米株との連動性を失うビットコイン、過去の金融危機に習う一段安の可能性

Daily Market Report 2022/12/19

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リーマン・ショック時との相関性も失うBTC

図1

図2
Tradingview(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
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上図は、現在の金融引き締め下のS&P500(図1)、2007/10/11の高値からのリーマン・ショック時のS&P500(図2)と2022年初からのBTC/USDを営業日ベースで約1年間の値動きを比較したものだ。

当社のレポートでもよく取り上げるように、近年のBTCは金融市場の中で、一リスク資産として普遍的に受け入れられつつあり、S&P500などの米株市場と相関性を強めてきた。

しかし、上図1の通りFTXショックを皮切りに逆相関気味になってきている事がわかる。

米国株式市場に対する直近の材料としては、まず12/13に公開されたCPI(消費者物価指数)があり、前年比7.1%と事前の市場予想より低く、インフレが頭打ちになってきていることが明確になってきた。

その後、12/14日本時間未明にFOMC(連邦公開市場委員会)の政策金利が発表され、50bpの利上げとなった。

先月まで4会合連続して75bpの利上げがなされていたが、ついに利上げ幅が縮小された。しかし、依然としてFRB(米連邦準備制度理事会)はタカ派姿勢を継続しており、23年内の利下げを検討していないとの見方も示した。

米インフレ経済指標が頭打ちであることや、FOMCがタカ派的ではあるものの予想範囲内であり、市場参加者にとってはサプライズではなかったことから株式市場は息を吹き返して堅調な相場推移であるように思われる。

しかし、BTCに関しては、FTXショックを皮切りとした暗号資産業界への安全性不安が依然として拭えない状況が続いており、不安定な相場環境のように思える。

この差が両市場の逆相関を生み出している可能性として考えられる。

他方で、リーマン・ショックが始まったとされる、S&P500がそれまでの最高値を更新して以降の1年間の値動き(2007/10/11)と、2022年初からのBTC/USDの約1年間の価格推移には似通った点が見られる。

不動産担保ローンの破綻が顕在化してきた2007年後半には世界的な金融不安が高まり、米株市場も未曽有の景気後退に引っ張られるように下落を始めた。

2008年後半に大量の不動産担保ローンを保有していたリーマン・ブラザーズが経営破綻となると、米株市場下落に拍車をかけた。

暗号資産市場も、市場が下落を始めてしばらくして取引高世界二位のFTXが破綻し、市場全体に信用不安が広がっていることを考えると、状況はかなり類似的であることがうかがえる。

図2を確認すると、全体を通して下方向であることは一致しているものの、細かい部分では逆相関しているようにみえる。

リーマン・ショック時は金融破綻による経済低迷のため米中央銀行が取る金融政策は金融緩和であり、市場に資金の供給が行われ、株価の下支えとなった。

しかし、足元ではインフレが加熱しており、金融引締に舵を切っている状況である。

米利上げのペースに緩みが見られるものの、目先は利上げが行われる状況であり、米国の景気後退も不安視される中ではリスク資産である暗号資産市場は上値の重い展開が続くこととなろう。

今後もし、足元の状況が相反する中で、相関関係を強める方向に動き、暗号資産市場がリーマン・ショック時の相場状況を踏襲するなら、今年6月の暴落レベルの売りが出てくる可能性も考慮に入れておくべきかもしれない。

米中央銀行の量的引き締めはどの程度完了したか?

Tradingview(https://jp.tradingview.com/)より当社作成

FRBは、これ以上の利上げ幅拡大は民間銀行への利払い額が増大してしまうため、金利を据え置きとし、6月からバランスシートを縮小することで市場に出回る資金の量を減少させ、インフレ熱に冷水を浴びせる段階に入っている。

FRBは、2022/9から縮小の限度額を950億ドルとしており、2022/9は720億円の縮小となり、約76%の達成率となった。

2022/10の縮小額はかなり多く、1,400億ドルとなり、145%の達成率となった。保有している債券価格低下などが、想定以上の縮小額を引き起こしている要因かもしれない。

中央銀行はトータルで2兆5000ドルほど縮小するつもりであり、最初の縮小が始まった2022/6から3000億ドルほど達成しており、進捗率は13%ほどである。

このペースを保つなら、終了時期は2年と5ヶ月ほど先の計算となる。当初の計画通り2025年半ば~年末までの見通しとなろうか。

これらを踏まえると、これまでの量的緩和により資金が流れ込んでいた市場から資金が抜けていく段階であると言え、楽観的になるのはまだ早いと考えられる。

BTC/JPYの価格は、CPI後の12/14に一時244万円に動いたが、基本的には220万円~230万円の間で軟調な状況が続いている。

暗号資産市場がリーマン・ショック時の相場状況を踏襲したり、上述のように市場から資金が抜けていく段階だとしたら、BTCの価格がもう一段下落する可能性も考えておきたい。

(12/19 午前7:30時点)

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