル社のレポートやSwell、欧州での事業拡大など、売買材料が多く、これらも一定の流動性を提供していたようだ。
ADAはオンラインサイトでの使用を目的に開発され、2021年中旬にかけて急騰した銘柄である。ADA自体に明確な悪材料はないものの、2022年が暗号資産市場全体にとって逆風だったことを踏まえると、前年よりも流動性リスクが意識され、XRPが選好されやすい相場になったとも考えられる。
流動性の観点でいえば、2020年以前に時価総額上位だったLTCに対して、2021年以降からイーサリアムキラーとして注目されたAVAXも劣後していた可能性があり、順位の変動に繋がったとも考えられる。
TRXは27位から13位へ大きく順位を上げている。これはTRXの創設者ジャスティン・サン氏がTRX基盤のステーブルコインを発表したことや(2022/4/22 CoinPost)、ドミニカ国政府がBTCに次いで国家通貨としてTRXを承認したことが(2022/10/13 CoinPost)、功を奏したと考えられる。
次に、ランキング下位(黄枠)をみると、LINK、BCH、XLMには大きな変動がない一方で、ETCやCHZが10位以上躍進している。CHZはスポーツトークンの側面が強く、2022年の冬季五輪やサッカーW杯に関連して注目された。ETCは特に明確な理由がないものの、高い流動性(米国の個人投資家に人気のアプリ等、幅広い取引所で上場している)や、ハードフォーク元のETHがアルトコイン時価総額首位であること、NFTに関連した材料銘柄としての側面が好感され、下支えに繋がっているとも考えられる。
一方で、前述のAVAXもNFT作成機能がプラットフォームに取り組まれているが(2021/10/30 CoinPost)、順位を下げていることから、NFTに関連した銘柄であることが十分条件とはいえない点には留意されたい。
また、大きく順位を下げたBATやENJは特に明確な悪材料はないものの、各国政府との提携等といった主な報道もなく、売買材料に乏しい銘柄だったといえる。ETHから分岐したETCの躍進に比べ、BTCから分岐したBCHが上がらなかった点も材料難が一因だったと考えられる。
以上の2022年に順位の変動した銘柄の特徴から、以下の上昇要因が示唆される。
・高い流動性(下落相場においても安心感に繋がる)
・売買材料(スポーツ、政府・企業との提携、発行体による発信、NFTやゲームとの関連も依然として好材料)
最後に、個別銘柄の騰落率をみてみよう。
・騰落率では、TRXを除き50%超下落
2022年 価格騰落率(取得日時:2022/1/2 7:00 , 2023/1/1 7:00)
CoinMarketCap(https://coinmarketcap.com/)より当社作成
※ZPGは金価格より算出した推定値
上表は、2022年の年初から年末までにおける(前項と同期間)当社取り扱い銘柄の騰落率ランキングである。
ランキングをみると、全銘柄が下落しており、2位までの銘柄は「逆テンバガー」となっている(赤枠)。しかも22位までの銘柄(青枠)は半値になっている。これらを見ても暗号資産にとって逆風の一年だったと再認識できよう。
そのなかで、23位のTRXが暗号資産で唯一、半値以上の価格を保っている。
TRXに関しては、上述のとおり、TRX基盤のステーブルコインの発表や、ドミニカ国政府がBTCに次いで国家通貨としてTRXを承認しており、このような売買材料からか、TRXよりも流動性が高いと考えられるBTCやETHよりも騰落率の下げ幅の値を小さく保っている。
今後、TRXのこれらのニュースの進捗具合では、現在の6円台から、2022年11月頃の価格である9円台までの回復も見えてくるかもしれない。
TRXと同様にXRPがBTCよりは堅調である点をみても、流動性以上に売買材料があることが、重要な要素と考えられ、今後の展開を探るうえでも活用できそうだ。
2023年は、以下のような暗号資産のアップグレード等が予定されており、今後の売買の好材料になるかもしれない。
・3月頃:ETHの次期アップグレード「Shanghai」
・5月頃:BCHのネットワークアップグレード
・8月頃:LTCの半減期
また、市場環境が好転した場合は、流動性の低い銘柄も嫌気されづらくなり、暗号資産内で順位の変動が起きると考えられるため、市場全体の時価総額を注視することも必要だろう。
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