Mergeによりイーサリアムに下落耐性か?非インフレトークン化で見直し買いも
Daily Market Report 2022/12/12
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表題のMergeとは、今年9月に行われたイーサリアムの大型アップデートのことである。
当社マーケットレポートでも、このアップデートについては、「ETH(イーサリアム)のアップデート”The Merge”は価格推移にどう影響するか」や、「ついに実施されるThe Merge。ETH(イーサリアム)の行方はいかに」など、たびたび取り上げていた。
PoWからPoSへの変更に目が行きがちだが、ETHの総供給量が一定、あるいは減少傾向にあることも今回のアップデートで注目しなければならない材料だろう。
言い換えると、Merge前まではETHは供給量が増え続けていたことからインフレするトークンであったが、Merge後は供給される量とburnされる量があまり変わらないトークンに生まれ変わったのだ。
これがETHにどのような変化をもたらしたのか、ETHのBTC建チャートから見ていく。
・ETH/BTCチャートから見るETHの強さ
ETH/BTC 日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
ETH (イーサリアム)のチャート・価格情報はこちら
上記は、今年の5/15から現在までの、当社のETH/BTCの日足チャート(ライン)である。
BTC建で見る理由は、ほかのファンダメンタルズによる影響を極力省く狙いがある。
さて、9/15はMergeが完了した日であるが、6月頃からこの日あたりまではETHがBTCに対して大変強いことがわかる(上図青矢印)。
ただし、この上昇はMergeへの期待上げやエアドロップに対する期待など、ニュースに反応した一時的な上昇であり、一般的にはこうしたイベント後は元の価格帯付近まで落ちる例をよく見る。
しかし、9/15以降ETH/BTCは一度0.065BTC付近まで落ちたが、その後回復し、ETHの価格は現在約0.073BTCであるのだ。
つまり、Mergeに対して期待で上げられた強さを、現在でもほぼ維持しているといえよう。
ETHは、2021年11月、円建で最高値約55万円をつけたが、この時はトークンの供給量が増え続けていた時であった。
ETHの体質変化、つまり非インフレトークンとなったことに対し、市場の折り込み度合はまだ十分でないかもしれない。
米国経済やFTXなどの外部要因にもよるが、市場が好転する局面においてはデフレ傾向にあるETHは最高値更新の可能性も視野に入れておきたい。
・テクニカル分析
次に、円建でテクニカルな視点から分析する。
ETH/JPY 週足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
上図は、2021年中旬から現在までのETH/JPYの週足チャートである。
BTC建では強さを見せるETHだが、円建で見ると下降トレンド真っただ中である。
この下降トレンドは1年以上続いており、そう簡単には好転するように見えない。
しかし、多くの暗号資産がLUNAショックによりつけた安値を下回っている中で、ETH/JPYは2022/6/13の11万円を未だ割り込んでいない。
現在は約17万円をつけているが、このまま上昇すれば約20万円で下降トレンドラインとぶつかることになる(上図青丸)。
このラインを超えられるか否かで、今後のトレンドが変わる可能性もあるだろう。
・今後のファンダメンタルズ要因は?
まずは明日、12/13にCPI(消費者物価指数)、そして12/14にFOMC(米連邦公開市場委員会)と、今週は大きく価格が動きそうなイベントが目白押しだ。
インフレを抑え込むために金融引き締めを行ってきたが、景気後退の懸念から今回のFOMCでは利上げペースが緩和される見方が強い。一方で、明日のCPIの数字によってはアメリカ経済はまだ堅調であるという見方ができ、FOMCの結果を左右するかもしれない。
最近は暗号資産もボラティリティの小さい展開が続いているが、見通しが立ちにくい中での経済指標であるため、今週の値動きは特に注視していきたいところだ。
(12/12 午前6:00時点)
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