アップデートに向け好調なETH。結末はいかに
Daily Market Report 2022/9/7
_
・上昇際立つETH
TradingView(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
上図は、LUNAショックに起因した暴落が発生した2022/6/18から現在までの、暗号資産全体、ETH(イーサリアム)、BTC(ビットコイン)の時価総額の変化率となる。
図からわかるとおり、ETHは6/18の暴落後から現在までに60%程価格を回復させており、暗号資産市場全体及びBTCの時価総額と比較すると大幅に上昇していることが分かる。
ETHが好調な要因として挙げられるのは、当社マーケットレポートでも以前から取りあげてきた、ETHアップデート「The Merge」(以下マージ)への期待感だろう。
このマージは今月13日~16日にスタートするとされており、日本時間9/6にマージに向けた最終プロセスとなるアップグレード「Bellatrix(ベラトリックス)」が正式起動した。
マージは、コンセンサスアルゴリズムをPoW(Proof of Work)からPoS(Proof of Stake)に変更することにより、スケーラビリティ問題の解決、消費エネルギーの大幅削減、中央集権化のリスク低減などを図るもので、暗号資産の諸問題を解決する可能性から大きく期待されている。
暗号資産市場、米国株式市場ともに弱気相場が続く中で、ETHはマージに向けて期待感を強めながら上昇を続けており、8月中旬には下落から100%の上昇を記録し、一時的に6月の暴落前の価格水準である26万円まで戻した。
一方、BTCは下落後一時は30%近く回復したが、弱気相場の中で上値が重く暴落から約3か月が経った現在でも3%というわずかな回復しか見せていない。
暗号資産市場全体の時価総額が現在20%程回復していることを踏まえると、BTCがひと際厳しい相場環境にあると認識できる。
BTCが振るわない要因としては、米国の金融引き締めの流れを受け、リスクオフムードが再開しつつあることが考えられる。しかし、全体の時価総額よりもBTCが弱気である要因は、BTCからETHに資金が移動していると考えるのが妥当だろう。
この傾向は、暗号資産市場内の時価総額の占有率を見ることでより分かりやすく確認できる。
・暗号資産市場で台頭するETH
TradingView(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
上図は、2020年6月から現在までの時価総額上位3銘柄(BTC,ETH,USDT)の暗号資産市場内での時価総額の占有率と暗号資産時価総額の推移を背面にまとめたものである。
BTCは2020年を通して暗号資産市場内で常に高い占有率を誇っていたが、2021年にDeFi、NFTなどETHチェーンを用いた技術が世界的にブームとなり、ETHの存在感が強まってきてからは、概ね40~45%で推移している。
ETHは2021年の年末頃に占有率は22%まで上昇し、その後も堅調にその地位を固めているといえるだろう。
図を通してわかるとおり、BTCとETHは逆相関の動きが強く、特にマージへの期待が強まり始めた今年6月頃からは顕著である(図点線枠)。
BTCからETHへ資金が移動していると考えると、アップデートが終了するまではこの傾向のまま、ETHの好調は続く可能性もあるだろう。
・アップデート後はどうなるか
マージ自体は、PoSへの移行によりETHチェーンを取り巻く諸問題を解決する手立てとして大きな期待を寄せられ、暗号資産市場にとって好材料とされている。
DeFiアプリケーション、NFT、オラクル等の様々なブロックチェーンサービスの土台であるETHネットワークがアップデートにより、これまで懸念されてきた諸問題を解決する道筋を示すことができれば、暗号資産市場にとっても大きな前進と言えるだろう。
このような楽観シナリオを辿る場合、ETHはより一層暗号資産市場内で、強い地位を確立しながら上昇を続けるだろう。つまり、現在の弱気相場においてはBTCからETHへの資金移動の流れは継続することが予想される。
しかし、アップデートはこれまで何度も延期を繰り返し、過去のテストでは度々問題が生じているため、リスクを無視し楽観視することは避けるべきかもしれない。
仮に、アップデートにて何らかの問題が発生したり、アップデートが失敗に終わるようなことがあれば、ETHは現在時価総額2位であること、PoWからPoSへの移行はこれまでに前例がないことを考えると、大きな混乱を生む可能性もある。
その場合、これまでアップデートへの期待で上昇を続けてきたETHは、大きく下落することも視野に入れておく必要がある。つまり、ETHから再びBTCへ資金が戻ることも予想される。
今後の暗号資産市場の動向を予想するうえで、今回のアップデートは大きな意味を持っており、ETHのみならずBTCを含めた暗号資産全体に影響すると考えられる。
アップデートがどのような結果になるか現時点で判断することは困難を極めるが、注目し最新の情報を追い続けることは必須であるといえる。
(9/7 午前7:00時点)
・銘柄別価格前日比(%)
社内データより作成
9/6の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は-2.98%、中央値は-3.0%、標準偏差は2.99%となった。
最大上昇銘柄はXYM/JPYの4.05%、最大下落銘柄はLTC/JPYの-7.30%。
最大上昇銘柄のXYM/JPYは、9/6午前6時頃に5.4円で安値を付けてから終日堅調に上昇したものの、9/7午前2時頃に市場全体が急落したことを受け、反落。その後持ち直し5.5円台まで上昇した。
最大下落銘柄のLTC/JPYは、8,600円付近の高値圏で推移していたが、9/7午前2時頃、市場とともに急落。その後も売りが強く7,750円付近で推移している。
・24時間ボラティリティ(%)
社内データより作成
9/6の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は10.49%、中央値は10.74%、標準偏差は4.04%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はETC/JPYで20.22%。
一方、最もボラティリティの低かった銘柄はZPG/JPYで1.52%となった。
◆本資料においてお客様に提供される情報は、株式会社DMM Bitcoinが収集・作成等したものです。
◆本資料は、一般的な情報提供を目的に作成されたものであり、暗号資産取引の勧誘を目的としたものではありません。
◆本資料は、本資料作成時点で株式会社DMM Bitcoinが信頼できると判断した情報を基に作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
◆本資料の情報によって生じたいかなる損害についても、株式会社DMM Bitcoinおよび本情報提供者は一切の責任を負いません。
◆本資料のグラフ・データ等は、過去の実績または作成時点での見通し・分析であり、将来の市場環境の変動や運用状況・成果を示唆・保証するものではありません。また、税金・手数料等を考慮しておりません。
◆本資料に関する著作権、知的所有権、その他一切の権利は、株式会社DMM Bitcoinまたは権利者に帰属します。お客様は、本資料に表示されている情報をお客様自身のためにのみ利用するものとし、第三者への提供、再配信、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。