暗号資産の冬はいつ終わるか?
Daily Market Report 2022/9/6
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・利下げはいつ?
先月のジャクソンホール会議では、9月FOMC(連邦公開市場委員会)での大幅利上げの可能性と金融引き締めが長期化するとの予測から、株式や暗号資産は大幅下落となった。
FRB(米連邦準備制度理事会)は「ある時点で、利上げ上昇のペースを遅くすることが適切になる」とのスタンスを示しているが、具体的な利下げ時期はいつになるのだろうか。
Tradingview(https://jp.tradingview.com/)及びCME提供情報(https://www.cmegroup.com/ja/)より当社作成
上図のプロットした数値はシカゴ商品取引所で取引されている政策金利先物、オレンジ部分はCMEグループが提供するFedWatchツールから作成した市場参加者の利上げ予測である(FedWatchツールが提供する政策金利見通しは2023年7月まで)。
2022/7開催のFOMCでは政策金利を2.25~2.5%とすることを決定した(上図緑部分)。
まず、シカゴ商品取引所で取引されている政策金利先物(数値のプロット位置)をみると、9月FOMCでは3.25~3.50%と現状(2.25~2.5%)より1%の利上げと予想。
11月は9月の3.25~3.50%から3.50~3.75%、12月は11月の3.50~3.75%から3.75~4.00%とそれぞれ0.25%の利上げと予想されている。2023年初めまでに政策金利は3.75%-4.00%まで上昇すると予測されている。
次にFedWatchツール(オレンジ部分)を確認する。
9月のFOMCでは+0.75%と予想しており、11月のFOMCで+0.50%の利上げとなると予測している。
2022年12月から2023年7月までの期間は、FOMC以降政策金利が3.75%-4.00%に留まるというのはシカゴ商品取引所で取引されている政策金利先物と共通の予測となっている。
その後、しばらくの間、政策金利は3.75%-4.00%に留まり、利下げに転じるのは2023年9月以降との予測だ。
・米経済は耐えられるか
米コンファレンスボード (https://www.conference-board.org/us/)より当社作成
上図は2000年以降の米景気一致指数(Coincident Economic Index)と米景気先行指数(Leading Economic Index)を示したものである。
グレーの網掛け部分は過去の米国のリセッション局面を表しており、リセッションに陥る前後に景気先行指数が景気一致指数を下抜けていることが分かる。
2022年のグラフを見ると、米景気一致指数が右肩上がりで推移しているのに対し、米景気先行指数のほうは2000年以降で最も高い数値を記録して以降、右肩下がりの数値が予測されている。
景気後退の前兆と言われる米10年債と米2年債の逆イールドが発生して2ヶ月ほどとなるが、米景気先行指数も下落を続けており、2023年前半にも景気一致指数を下抜ける可能性もあると思われる。
また、下図は2000年以降の米政策金利と米CPI(消費者物価指数)の推移に過去3回の米国のリセッションを重ねたチャートである。
Tradingview(https://jp.tradingview.com/)及び米労務省(https://www.bls.gov/)発表情報より当社作成
リセッション局面(グレー部分)では、政策金利とCPIは下落する傾向があることが分かる。
これは、経済の縮小に耐えきれずFRBがスタンスを利下げに転じる影響もあるが、そもそも景気後退局面では消費者の心理が冷え込むためインフレ率は下落する傾向にあることも理由として挙げられる。
FRBが抑制に躍起になっているインフレ率は、景気の減速とともに減少していく可能性があると言えるだろう。
また、過去3度のリセッション(ITバブル崩壊:2001/3~2001/11、リーマンショック:2007/12~2009/6、コロナショック:2020/2~2020/4)は全て、政策金利が下落に転じた後に発生している。
つまり、今の政策金利見通しが継続する場合、米経済は2023年11月以降にリセッションとなるかもしれない。
では、その際、暗号資産市場はどのような動きを見せるだろうか。
・先行して動くリスク資産市場
図1. Tradingview(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
図2. Tradingview(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
図1は、2000年以降のナスダック100指数の推移を表したチャートに過去3回の米国のリセッション(グレーの網掛け部分)を重ねたチャートであり、図2はナスダック100指数とBTC/USDの相関関係を表したチャートである。
図2の通り、ナスダック100指数とBTC/USDは相関関係が強い負の値(逆の動き)となる場面もあるが、概ね60%以上と高い正の相関関係にある。
BTC/USDは2011年以前のデータが存在しないため、ナスダック100指数を代用して傾向を分析する。
図1の赤丸は、ナスダック100指数がリセッション突入後に底打ちした部分である。
赤丸部分は全てリセッション中であることから、ナスダック100指数は政策金利や経済指標と異なり、リセッションの終わりを待たずに回復し始めていることが分かる。
ナスダック100指数と相関関係の高いBTC(ビットコイン)にも、この傾向が当てはまるかもしれない。
BTC/JPYは、6月のセルシウスショックから安値(約232万円)を切り上げている。
足元は、250万円をサポートに大きく崩れていないが、反発のきっかけもつかめていない状況だ。
しかし、米景気先行指数が示す通りに今後米経済がリセッション入りとなる場合、BTC(ビットコイン)の本当の底打ちは、FRBによる金融引き締めが終了した後、つまり来年の秋に迎える可能性もあると言えるのではないだろうか。
(9/6 午前6:00時点)
・銘柄別価格前日比(%)
社内データより作成
9/5の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は0.41%、中央値は-0.16%、標準偏差は3.56%となった。
最大上昇銘柄はETC/JPYの12.73%、最大下落銘柄はXYM/JPYの-5.62%。
最大上昇銘柄のETC/JPYは、8/13から続く下降のトレンドラインを突破し、5,000円台まで値を伸ばした。
最大下落銘柄のXYM/JPYは、終値ベースで年初来安値を更新する形での下落となった。9/4に5日移動平均線の上で終値を迎えたが、今日になると再度5日移動平均線を下回り、現在は5.4円付近を推移している。
・24時間ボラティリティ(%)
社内データより作成
9/5の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は5.46%、中央値は5.08%、標準偏差は3.24%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はETC/JPYで16.58%。
一方、最もボラティリティの低かった銘柄はZPG/JPYで0.54%となった。
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