ETH(イーサリアム)・雇用統計を控えてどちらに動く?一目均衡表も波乱を示唆

Daily Market Report 2022/9/2

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本稿では、ETH(イーサリアム)について、一目均衡表を用いて分析する。

ETHは21万円水準から放れやすい展開

図1. ETH/JPY 日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
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図1は、ETH/JPY日足チャートに一目均衡表(基準線期間:26日、遅行スパン期間:26日、転換線期間:9日、先行スパン2期間:52日)を設定した図(期間:2022/6~現在)である。

図1を見て分かるように、現在のETH/JPYは22万円付近での価格推移となっているが、一目均衡表の雲が上昇していることや、遅行スパン(26)が逆転した21万円で反発していることで、23万円まで上昇する可能性が高まりつつありそうだ。

一方で、本日は米国の雇用統計の発表が予定されており、賃金上昇が物価上昇の圧力維持に繋がる展開や、失業率が低水準を維持する結果となれば、ドル上昇・株下落(リスクオフ)継続から暗号資産は一段安となる展開も想定しておく必要がある。

<テクニカル要因> :基本数値で反発、基準線をトライする展開か

[注目点]
①:遅行スパン(26)が8/5に相場実線を逆転したこと
②:基準線(26)は相場実線の上に位置していること
先行きの雲が上昇していること

①:遅行スパン(26)が8/5に相場実線を逆転したこと

図1を見て分かるように、遅行スパン(26)は8/5に相場実線(終値)を逆転した。

この状況からは、遅行スパンの逆転が成立した21万円(終値)の価格水準から、相場実線がどちらかへ放れやすい状況であると考えられる。

その理由は、一目均衡表における保ち合い相場では、その放れのポイントが基本数値(9と26を組み合わせた数)となるパターンが多いとされるためである。

今回の場合、遅行スパン(26)が相場実線を逆転した日となる8/5から26日(基本数値)経過後の8/30までを保ち合い相場と捉え、逆転が成立した価格となる21万円からどちらか一方へ放れやすい局面であると読み取る形となる。

再び遅行スパン(26)が相場実線を好転(又は逆転)しない限りは、ETH/JPYが動きやすい水準として21万円を意識しておくと良いかもしれない。

②:基準線(26)は相場実線の上に位置していること

基準線(26)は相場実線の上に位置している状況である。

この状況から、当日含む26日間の高安値の中心(半値)が相場実線より上に位置していることで、上述①の放れは上方が優位であると考えられる。

理由は、遅行スパン(26)が相場実線を逆転した際に、基準線(26)が相場実線の上で位置している場合は「保ち合いの中心(半値)が上方へズレている」と捉えられるためである。これは、遅行スパン(26)と基準線(26)を補完的に見るという視点である。

当日含む26日間の持ち合い相場(遅行スパンが再び好転または逆転しない展開)が継続すれば、相場実線は23万円で推移する基準線へ戻すという見方が妥当かもしれない。

③:先行きの雲が上昇していること

一目均衡表の先行きの雲は上昇している。

また、図1を見て分かるように、目先の雲上限(先行スパン1)も上昇、かつ厚みがあることから、雲は相場実線を強くサポートする支持帯としての見方が優勢と考えられる。

以上①・②・③より、テクニカル面からは、ETH/JPYは21万円を出発点に23万円を試す展開を想定することになる。もし、相場実線が23万円に位置する基準線(26)を越える場合は、遅行スパン(26)の次なる好転(遅行スパンの相場実線上抜け)が放れの水準として意識されることになるだろう。

<ファンダメンタルズ要因>:米雇用統計発表、失業率低水準で利上げのサポートが強い?

[注目ニュース]
・米新規失業保険申請、3週連続で減少-2カ月ぶりの低水準(9/1 Bloomberg)

“米国では新規の失業保険申請が3週連続で減少し、2カ月ぶりの低水準となった。経済成長が減速する中でも健全な労働力需要があることが示唆された(9/1 Bloombergより引用)。”

このニュースからは、暗号資産市場にとって下落基調継続要因として意識される可能性が考えられる。その理由は、失業率が低水準を維持するとの見方が、FRBの利上げ意向のサポートになると読み取れるためである。

先日開かれた米ジャクソンホール会議でFRB議長は「インフレ抑制まで利上げを継続する」との意向(8/26 Bloomberg)を示しており、市場はドル上昇・株下落(リスクオフ)選好ムードにある。

その状況の中、雇用統計の先行指標として市場の注目を集める米新規失業保険申請は、8/4に発表された26.0万件(7/24~7/30期間分)でピークアウトし、9/1に発表の23.2万件(8/21~8/27期間分)まで減少傾向(Bloomberg引用記事参考)にある。

つまり、本日午後9時30分に発表を控える失業率は、失業保険申請が減少していることで低水準(市場予想3.5%)に留まるという見方にも繋がる。

実際に発表された失業率が低水準を維持する形となると、利上げ継続が経済循環へ支障をきたさないとの見方から、FRBの利上げ意向のサポートになると考えられる。

その場合は、ドル上昇・株下落(リスクオフ)の流れが継続し、暗号資産市場にとっては下落基調継続要因として意識されることになるだろう。

・米ADP民間雇用者数、21年初め以来の低い伸び-統計手法は変更(8/31 Bloomberg)

“統計は賃金の伸びについても分析。転職した人の賃金は前年同月比で16.1%増え、転職しなかった人の伸び(7.6%増)の2倍を超えた(8/31 Bloombergより引用)。”

このニュースも、暗号資産市場にとって下落要因として作用すると読み取れる。理由は、賃金が大きく上昇していることで、企業が提供するサービス価格の上昇が継続する公算となるためである。

労働者の賃金が上昇すると、企業負担が増加することになるため、提供するサービスの価格も上昇する見込みとなる。つまり、賃金上昇が物価上昇(インフレ)圧力の持続に繋がり、これが利上げを継続する見方として波紋すると考えられるだろう。

従って、上述のような材料は、市場がFRBの「インフレ抑制するまで利上げを継続する」意向を支持することに繋がり、ドル上昇・リスク資産下落(リスクオフ)の流れが続くことを視野に入れておきたい。

コロナショック以降の大規模な金融緩和政策に支えられた暗号資産市場にとって、現在のファンダメンタルズ環境は下落要因として作用すると想定できるだろう。

(9/2 午前5:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

9/1の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は0.35%、中央値は0.19%、標準偏差は1.44%となった。

最大上昇銘柄はLTC/JPY-5.04%、最大下落銘柄はIOST/JPY-1.67%

最大上昇銘柄のLTC/JPYは、7,480円(ピボットポイント、日足一目均衡表・転換線付近)で反発し、8,000円(8/16安値、8/10安値水準付近)まで上昇。日足MACD(12,26,9)がゴールデンクロスした。

最大下落銘柄のIOST/JPYは、1.7円を上限、1.5円を下限とする保ち合い相場。8/30の日足に包まれる形で推移している。

24時間ボラティリティ(%)

社内データより作成

9/1の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は5.12%、中央値は5.30%、標準偏差は1.98%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はLTC/JPY9.22%

一方、最もボラティリティの低かった銘柄ZPG/JPY0.83%となった。

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2022-09-02
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