株式市場との連れ高は期待できず!?暗号資産の運命は金利次第か?
Daily Market Report 2022/8/17
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・株式市場は好調。一方で暗号資産は…
TradingView(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
上図は、2022/1~現在までの日米主要株式指数と、暗号資産時価総額の推移を表したものである(2022/1を100と起点する)。
株式市場と暗号資産市場は足元で回復傾向にあるが、そのペースには差が出ている。
2022年上半期の株式市場は、ロシア・ウクライナ紛争や欧米諸国の金融引き締め観測等により下落基調であったものの、現在では年初来に迫る水準まで値を戻している。
日経平均株価は年初来高値を更新し、景気動向に敏感なナスダック指数も年初来80%まで上昇している格好だ。
一方で、暗号資産市場(暗号資産の時価総額)は、5月のルナショックによる暴落直後の水準にすら届いておらず、年初来50%という低空飛行が続いている。
2021年は主要米国株指数が軒並み史上最高値となり、暗号資産の時価総額も最高潮に達していた。しかし、投資家のリスクオン選好による「株高=暗号資産高」という関係性は変わってきているようだ。
・カギとなるのは金利動向!暗号資産からの資金退避の兆候あり?
TradingView(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
上図は、長期金利の代表的な指標である米国10年債金利と、暗号資産時価総額の相関関係を表している。
上図左目盛は、1に近いと「金利上昇(下落)=暗号資産上昇(下落)」の正の相関、-1に近いと「金利上昇(下落)=暗号資産下落(上昇)」の負の相関関係が強くなっていることを表している。
金利と暗号資産の関係性の変化は、上図①、②から読み取れる。
①コロナ下における大規模な金融緩和による金利低下が一服し、金利は上昇。景気回復期待も相まって暗号資産も上昇。
→金利と暗号資産は正の相関関係が強い。リスクオン。
②米国の金融引き締め(利上げ)観測が強まり金利は上昇。コストプッシュ型のインフレ圧力等により景気後退の懸念が意識され始め、暗号資産は下落。
→金利と暗号資産は負の相関関係が強い。リスクオフ。
米国の利上げ判断に繋がる指標となり得る要素は混在しており(例えば、失業率は低水準であるが、物価高や四半期ベースでの景気後退は進んでいること等)、今後リスクオフの流れが広がると断言はできないものの、昨年や一昨年より景況感は厳しくなっていることは事実だろう。
そして、今年の金利上昇局面は景気後退が意識されやすく、結果として(株式よりも)ハイリスクな暗号資産市場から資金が抜けやすい環境と考えられる。
金利と暗号資産は負の相関関係が強くなっていることから、FRB(米連邦準備制度理事会)の急速利上げが更なる金利上昇を招けば、それは暗号資産の下落に直結しそうだ。
・金利動向の不確実性高まる。暗号資産への影響は如何に
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上図は、米国債(金利)の予想変動率を示すMOVE(債券恐怖指数)と、米株の予想変動率を示すVIX(株式恐怖指数)を表したものである。両指数はオプション市場の動向を元に算出されており、別名“恐怖指数”とも呼ばれている。
注目すべきは、VIX(株式)の数値は過去と比べ低い水準であるのに対し、MOVE(金利)の数値は年明け以降から高値圏での推移が続いていることだ。
言い換えると、株式市場には平穏であるのに対し、債券(金利)市場については市場参加者予想のバラつきが大きく、不確実性が高いということである。
足元でのMOVE指数は約106であり、これはギリシャショック(2011年)やバーナンキ元FRB議長による突然の量的緩和縮小発言(テーパータントラム、2013年)の時と同等である。また、今年6月にはコロナショック時の水準まで急騰した場面もあった。
一方で、VIX指数は現在約20であり、株式市場にとって安心材料と捉えられる水準である。
8/25~8/27に開催される米ジャクソンホール会議ではFRB高官による発言もあり、金融政策で何かサプライズとなる発言があれば、債券(金利)市場は株式以上に動揺する可能性もありそうだ。
前述の通り、足元は「金利上昇(下落)=暗号資産下落(上昇)」の負の相関関係が強まっており、市場はインフレのピークアウトを織り込む動きを見せている。
そのため、金利の上げ幅を縮める動きに舵が切られることとなれば、暗号資産の上昇も見込めるかもしれない。
(8/17 午前0:00時点)
・銘柄別価格前日比(%)
社内データより作成
8/16の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は0.06%、中央値は-0.39%、標準偏差は2.02%となった。
最大上昇銘柄はXTZ/JPYの5.13%、最大下落銘柄はXYM/JPYの-4.09%。
最大上昇銘柄のXTZ/JPYは8/6以降は250円ラインでの攻防が続いている。
最大下落銘柄のXYM/JPYは短期的なサポートラインとなっている7.0円付近まで下落した。次の目標は7月安値の6.3円あたりか。
・24時間ボラティリティ(%)
社内データより作成
8/16の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は4.81%、中央値は4.74%、標準偏差は1.83%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はXTZ/JPYで8.68%。
一方、最もボラティリティの低かった銘柄はZPG/JPYで1.18%となった。
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