底堅い動きを見せるBTC(ビットコイン)。先行きは11月の指標が握る?
Daily Market Report 2022/10/28
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・BTCは米国株より底堅い値動き
Trading viewより当社作成
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上図は、今年9月初旬から現在までのBTCとNYダウ平均株価の値動きを比較したものだ。
よく耳にするように2021年から、BTCと米国株式市場は、相関関係の強まりが目立つようになってきた。
これはひとえに、これまで新興の代替的資産市場だったBTCが、株式や債券などの伝統的金融市場と同様に普遍的に認識され始めていることを示しているといえる。
しかし、ここ最近のBTCの値動きに着目すると、相関性は認められるものの米国株式市場より、底堅い値動きをしていることがわかる。
NYダウは今年9/7に付けた31,500USD付近の安値からさらに下落し、10/1に再度28,700USD付近の安値を付けているのに対し、BTCは9/7に付けた18,600USD(約265万円)を大きく割り込む状況になっていない。
理由の一つとして想像しやすいのが、トラス首相の政権下で巻き起こった市場の混乱の逃避先となった可能性があったという点だ。
イギリスでは、先日トラス元首相が就任から2か月で首相の座を辞任するという異例の事態が起きた。トラス元首相は就任した9月に所得税率の引き下げ、法人税率の引き下げなど国債増発を財源とする大型の減税案を提示した。
しかし、財源が確保できていない状況で国債を増発すれば、英国債の価格は下落し英国債利回り上昇を生みかねない。金利が上昇すれば、イギリス経済は景気悪化に陥る可能性も危惧される。
これを嫌気し、イギリスポンドは大きく下落し、市場の混乱を招いた。イングランド銀行はこれを受けて0.5%の利上げと国債売却発表の直後に市場の安定化を図るために無制限の国債買い入れを行うという、ブレーキとアクセルを同時に踏むような事態に発展した。
この出来事がBTC市場にどのように波及したかに着目すると、ポンド建てのBTCの取引量が平時の10倍近くにはねあがったという報告もみられ、イギリス市場の混乱の逃避策になった可能性は大いに考えられるように思う。
・しかし同じマーケットニュースに反応を示す展開も…
直近のリスク資産市場は11月の0.75%利上げを織り込み、軟調な値動きを示していたが、先週21日にウォールストリートジャーナルのFRB担当記者ニック・ティミラオス氏は、その記事の中で、11月のFOMC(連邦公開市場委員会)でFRBは12月の利上げ幅を0.75%から0.5%に引き下げるかどうか、またそのためにはどうすべきかを議論する可能性があるとし、FRBがハト派に傾向し始める可能性を示唆した。
さらに、10/25に発表された8月S&Pケース・シラー住宅価格(前年比)が過去最大の減速をみせたことや、カナダ中銀が市場予想75bp利上げに対し、50bp利上げとハト派なサプライズだったことを受けて、ダウ平均株価は10/21に付けた30,200USDの安値から、10/26に付けた32,100USDの高値へ6%越えの上昇幅を記録した。
BTCも同様に10/21の安値18,600USD(約280万円)から、21,000USD(約308万円)まで、12%の上昇幅を記録し、米株市場と同じマーケットニュースに反応していたことがわかる。
仮に、本当にBTCがイギリス市場混乱の逃避先となっていたとするならば、米株市場より堅調な値動きを見せていたのは一時的だと考えることもできるだろう。
米株市場といまだ連動性を保持しているとすれば、重要になってくるのはFRBが今後の金融政策を決定するうえで重要になってくる11月の経済指標や、FOMCの内容また12月の利上げがどうなるかにかかっているといえようか。
・293万円ラインを維持できるか
BTC/JPY 日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
上図は、今年6月から現在までのBTC/JPYの日足チャートである。
現状は、10/6につけた高値293万円ラインを上抜けて推移しており、日足レベルの上昇トレンドを形成している。
250万円から260万円はブレイクに失敗しており、下値はかなり固い状況と見られる。一旦下落を見せたとしても、293万円の水準でサポートされて再度上昇する展開になれば、次の価格帯節目としては9/13につけた322万円の高値を目指す展開も想定できようか。
322万円も抜けてくると、次の節目としては週足レベルの前回高値でもある333万円ラインが見えてくる。
下落のリスクとしては、日足直近安値である10/24に長いひげ陰線でつけた安値270万円ラインの下抜けが下落の試金石になろうか。
270万円ライン直下は、日足レベルで買い戦略を取っている投資家層の決済売り注文と、売りで戦略を立てている投資家層の新規売りが入ってくるラインでもあるため、下落には十分注意が必要だろう。
(10/27 午後10:00時点)
・銘柄別価格前日比(%)
社内データより作成
10/27の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は-1.39%、中央値は-1.40%、標準偏差は0.91%となった。
最大上昇銘柄はAVAX/JPYの0.38%、最大下落銘柄はCHZ/JPYの-4.35%。
27日は、米GDPの発表、アップルとアマゾンの決算があった。
米GDP速報値は+2.6%と予想(2.4%増)を上回り、3期ぶりにプラスに転換。FRBの政策金利に影響を与えうるとされながらも、景気後退への懸念は和らげられたと見られている。
アップルは売上高と利益は予想を上回ったものの、iPhoneの売上高が予想に届かなかったためか、引け後に5%超下落。アマゾンは売上高見通しはアナリスト予想を下回り、株価はNY株式市場の時間外取引で一時約20%急落。
最大上昇銘柄のAVAX/JPYは2,463円でオープンし、2,472円でクローズとなり、当社取扱銘柄の中、唯一の上昇銘柄となった。21:30の米GDP発表時には2%近く上昇したものの、下2,445円、上2,515円のレンジ推移となった。
最大下落銘柄のCHZ/JPYは、29.2円でオープンし、27.9円でクローズとなった。日足を確認すると、一目均衡表の雲下限で反落が確認できる。また、スローストキャスティクス80付近でデッドクロスしており、続落が示唆される。
・24時間ボラティリティ(%)
社内データより作成
10/27の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は5.47%、中央値は5.58%、標準偏差は1.85%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はIOST/JPYで8.64%。
一方、最もボラティリティの低かった銘柄はZPG/JPYで1.01%となった。
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