リスクオフムード漂う市場。9月のBTC(ビットコイン)はどうなるか

Daily Market Report 2022/8/31

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BTCとドルの強まる逆相関

TradingViewより当社作成

上図は、2022/8/24から8/30までのBTC/USD(左軸、ドル)とドルインデックス(右軸)の4時間足終値チャートである。

ドルインデックスとはユーロ・円・ポンド・スイスフランなど主要国通貨に対するドル相場を指数化したものであり、個別の一通貨の為替レートよりも正確に国際経済におけるドルの価値を示すことができる。

BTC/USDは8/26金曜日の日本時間深夜から8/29月曜日の日本時間朝方までに、22,000USDか20,200USDまで8%ほどの下落幅を記録した。

この下落は、ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長による「インフレ抑制が達成されるまで金融政策を続けなければならない」というタカ派姿勢を見せた発言によるリスクオフムードの拡大が要因となっている。

米CPI(消費者物価指数)、米PCEデフレータ(個人消費支出)などのインフレ指標の鈍化からインフレがピークアウトを迎え、市場に対して楽観的になる見方が強まっていた中で、FRB高官や地方連銀総裁などの金融当局者らによる、相次ぐタカ派発言によってリスクオフムードが再開しつつあったが、今回のジャクソンホール会議でのパウエル議長の発言が決め手となり、大幅安につながったようだ。

以前のレポートでも何度か言及したように、インフレを撃退すべく開始された金融正常化という特異な環境下では、リスク資産の一つであるBTC/USDとドルインデックスには逆相関の傾向がある。

今一度、冒頭に記載のBTC/USDとドルインデクスのチャートをご覧いただきたい。

ジャクソンホール会議でのパウエル議長の発言以降の両者のチャートを比較すると、強い逆相関のチャートを描いていることが見て取れる。

ドルインデックスはパウエル議長の発言を受け、2002年以来約20年ぶりの高値圏まで値を伸ばし、近年では類を見ない高進を見せた。一方、BTCはパウエル議長による発言後、じわじわと下げ幅を拡大し、大きく安値を更新した(上図①の期間)。

反対に、8/29午前9時頃にBTCと米株市場が底打ちからの買戻しが入ると、ドルインデックスが反落し始めている(上図②の期間)。

BTCとドルインデックスの逆相関は今年に入ってから強まりつつあり、今後もこの傾向が続くのであれば、パウエル議長発言の通り、景気悪化をも受け入れる徹底したインフレ抑制政策が続く米国の経済政策に強く影響され、ドルが買われBTCの売り圧力が継続する展開が続く可能性がある。

今後のイベントでは、9月のFOMCに注目が集まっているが、パウエル議長はジャクソンホール会議にて、「1カ月の改善ではインフレ率の低下を確信するにはほど遠い」とも発言しており、7月に続き大幅利上げの見方が強まっている。

また昨日のレポートで論じた通り、インフレが改善されず懸念が再燃する可能性が残されている以上、弱気相場の終わりはまた遠いのかもしれない。

サポートラインを割ったBTC

BTC/JPY 日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
BTC(ビットコイン)のチャート・価格情報はこちら

上図は2022/6/12から8/30現在までのBTC/JPYの日足チャートである。

BTC/JPYは6/18に234万円台で安値を付けた後、サポートライン(上図白線)を形成しながら上昇を続けていた。

7/20と8/15に334万円台で高値をつけ、350万円台を目指すも上値が重く、再びサポートライン上で揉み合っていたが、8/26にラインを割って8/29には267万円台まで下げた。

執筆時点(8/30 午後8時)では、8/29に安値を付けた後反発し、280万円付近まで回復しており、一見BTCは底堅くも見えるが、ナスダックをはじめとした米株市場は反発が弱く、相関の強いBTCも連れ安となる展開なども視野に入れる必要があり、まだまだ油断を許さない状況が続いている。

9月は8/10のレポートで記載のとおり、米国株の下落傾向が強いアノマリーがある月となる。更には、重要な経済イベントも控えており、ボラティリティの高い展開となりそうだ。

9月1日のISM製造業景況指数、9日の雇用統計、13日の消費者物価指数(CPI)、更には22日のFOMCと、FRBのスタンスを補強するような強いインフレ動向と経済状況が確認されれば、FOMCの75ベーシス利上げが確実視され、リスクオフ再開の流れが確定的になる。

そうなると、BTCは6/18につけた234万円台の安値も下抜け、空白地帯にて底の掴めない展開になることも視野に入れておくことが必要かもしれない。

(8/30 午後8:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

8/30の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は-2.05%、中央値は-2.15%、標準偏差は1.52%となった。

最大上昇銘柄はTRX/JPY1.88%、最大下落銘柄はXYM/JPY-4.41%

最大上昇銘柄のTRX/JPYは、日足レベルの値動きでは、レンジ相場となっているが、1時間足目線では、直近高値8.701円を突破したことで短期的な上昇となった。その後9円台まで上昇するも、反転下落。現在は8/27に付けた高値8.8円付近を推移している。

最大下落銘柄のXYM/JPYは、ここ数日のレジスタンスとなっていた5.83円を割ったことで売り込まれ、直近安値を更新。現在は5.75円付近を推移。

24時間ボラティリティ(%)

社内データより作成

8/30の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は7.52%、中央値は7.62%、標準偏差は2.37%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はXYM/JPY11.31%

一方、最もボラティリティの低かった銘柄はZPG/JPY0.97%となった。

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2022-08-31
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