TRX(トロン)はステーブルコイン需要で底堅い展開継続か

Daily Market Report 2022/10/26

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TRX/JPYは唯一の年初来プラス推移

CoinMarketCap(https://coinmarketcap.com/)より当社作成
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上図は、当社取扱銘柄の年初から直近までの騰落率ランキングである。

足許では米ドル高が大きく進み、世界的に金融引締の潮流が生まれる中、リスク資産に対しては逆風が吹いている。

暗号資産市場も例に漏れず、今年年初からの当社取り扱い銘柄のパフォーマンスは軒並み低いものとなっている。

しかしそうした中、TRX/JPYに関しては、唯一年初来からプラスパフォーマンスとなっていることは注目に値するだろう。

TRXを底堅い推移にしている理由として考えられることの一つとして、価格決定の基軸通貨として採用される暗号資産であるUSDD(Decentralized USD)の存在が一要因として考えられる。

USDDは今年5月にローンチされ、1米ドル=1USDDの連動を目指したステーブルコインである。

米ドルにペッグしているステーブルコインとして有名なUSDT(テザー)やUSDC(USDコイン)に時価総額では及ばないものの、ローンチから約半年で時価総額ランキング(https://coinmarketcap.com/)の上位100銘柄となっており、市場からの期待もそれなりにある印象を受ける。

USDDは、準備金を運用する自立分散型組織である、TRON DAO Reserveの十分な担保によって資産価値や安全性が担保されている点が特徴的である。

執筆時点で流通するUSDDの総額が約7億ドルであることに対し、担保資産の総額は約22億ドルと、300%超えの担保比率となっている。

ホワイトペーパーによると最低担保比率は130%と定められており、300%を超える今の状況は発行総額に対する裏付け資産の大きさは十分な状況と言える。

一方で、ステーブルコインでは直近でルナショックの様な事件もあり、その際にはステーブルコインであるUST(TerraUSD)が約180億ドルもの時価総額を失ったこともある。

それを考えると、USDDが流通金額に対して大きく上回る担保を保有しているとは言え、USTよりも時価総額が小さいことで安定感に乏しいことも考えられ、リスクが付きまとう点は注意しておく必要があるだろう。

一方で、USDDでは今後アップデートが予定されている点は期待が高まる要因と言える。

USDD 4.0: Marsフェーズでは、TRONメインネットにUSDDのミントとバーンの権利が移譲される予定となっている。

それにより、TRXがUSDDの価格決定の基準通貨として本格的に始動することとなるようだ。

USDDでは、「Super Representatives」 と呼ばれるコンセンサスメカニズムがあり、報酬を得るためには、定められた量のTRXを支払いSuper Representativeとなるか、TRXをステーキングすることで得られる投票権を使用する必要がある。

コンセンサスメカニズムへの参加にTRXが一定量必要となるため、USDDへの資金流入が増えれば、TRXの需要もそれに応じて高まる可能性もあると言えるだろう。

そうしたことが、足許のTRXの価格が下がりにくい一要因であると言えるかもしれない。

TRXを取引する際には、単体のニュースだけではなく、TRON DAO RESERVEやUSDDの動向などにも注意を向けておきたい。

最後にテクニカル面でTRX/JPYの上下のターゲットプライスを考察する。

週足では三角持ち合いを上方向にブレイクしたが…

TRX/JPY 週足Bidチャート(当社取引ツールより作成)

上図は、2021年初から現在までのTRX/JPYの週足チャートに、レジスタンスライン・サポートラインと一目均衡表を描画したものである。

テクニカル的には、2021年4月を起点とした週足における三角持ち合いを上方向にブレイクしたように見える。

その一方で、週足一目均衡表・雲に上値を阻まれており、ここを抜けきれるかどうかが今後のポイントとなろう。

上方向は、まず雲の上抜けを果たす9.5円付近や節目の10円台乗せが目処となる。

そこからは、年初来高値水準でもある6月頃のルナショック前後の高値11円台半ばがターゲットとなり、ここを上抜けることで2021年11月高値である14円台前半を目指す強い上昇トレンドとなる可能性も考えられそうだ。

一方で下方向は、一度上抜けたレジスタンスライン(上図 黄色線)以下の水準に戻るシナリオである。

レジスタンスラインを上値目処とし、サポートライン(上図 赤線)を下方ブレイクするかが注目ポイントとなる。

下方ブレイクした場合には直近の安値圏である6円台半ばまでの下げを想定しておきたい。

(10/26 午前3:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

10/25の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は3.81%、中央値は3.33%、標準偏差は3.03%となった。

最大上昇銘柄はADA/JPY13.63%、最大下落銘柄はXYM/JPY-1.08%

最大上昇銘柄のADA/JPYは直近の節目である55円付近を超えたことで弾みがつき、10/10以来の水準である60円台を回復。

米国の利上げペース鈍化が意識され、米国株が上昇したことを受け、暗号資産市場全体で上昇傾向が強まった。

最大下落銘柄のXYM/JPYは、10/24に大幅に独歩高となったことへの反動からか他銘柄のように上昇の流れに乗れず、冴えない値動き。ただ、他銘柄の上昇傾向は下値を支えたのか、大幅に値が崩れることはなかった。

24時間ボラティリティ(%)

社内データより作成

10/25の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は6.46%、中央値は5.63%、標準偏差は3.49%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はADA/JPY14.67%

一方、最もボラティリティの低かった銘柄はZPG/JPY0.99%となった。

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2022-10-26
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