FTX破産懸念から30%安のビットコイン。悪材料出尽くしから反発なるか?

Daily Market Report 2022/11/11

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FTX社債務不履行で広がる不安感

11/3、海外暗号資産取引所FTXのCEOであるSam Bankman-Fried氏が所有する暗号資産ヘッジファンドの『Alameda Research(以下Alameda)』が、FTXが発行するトークンFTTを担保に大量の資金を借りて運用していることがcoindeskよりリークがあった。

Alamedaに移管された資金の中には、FTXが所有する顧客資産もあったという。

一方、海外暗号資産取引所BINANCEのCEOであるC.Z.Zhao氏は11/7、自身のTwitterで、“最近明らかになった情報”を理由とし同社保有の大量のFTTを数か月にわたって売却する意向を示した。

このニュースの影響でFTTの価格は11/7に前日比10%、11/9に同80%も下落することとなり、同トークンを差し入れ担保資産としているAlamedaの破綻懸念に繋がった。そして、その影響はAlameda Research社の主要債権者であるFTXにも波及し、FTXからは数十億ドル規模の顧客資産の出金が行われた。

FTXは最悪の事態を免れるために、他の複数の暗号資産交換業者に同社買収を持ち掛けるも、同社の負債額が大きくディールは成立しなかったことが本日未明にわかった。

この一連の騒動により暗号資産は11/8以降、軒並み全面安となっている。

ターミナルレート(政策金利の最終到達点)はどこか

FTX事件の一方で、さらに無視できないのは、米金融引き締めの金利ターミナルレートがどうなるかだろう。

11/4に発表された雇用統計では非農業部門雇用者数が予想19.5万人に対し大きく増え26.1万人増加となった。しかし、FRBがインフレを図る指標として重要視している平均時給前年比は市場予想4.7%に対し、4.7%と事前予想通りの水準となり、高止まりの様相を見せた。

米JOLT労働調査(求人件数)に関しても、事前予想975万件に対し1071.7万人と、インフレによる雇用市場の力強さが目立つ結果となった。

11/3に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)に注目すると、支出と生産の指標に関しては低成長の傾向を見せているものの、依然として労働市場は力強く、インフレの圧力は根深いものがあるとした。

しかし同時に、金利のターゲットレンジ引き上げペースを考慮するにあたって、現状の金融引き締め政策がどの程度経済にマイナスに働くか、また、利上げが実質的に経済に影響を及ぼし目に見えて経済指標等に現れるようになるまでのタイムラグ、そして経済と金融の発展への影響度を考慮すると明言があった。

実際に11/10 日本時間午後10時30分に発表された米消費者物価指数(前年比)は、事前予想7.9%に対し、7.7%と依然高水準ではあるものの鈍化の様相を見せた。

これを受けて、CME(シカゴマーカンタイル)のFED WATCHでは12月の利上げ幅予想0.5%を市場は80%の確率で織り込んだ。

11月、12月に発表が予定されている指標や、特に雇用指標が鈍化すればターミナルレートは予想されている5%以下で収まる可能性もあり、実体経済はソフトランディングといえるラインで推移する可能性も残されているといえようか。

悪材料出尽くし?反発するBTCの価格

BTC/JPY 日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
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上図は、10/23から現在までのBTCJPYの日足チャートである。

FTX関連の一連報道により約30%下落したBTCであるが、執筆時現在は陽線を付け反発傾向にある。

これは、悪材料の出尽くしでFTXの倒産まで織り込んだ価格といえるのではないだろうか

暗号資産分析プラットフォームのグラスノードによると、BTC先物証拠金取引の担保資産は現金同等資産(ステーブルコインや法定通貨)が約65%と過去最高水準に高まっている。裏返せば暗号資産を担保とした取引は約35%となっており、これはピーク時の2021/5の約70%から半減している。

暗号資産全体の下落による証拠金不足に伴うBTCロスカットという負の連鎖は、過去に比べ起きにくい環境でもありそうだ。

しかし、FTX絡みの騒動は収まりの兆しが未だなく、材料次第では暗号資産市場はもう一段安となる可能性も否定できない。

(11/10 午後9:30時点)

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2022-11-11
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