過去の米利上げ局面でも金価格は堅調推移。ZPG(ジパングコイン)で景気不安を乗り越える?
Daily Market Report 2022/9/9
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・投機筋のポジション動向も重要要素
CFTC(米先物取引委員会)(https://www.cftc.gov/)、TradingView(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
ZPG(ジパングコイン)のチャート・価格情報はこちら
上図の折れ線グラフは、2022/1/7~現在の週足での金価格である。
また、棒グラフは投機筋のCFTC(米先物取引委員会)にて、毎週金曜日に発表される投機筋のポジション(データは発表週の火曜日時点のポジション)の売買数量を差し引きし、実質的なポジション量(トン)を示したものである。
なお、本稿では都合上、円建ての金価格でZPG(ジパングコイン)の過去の価格の代用を行う。
また、円建ての金価格をZPGとし、単純に金価格という場合にはドル建ての金価格を示すこととする。
金は貴金属の中でも特に人間生活との関わりが深いものであり、宝飾品や産業製品への使用だけでなく、貨幣価値の裏付け資産として価値が広く認められている。
また、金取引の歴史は古く、先物取引も盛んに行われており、市場の流動性が高い商品である。
そのため、相場状況の空気感を掴む上で短期的な価格決定に影響を与えやすい、投機筋のポジション状況を確認することは、金を取引する上で有効な手段の一つといえよう。
上図では、2020年2月末のコロナショック以降の値動きに限ると、投機筋のポジションが800トン以上のロングに傾くと下落し、反対に500トン付近までロングが減少すると価格が上昇に転じる傾向が確認できる(上図 白破線部分)。
現況を確認すると、金価格はコロナショック後の安値(1,700ドル)付近にあり、ポジション量は500トンを下回る水準にあることが分かる。
ポジション推移と価格水準のみを見ると、直近のレンジの下限に位置しており、そろそろ金は買い時との判断を下すこともできるかもしれない。
しかしながら、ファンダメンタルズ面で、米FRBの利上げの行方が非常に注目されており、先行きの金利上昇期待が大きいため、金利を産まない金は選好されにくい状況であるとも考えられる。
そこで、過去の米利上げ局面でのZPG・金価格の推移を確認したい。
・円安効果でZPG価格は大きく上昇
図1
図2
TradingView(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
上図は、利上げが開始した月の終値を基準とし、利上げ終了までの期間の経過日数による価格変化をZPG・金価格で、それぞれ示したグラフである。
金価格(図1)を確認すると、利上げ終了時点で1994年は下落しているものの(図1.線①)、利上げ終了前にはプラス圏で推移した期間もあり、金利上昇局面でも金価格が上昇する可能性があることが読み取ることができる。
しかし、現状の金価格は下落傾向が続いており、過去の例から外れている状況だ(図1.線⑤)。
この背景には、直近のパンデミックや、ウクライナ危機などにより既に金価格が上昇し、過去最高値圏に位置していることが要因として挙げられるだろうか。
金利先高感や米景気に対する楽観的な見方もあり、あえて高値圏から積極的に上値を買うことのできる状況ではないのかもしれない。
一方で、ZPGの価格推移を見ると、現在の金価格推移と異なりプラス圏で推移していることがわかる(図2.⑤)。
この大きな要因には、足元で急速に円安が進んでいることが挙げられるだろう。
米利上げが始まった2022年3月から現在までで約30%の円安ドル高が進行しており、ZPGを押し上げていると言えそうだ。
また、低金利状態からの利上げ局面では価格が比較的大きく上昇する傾向(図1.線③、④)が読み取れることもあり、今後において金価格が上昇に転じる可能性を考えれば、円安効果と金価格の上昇の2重の恩恵を受けることができるかもしれない。
次に、金価格には追い風となる、マーケットでのリスクオフ要因を考えたい。
まず、利上げは行き過ぎた景気の加熱(インフレ)を抑えることが目的であり、株価などへ一時的な悪影響は出るものの、長い目で見れば景気拡大の持続性を保つ上で重要な要素である。
しかし、足元ではコストプッシュ型のインフレが拡がっている状況であり、利上げの程度によっては米経済へ悪影響を起こす可能性も指摘され、景気後退(リセッション)期への突入も危惧されている。
また、コロナショックによる経済の停滞に対し、世界各国で金融緩和を行った結果、世界全体での債務残高は300兆ドル規模に拡大している(2022年2月時点)。
世界GDP(国内総生産)比では約3.5倍となっており、日本を除く諸外国で金利が上昇していることで利払い負担が増加し、経済基盤の弱い国に対する悪影響がリスクとして顕在化していく懸念もあるだろう。
そうした不確実性や不安定さが足元にはあり、債券や通貨、金などの安全資産と言われるアセットクラスへの資金流入・資金還流も考えられそうだ。
まず、債券は一般的に安全資産と言われるが、発行主体によりリスクの程度が変化する。
先進国の発行する国債などは比較的リスクが低いとされるが、特に安全性が高いとされている米国債においても、過去に格下げによる債券価格の下落が発生しており、一定のリスクを内包している点は注意が必要だろう。
次に、通貨についてであるが、基本的には大きな価格変動が発生しにくい資産である。
しかし、昨今の円安進行のように対外的に急激に通貨の価値が下落する場合や、インフレ進行による相対的な価値の減少が考えられる。
数少ない例ではあるが、パピエルマルク(ドイツ)やペンゲー(ハンガリー)、ジンバブエドル(ジンバブエ)などの貨幣価値が暴落した通貨もあり、通貨が必ずしも安全だとは言い切れない。
金は、世界的に利上げ局面となる中、金利を産まない部分が弱点となるが、世界中どこでも容易に価格を把握できる透明性・統一性があり、有事には選好されやすい性質を持つ資産である。
そのため、世界経済への不透明感が強まる場合には資産の退避場所としては適した資産であると考えられ、足元の状況を踏まえれば、安全資産の中でも金を保有することは優位性があると考えられる。
金価格は、直近のレンジ下限に位置していることもあり、価格水準的にはそろそろ反転上昇期待を持って良い水準かもしれない。
ただし、円安効果でZPGの価格は上昇しており、難しい局面でもある。
とは言え、日米の金融政策のスタンスの違いや日本の国際競争力の低下から、円安ドル高方向への圧力が継続的にかかると考えられるため、ZPGの価格は下落しにくいと言えそうだ。
(9/9 午前6:00時点)
・銘柄別価格前日比(%)
社内データより作成
9/8の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は1.79%、中央値は1.16%、標準偏差は2.46%となった。
最大上昇銘柄はBCH/JPYの9.78%、最大下落銘柄はMONA/JPYの-1.60%。
最大上昇銘柄のBCH/JPYは、7/29を起点としたレ上方向のジスタンスラインを突破したことで価格上昇に勢いがついたようだ。
日足ではちょうど一目均衡表・雲上限に阻まれて減速しクローズを迎えた。
雲上限を超えることができれば、今年4月以来の雲抜けとなることから上昇にはずみがつくかもしれない。
最大下落銘柄のMONA/JPYは冴えない値動き。直近安値の6/19安値付近で下げ渋っているものの、5/12安値である50.00円までテクニカル的な水準も見当たらず、下値拡大に警戒が必要な状況と言えそうだ。
・24時間ボラティリティ(%)
社内データより作成
9/8の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は6.28%、中央値は5.91%、標準偏差は2.27%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はBCH/JPYで12.92%。
一方、最もボラティリティの低かった銘柄はZPG/JPYで1.62%となった。
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