BTC(ビットコイン)の傾向分析、有効なトレーディングアプローチは何か

Daily Market Report 2022/8/16

 

本稿では、システムトレードの有効性を検証する際に、過去のデータを用いて、一定期間にどの程度のパフォーマンスが得られたかをシミュレーションする「バックテスト」を行い、BTC(ビットコイン)の有効なトレーディングアプローチを分析をする。

トレーディングパフォーマンス

表1:TradingView(https://jp.tradingview.com/)より当社作成

表1は、BTCの*4つの異なる戦略のバックテスト結果を1年毎に示したものである。各数値はそれぞれの戦略の平均利益率を示した。また、テスト時間枠は4時間足のドルベース価格で実施した。

*4つの異なる戦略について
①バイ・アンド・ホールド
②トレンドフォロー(強い時に買い、弱い時に売る)
③カウンタートレンド(弱い時に買う)
④カウンタートレンド(強い時に売る)
(※セル・アンド・ホールド(売りのみ)…バイ・アンド・ホールドの逆)

表1を見て分かるように、2022年から同年8/14(現在)の期間において、プラスのパフォーマンスになっているのは、「セル・アンド・ホールド(売りのみ)」(バイ・アンド・ホールドがマイナスなため)及び「トレンドフォロー」のみであり、これらの戦略が有効であることが考えられる(表1水色枠参考)。

2022年初から同年8/14までのバイ・アンド・ホールドの平均利益率は-0.91%であり、セル・アンド・ホールドはその逆を意味することから、ロングよりもショートポジションを保有する方が、パフォーマンスが良いことが分かる。つまり、2022年初から同年8/14までの期間に関しては「セル・アンド・ホールド(売りのみ)」が有効と言えるかもしれない。

また、上記のとおり同期間におけるトレンドフォローは0.93%である。これは全体の平均利益率である0.50%の約2倍であり、カウンタートレンド(弱い時に買う)の-0.60%とカウンタートレンド(強い時に売る)の-1.43%よりも良い数値である。つまり、「トレンドフォロー」が有効と考えられる。

以上より、2022年初から同年8/14におけるトレーディングパフォーマンスが最も良好であるのは「セル・アンド・ホールド(売りのみ)」及び「トレンドフォロー」の戦略であることが確認できる。

トレンドフォローにおいて代表的なトレーディングアプローチは、SMA(単純移動平均線)やボリンジャーバンドトレンドライン等があげられる。

今回は、SMA(単純移動平均線)を活用したストラテジーをバックテストすることで、トレンドフォロー戦略の有効性も確認する。

表2.:TradingView(https://jp.tradingview.com/)より当社作成

表2は、SMA(単純移動平均線)を活用したストラテジーのバックテスト結果(利益曲線)を示している。ストラテジーの条件は下記の通りで実施した。

◆SMA(単純移動平均線)クロスシステム

参入条件:
・終値がSMAをデスクロスした時に売りエントリー

退出条件:
(省略)

その他:
・取引数量は1単位
・ドルベースの価格を使用
・サンプル期間は2022年初~同年8/14まで
・SMA期間は5日・10日・20日・40日・80日・160日を設定
・売買条件は全て同様

表2から、SMA(単純移動平均線)クロスシステムの利益曲線は右肩上がりであることが分かる。つまり、トレンドフォロー戦略であるSMAクロスシステムのパフォーマンス(売りのみ)は良好であると言えるだろう。

着地時点において最もパフォーマンスが良いパラメーターは5SMAであり、次に80 SMA、160SMA、20SMA、40SMA、10SMAと続いている。但し、全体を客観的に見た場合は、80SMAが最も安定的に利益を積み上げていることが分かった。

表3.:TradingView(https://jp.tradingview.com/)より当社作成

表3は、各SMA(単純移動平均線)クロスシステムのバックテスト結果で得られたパフォーマンス数値をまとめたものである。

サンプル期間において、勝率が最も高かったパラメーターは160日SMAの70%、ペイオフレシオは40日SMAの1.407、(1トレード当たりの)平均トレードは160日SMAの786ドルであった(表3水色枠参考)。

現在のSMA水準

図1.FX BTC/JPY 4時間足 Bidチャート(当社取引ツールより作成)

図1は、4時間足におけるSMA(80日、20日、5日)の推移を示している。

8/15の12:00足で、ローソク足の終値が5日と20日SMAをデスクロスした(図1白縦線参考)。また、ローソク足は80SMAより上の位置で推移している。

これは、価格が短期的な下落水準にある可能性を意味している。前項のトレーディングパフォーマンスで述べた通り、現在のBTCは「セル・アンド・ホールド(売りのみ)」及び「トレンドフォロー」が有効である状況がポイントとなる。

結論

現在のBTCは、「セル・アンド・ホールド(売りのみ)」及び「トレンドフォロー」(単純移動平均線やボリンジャーバンド、トレンドライン等)が有効である可能性が高いと考えられる。また、現在のSMA(単純移動平均線)は短期的な下落水準を維持していると読み取れる。

(8/15 午後9:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

8/15の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は-1.66%、中央値は-1.91%、標準偏差は1.32%となった。

最大上昇銘柄はIOST/JPY0.79%、最大下落銘柄はLTC/JPY-4.74%

最大上昇銘柄のIOST/JPYは、ここ数日は2.0円付近で揉み合っているが、100日移動平均線を僅かながら上方ブレイクした。

最大下落銘柄のLTC/JPYは、約1ヶ月に渡り8,600円付近がレジスタンスラインとなっており、上値の重い展開が続いている。

24時間ボラティリティ(%)

社内データより作成

8/15の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は6.64%、中央値は6.33%、標準偏差は1.78%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はXEM/JPY9.25%

一方、最もボラティリティの低かった銘柄はZPG/JPY2.08%となった。

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2022-08-16
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