ETH(イーサリアム):Devcon6(デブコン)開催好感も、一目均衡表の厚い下降雲が重石に。米雇用統計に注目

Daily Market Report 2022/10/7

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本稿では、ETH(イーサリアム)について、一目均衡表を用いて分析する。

ETHは23万円まで上昇する展開か

図. ETH/JPY 日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
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図は、ETH/JPY日足チャートに一目均衡表(基準線期間:26日、遅行スパン期間:26日、転換線期間:9日、先行スパン2期間:52日)を設定した図(期間:2022/7~現在)である。

図を見て分かるように、現在のETH/JPYは19万円付近での価格推移となっているが、23万円を一時的なターゲットとする上昇シナリオが高まりつつありそうだ。

その背景としては以下のとおりとなる。

1)一目均衡表の転換線(9)が基準線(26)を下回った日(上図①)から17日経過していること
2)19万円~21万円の水準で遅行スパン(26)が相場実線を上回る見込みであること
3)先行きの雲が24日以上下降雲を維持していることである

一方で、10/11のイーサリアム財団が主催する開発者向けカンファレンス「Devcon6(デブコン)」開催を控えた好感買いもあるが、本日は米国の雇用統計の発表が予定されており、雇用者数の上振れ・失業率の減少が物価上昇(インフレ)の圧力維持に繋がる展開となり、ドル上昇・暗号資産下落(リスクオフ)の流れが再発する展開も想定しておく必要がある。

<テクニカル要因> :転換線-基準線逆転を経過するも、厚い下降雲を形成中

[注目点]
A:転換線(9)が基準線(26)を逆転した日から17日経過していること
B:遅行スパン(26)が相場実線を好転する見込みであること
C:先行きの雲が下降を維持していること
*逆転=転換線が基準線を下回る、遅行スパンが相場実線を下回る、雲が下方へ捻じれること
*好転=転換線が基準線を上回る、遅行スパンが相場実線を上回る、雲が上方へ捻じれること

A:転換線(9)が基準線(26)を逆転した日から17日経過していること

図中の①印を見て分かるように、転換線(9)は9/20に基準線(26)を逆転してから17日経過(=10/7)している。

この状況からは、相場実線が基準線(26)(=21万円)を上回りやすい状況であると考えられる。

今回の場合、9/20に転換線(9)が基準線(26)を逆転してから既に17日が経過しているため、相場実線が基準線(26)(=21万円)を上回る展開を想定することになる。

B:遅行スパン(26)が相場実線を好転する見込みであること

図中の②印を見ると、10/13に遅行スパン(26)は相場実線を好転する見込みであることが分かる(但し、19万円~20万円での推移が継続するとした場合)。

この状況から、相場実線が上下どちらかへ放れやすい状況を想定する必要がある。

そのため、転換線(9)が基準線(26)を逆転した日から既に17日経過していることも踏まえると、遅行スパン(26)が相場実線を好転した場合は、価格が上昇するという見方が妥当かもしれない。

C:先行きの雲が下降を維持していること

図中の③印を見ると、一目均衡表の先行きの雲は厚い下降雲を維持していることが確認できる。また、9/11(先行した日付は10/7)に雲が下方へ捻じれてから24日経過している。

この状況から、雲は相場実線を強く抑える抵抗帯としての見方が優勢と考えられる。

これは、下降雲が維持する期間が長引くと、下落基調が継続するリスクが高まることを意味している。

そのため、相場実線が上昇した場合には先行スパン2に値する23万円を一時的なターゲットとして想定することになる。

以上A・B・Cより、テクニカル面からは、ETH/JPYは基準線(26)に値する21万円を上回りやすい状況にあり、厚い下降雲を形成していることで先行スパン2に当たる23万円を一時的なターゲットとして意識される展開であると読み取ることができるだろう。

