20,000ドル回復のBTC(ビットコイン)、このままキープなるか?

Daily Market Report 2022/10/31

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10月は経済指標に加え、暗号資産価格への影響が大きいとされる米テック企業の決算が発表された。今回は10月の指標・決算発表によるBTCの値動きとテクニカル分析から今後の値動きについて考察する。

相場環境について

表1. 米国経済指標とGAFAM3Q決算

図1.米株指標とBTCの値動き
TradingViewより当社作成

上の表1は10月に発表された主な経済指標の予想と結果、下の図1は米株指標とBTCの値動き(期間:2022/10/3~28、日足、終値)である。

図1を見てみると、月初と比較して全ての米株指標及びBTCがプラスで推移しており、とりわけNYダウの強さが目立つ。NYダウは、米国で影響力があり長期にわたり成長し続けている企業30社が厳選されている。

NYダウの上昇は、利上げの出口を見据えた動きと思われ、カナダ中銀が26日に実施した0.5ポイントの利上げが市場予想である0.75ポイントを下回る結果だったことが影響を与えているようだ。

アノマリーである年末ラリーや中間選挙を控えて、米国株は上昇する可能性が意識されており、これもNYダウ上昇につながっているかもしれない。

次に表1に記載した特記事項について深堀してみる。

・指標
雇用統計やCPI(米消費者物価指数)などの発表時、景気減速懸念が後退、賃金上昇が物価上昇圧力につながるとの見方などから、米中央銀行が大幅な利上げを継続する見通しが強まった。そのため米株や暗号資産市場は下落。

GDP速報値の回復について、バイデン米大統領は米経済が「力強く前進し続けている」証拠だと述べた。しかし、FRBの利上げを後押しすると捉えたのか全体的に重い値動きとなった。

FRBが物価の指標として注目しているPCE(米個人消費支出)は前年比+5.10%と8月の4.90%から加速した。

過度な利上げによる景気後退を回避するためにFRBは利上げを一旦停止するとの見方もあるが、CMEグループのFedWatchによると、11月米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75%ポイント利上げの確率は81.3%、12月会合の0.50%ポイント利上げの確率は45.0%となっている。11/1~2のFOMCを通過するまでは様子見となるだろう。

・決算
売上高が予想より良かったものでも、メイン事業が減収だったり、EPS(1株当たり利益)が予想に届かなかったりと全体的にまちまちだった。そのため、27日はハイテク株の寄与が高いナスダック総合指数とS&P500は下落となった。

・BTC
BTCと米株指数の相関は低くなりつつあるが、米株指数に連動した値動きが確認できる。とくに、またS&P500との相関がまた強くなりつつある。(Daily Market Report 2022/10/18「米国中間選挙まで1か月、ビットコインへの影響は?」参照

しかし、25日と26日に関してはBTCだけが大きく上昇を見せた。この背景に考えられるのはイギリスでスナク新首相が就任したことではないだろうか。

スナク首相はデジタル通貨やブロックチェーン関連に前向きであり、過去には「英国を暗号資産技術の世界的なハブにすることが私の野望である。」と述べている(10/26 コインテレグラフ)。今後の動向にも注目だ。

マルチタイムフレーム(MTF:MultipleTimeFrame)分析

図2. 週足Bidチャート(左図)日足Bidチャート(右図)(当社取引ツールより作成)
上:BTC/JPY価格
中:MACD(12,26,9)
下:スローストキャスティクス(14,3,3)

図2は、BTC/JPYのチャートであり、左は週足(期間:2022/3/14~現在)、右は日足(期間:2022/9/21~現在)の各々に一目均衡表(9,26,52)とMACD(12,26,9)、スローストキャスティクス(14,3,3)を表示させたものである。

同指標を活用したマルチタイムフレーム分析(※)から見る今後のシナリオは、一度290~295万円まで下落した後に、328万円を目指す展開である。
※マルチタイムフレーム(MTF:MultipleTimeFrame)分析:複数の時間足チャートを複合的に分析すること

<上位足(週足)の注目点>
・MACD線とシグナル線がマイナス圏でゴールデンクロス
・ストキャスが上昇目線
・ターゲットプライスは328万円

<下位足(日足)の注目点>
・MACDのヒストグラムが極大値経過
・ストキャスが過熱
・ターゲットプライスは290~295万円

図2を見て分かるとおり、上位足(週足)のMACDはマイナス圏で推移しているが、下位足(日足)のMACDはプラス圏で推移、さらにヒストグラムは極大値からの減少が確認できる。

「MACDヒストグラム=MACD-シグナル線」であり、価格変動に対してデッドクロスよりも反応が早いため、日足レベルでは上げ止まり、下落の示唆とも推測できる。

また、ストキャスも同様に、週足は上昇を示唆、日足では80付近のため下落を示唆している。

下落する場合は、下位足(日足)の一目均衡表の雲上下で形成した293万円付近がサポートとなるのではないだろうか。また、293万円付近は、ドル建てでみると20,000ドルのラインであり、心理的に大きな節目であるため、強力なサポートとなり得る。

293万円で反発後、上位足(週足)では何度も上抜けを失敗している328万円を目指す展開が想定されるだろう。

(10/31 午前8:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

10/30の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は-0.31%、中央値は-0.92%、標準偏差は1.25%となった。

最大上昇銘柄はCHZ/JPY14.86%、最大下落銘柄はETC/JPY-4.40%

最大上昇銘柄のCHZ/JPYは28.605円でオープンし、32.855円でクローズとなった。20時の4時間足を確認すると、一目均衡表の雲上限での反発していることがわかる。ストキャスは75でのデッドクロスを形成し、下落を示唆している。

最大下落銘柄のETC/JPYは、3794.0円でオープンし、3627.2円でクローズとなった。4時間を確認すると、一目均衡表の雲上限がサポートとなっているようだ。また、スローストキャスティクスは25にさしかかり下げ止まりが示唆される。

24時間ボラティリティ(%)

社内データより作成

10/30の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は4.88%、中央値は4.25%、標準偏差は3.41%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はCHZ/JPY18.02%。

一方、最もボラティリティの低かった銘柄はZPG/JPY0.00%となった。

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2022-10-31
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