BTC(ビットコイン)、米株決算発表に乗じて上昇となるか?

Daily Market Report 2022/10/24

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この一週間のBTCの値動き

BTC/JPY 日足 Bidチャート(当社取引ツールより作成)
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上図は、6/13から現在までのBTC/JPYの日足チャートである。

10/13の米CPI(消費者物価指数)発表後に一時258万円台まで下落したBTC/JPYだが、翌日の10/14には292万円台まで上昇するボラティリティの高い動きを見せた。その後は落ち着いた動きに戻り、10/14以降は293万円から275万円台のレンジで推移している。

BTCは10月の米CPIやFOMC(連邦公開市場委員会)議事録公表など重要なイベントを通過後に明確なトレンドは出現することなく、方向感に乏しい動きが最近の傾向である。

現在のマクロ経済環境

マクロ経済環境のトレンドとして①金融相場→②業績相場→③逆金融相場→④逆業績相場の4つに分かれる。

現在のマクロ経済環境のトレンドは、各国の政策金利の引き上げやコロナ禍において実施してきた量的緩和政策の停止・引き締め等、金融マーケット全体にネガティブな影響を及ぼしており、③逆金融相場にいると思われる。

逆金融相場の特徴として景気後退(リセッション)に陥り、マーケットだけでなく実態経済にもネガティブな影響を与えるサイクルである。

過去の景気後退時に米国10年金利と2年金利を差し引いたイールドカーブ(※1)は、マイナスの値になっており2022年では7月から現在において逆イールドの状態が継続している。

景気後退(リセッション)の結果として、今後の企業決算にも悪影響を及ぼすこととなる。

直近の企業決算として10月末には米大手IT企業の決算開示が控えており、業績が下方修正されることでマーケットから企業の業績悪化が意識されることとなれば、③逆金融相場から④逆業績相場(※2)への移行の契機となり、マクロ経済環境の大きなトレンド転換に繋がるかもしれない。
※1イールドカーブ(利回り曲線)・・・縦軸に最終利回り、横軸に債券の残存期間を取ったグラフ上に、(同一発行体の)債券の最終利回りと残存期間に対応する点をつないだ線のこと
※2逆業績相場・・・金融引き締めにより企業業績が悪化し、株価も下落する相場のこと

そうなればBTCにも明確なトレンドが発生することも考えられるだろう。

本稿では、今週に予定されているイベントを確認し、BTCのこれからの値動きについて考察する。

今後のBTCを取り巻くイベント

今週予定されている主なイベントは次の通り。


以前のレポートで触れたようにBTCは米株指数との相関性が低くなりつつあるが、リスク資産という共通の枠組みから米株指数、とりわけNASDAQ総合の動向は注意したいところである。

今週は、NASDAQ総合に寄与度の高いGAFAMの決算が集中していることから、各社の決算反応に注意を払う必要があるだろう。

参考までに各社の前四半期決算後のBTC推移を確認すると、7/27~7/29の期間で各社の決算発表が行われ、その間のBTCは7/27の始値286万円に対し、7/29の終値317万円と約10%の上昇となった。

また、同期間(7/27~7/29)のNASDAQ総合指数は5%上昇となった。アップル社が7四半期ぶりに減益となり世界的な景気減速が懸念されたが、米国の急速利上げ観測の後退が追い風となった格好だ。

30日間を基準としたBTCとNASDAQ総合指数の相関関係は、6月以前は強い正の相関が続いていたため、今回のNASDAQ採用銘柄の業績発表にBTCが素直に反応するシナリオも考えられそうだ。

その一方で、293万円から275万円台のレンジ相場に押し戻される圧力も働くことが考えられ、レンジブレイク間際にてBTCは上下にボラティリティの激しい値動きになることも予想される。

7月末の四半期決算時と同様に、今回も上下に10%程度の荒い値動きもあろうか。

BTC/JPYの現在価格は288万円付近のため、決算の結果、米国株が上昇するようだとBTCは316万円、米国株が下落するようだとBTCは260万円がターゲットプライスとなるだろうか。

テクニカル

BTC/JPY 日足 Bidチャート(当社取引ツールより作成)

上図は、6/18から現在までのBTC/JPY日足チャートに単純移動平均線(25日と75日、終値)を適用したものである。

9月初旬以降、BTCは75日移動平均線に何度かトライしているもののすべて跳ね返され下落ちする格好となり(上図矢印部分)、上述したレンジ相場形成の要因の一つとなっていそうだ。

上述した決算発表が市場予想よりも良好となった場合、景気の底堅さが意識されリスク性資産は上昇となり、BTC/JPYも再びレンジ上限の293万円(約2万ドル)に向かうかもしれない。

そして、テクニカル要因としてゴールデンクロス発生など好循環が生まれることにより、9月高値の325万円付近も意識できようか。

その反面、決算が期待値を下回れば、景気後退が鮮明となる逆業績相場に繋がり、BTCはレンジ下限の275万円や、10月安値の258万円が意識されやすいだろう。

しかし、企業業績の良し悪しと相場の上下は必ずしも正の相関ではないことには注意が必要だ。企業業績の悪化が米国の利上げ後退シグナルとみなされた前四半期(7月下旬)と同様に、ネガティブな決算発表がBTC上昇につながることも考えられる。

米利上げについてはFRBと市場の見解は必ずしも一致しているわけではなく、重要指標が発表されるタイミングでは値動きが激しい展開も視野に入れたほうが良さそうだ。

(10/24 午前8:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

10/23の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は0.93%、中央値は1.10%、標準偏差は1.07%となった。

最大上昇銘柄はQTUM/JPY2.96%、最大下落銘柄はMONA/JPY-1.85%

最大上昇銘柄のQTUM/JPYは、9月下旬から380円付近をサポートに反発上昇となったが、小幅なレンジ相場が続いている。

最大下落銘柄のMONA/JPYは、1%台の下落であり下落幅自体は小さく、方向感の乏しい展開となっている。

24時間ボラティリティ(%)

社内データより作成

10/23の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は3.48%、中央値は2.99%、標準偏差は1.76%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はXYM/JPY8.92%

一方、最もボラティリティの低かった銘柄はZPG/JPY0.00%となった。

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2022-10-24
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