<ファンダメンタルズ要因>:Devcon6の好感ありも、米雇用統計の上振れ次第

Devcon6(デブコン)を控えた好感買い

10/11にイーサリアム財団が主催する「Devcon6(デブコン)」がコロンビアで開催される予定である。このカンファレンス(会議)は世界中から研究者や技術者らが参加し、技術面などについて議論するものである。

Devcon6は本来であれば2020年に予定されていたものだが、新型コロナウイルスの世界的な拡大の影響を受けて再延期する形となっていたため、2年越しの開催実現に伴い、世界中からの注目が高まっていると考えられる。

また、セッション内容としては、スマートコントラクトウォレット(SCW:Smart Contract Wallets)の事例や、イーサリアム2.0のビーコンチェーン(Beacon Chain)から採用されたBLS(Boneh-Lynn-Shacham)署名とSCWを使用して分散型アプリケーション(Dapp:Decentralized Application)を変更することでガスを節約する方法など、特にETHの技術面についてポジティブなものとなっている。

そのため、10/11の開催日を控えた好感買いの流れが見られるかもしれない。

表. 過去のデブコンと価格変動(Devcon公式より:https://devcon.org/past-events/)

但し、表を見てわかるように、2017/11にメキシコで開催されたDevcon3では前月比43%上昇・翌月71%上昇ではあったが、2018/10にチェコ共和国でのDevcon4は前月比14%下落・翌月43%下落という値動きであったため、決して好感される傾向があるとは言えない点、注意が必要となるだろう。

米雇用統計が上振れならドル上昇で暗号資産下落(リスクオフ)

本日午後9時半に米雇用統計が発表される。

雇用統計の先行指標として市場の注目を集める米新規失業保険申請は8/4に発表された26.0万件(7/24~7/30期間分)でピークアウトし、9/29発表の19.3万件(9/18~9/24期間分)まで減少傾向(9/29 Bloomberg)にある。

この状況からすると、本日午後9時半に発表を控える失業率は、失業保険申請が鈍化していることで低水準(市場予想3.7%)に留まるという見方にも繋がる。

そのため、実際に発表された失業率が市場予想を大きく下回る形となると、利上げ継続が経済循環へ支障をきたさないとの見方からFRB利上げ意向のサポートとなり、ドル上昇・暗号資産下落(リスクオフ)の展開になることが考えられる。

また、米農業部門雇用者数を予測するためのADP雇用統計は、10/5に20.8万人増と発表された(10/5 Bloomberg)。この堅調な労働需要からすると、米非農業部門雇用者数の市場予想264万人を上振れる可能性も否定できない。

さらに、転職しなかった人の賃金の伸びが7.8%増で、その増加率は2年ぶりの大きさであった。労働需要堅調の中で賃金が上昇すると、企業負担が増加することになるため、提供するサービスの価格も上昇する見込みとなる。

つまり、賃金上昇が物価上昇(インフレ)圧力の持続に繋がり、さらなる米利回りの上昇を誘発する見方として波紋すると考えられる。

その場合も、FRBの「インフレ抑制するまで利上げを継続する」という意向を支持することになり、ドル上昇・暗号資産下落(リスクオフ)の流れが再発すると想定できるだろう。

(10/7 午前5:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

10/6の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は-0.20%、中央値は-0.26%、標準偏差は0.92%となった。

最大上昇銘柄はIOST/JPY1.38%、最大下落銘柄はBCH/JPY-2.85%

最大上昇銘柄のIOST/JPYは、10/5に付けた安値1.52円を試す展開となった。前回高値1.612円ラインを上抜けるとができなければ、再度下落トレンド入りする展開も考えられようか。

最大下落銘柄のBCH/JPYは、10/5に付けた安値16,900円ラインを試す展開となった。このラインを抜けてしまうと、4時間足レベルでの上昇トレンドが否定されるため、下落リスクには注意したい。

24時間ボラティリティ(%)

社内データより作成

10/6の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は3.30%、中央値は3.29%、標準偏差は1.22%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はIOST/JPY5.80%

一方、最もボラティリティの低かった銘柄はMONA/JPY0.51%となった。

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2022-10-07
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