米国株式市場から紐解く、BTC(ビットコイン)の「夏枯れ相場」の展望
Daily Market Report 2022/8/10
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本稿では、BTC/ JPYの今後の動向について、アノマリー(※)とテクニカル分析の両面から値動きを考察する。
※アノマリー…合理的な説明が難しいものの、経験的に観測できるマーケットの規則性のこと。
・ナスダック総合指数は年間の中で9月だけ下落する!?
TradingView(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
上図は、2013年から現在までの米国株式を代表する株価指数であるナスダック総合指数の月別騰落率(%)とNYダウ(ダウ・ジョーンズ工業株価平均)を一覧にした表である。
過去のデータからは、米国株式市場は9月になると下落する傾向が強いことがうかがえ、8月は翌月の下落を見通したような調整局面に入る可能性もありそうだ。
このアノマリーは典型的な「夏枯れ相場」と捉えられるだろう。
昔から言われている「夏枯れ相場」とは、株式市場における一種のアノマリーである。機関投資家やトレーダーが夏場に長期休暇を取ること等による取引参加者の減少が、相場の動きが鈍る「夏枯れ相場」につながっていると考えられる。
日本でも同様に多くの投資家が8月のお盆を中心に夏季休暇を取得することから、株式市場で出来高が減少する傾向にある。
このため夏季の相場では、投資家のポジション手じまいや、出来高が閑散とする影響で「夏枯れ相場」が形成されている。
また、米国では新年度が始まる9月の第1月曜日にレイバーデー(休日)という夏季シーズンの終了を象徴する日があり、これを節目に売買代金が膨らむ傾向にある。
そして、米国株式市場では夏場のアノマリーに沿う形で、「レイバーデー明けからセンチメントの変化に気を付けろ」という格言もある。
以上を踏まえ、国内外の投資家が動き出す9月の相場を見据えた上で、8月の「夏枯れ相場」の動きには注意が必要だ。
今年は、コロナ下で景気を下支えした金融緩和が転機を迎えており、より強い夏枯れ相場が意識されるかもしれない。
本日は注目の米CPIが発表されるが、強い数字であれば利上げ速度の上昇を市場は再度織り込むことになり、米国株の下落が発生した場合、特にナスダックとの相関が高いBTC/JPYも厳しい局面が継続することになろうか。
一方で、年末ラリーを期待した買いも予想されるため、8月から9月は底入れと見越した買い時ともとらえられよう。
・BTC/JPYは各テクニカル指標で下落傾向あり
BTC/JPY 週足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
BTC(ビットコイン)のチャート・価格情報はこちら
上図は、2021/8/16から現在までのBTC/JPYの週足チャートに、RSI (14,終値)・RCI (9,終値)・スローストキャスティクス(14,3,3)と2つの単純移動平均線(2週移動平均、100週移動平均)を設定した図である。
BTC/JPYをテクニカル指標から読み解くと、トレンド系(移動平均線)とオシレーター系(RSI、RCI、スローストキャスティクス)共に下落シナリオ優位と言えそうだ。
まず、トレンド系指標として注目すべきは、7/11週に発生した、25週移動平均線が100週移動平均線を上から下に突き抜けるデッドクロスの存在であろう(上図 白丸)。
この約3年半ぶりのデッドクロス発生により市場のリスクオフムードが一段と高まり、一気に価格が下がる可能性も考えらえる。
また、オシレーター系テクニカル指標でも先行きに不透明感があり、以下に3つのオシレーター指標の考察をまとめていく。
①RSI(相対力指数)では、BTC/JPY価格の底が近いことを示している
RSIは一般的に逆張りの目安として使われており、70%~80%を超えると買われ過ぎ、反対に20%~30%を割り込むと売られ過ぎと判断され、執筆時点でのRSIは25%前後となっており、割安感があるといえよう。RSIが30を下回ると長期の下落トレンドが反転することがあるため、上昇余地はありそうだ。
②RCI(順位相関指数)では、割高感が強いことから、売りのシグナルが出ている状態である
RCIは一般的に相場の過熱感を測るために使われており、現在の価格が割安か割高かを判断するときに使われる代表的なテクニカル指標の一つである。執筆時点では8/8に80%ラインを越えており、売りシグナルが出ているといえよう。
③スローストキャスティクスでは、売られ過ぎな状態が続いており、9月に市場参加者が増えるまでは売り優勢が続くと想定できようか
Slow%D(上図下部 黄色線)が80%を超えると買われ過ぎ、20%を割り込むと売られ過ぎと判断されるのが一般的である。6月中旬から7月上旬にかけて、Slow%Dが20%を下回り、買いが優勢と思われる場面が続いたが(上図 四角)、依然として売られ過ぎの状態は変わっていない。
RSIやスローストキャスティクスは反転上昇の可能性を示唆しているものの、夏枯れ相場で市場参加者が少ないことを鑑みると、上昇に転じるためにはファンダメンタルズ材料の後押しが必要となりそうだ。
また、冒頭で記載したように9月特有の下落アノマリーが意識されれば、予め8月に調整局面入りする可能性にも注意しておきたいところだ。
(8/9 午後2:00時点)
・銘柄別価格前日比(%)
社内データより作成
8/9の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は-3.47%、中央値は-3.48%、標準偏差は2.21%となった。
最大上昇銘柄はBAT/JPYの3.13%、最大下落銘柄はXLM/JPYの-7.01%。
最大上昇銘柄のBAT/JPYは、58.311円オープン、60.137円クローズとなった。日足の一目均衡表では、三役好転(※)がを形成しており依然と上昇の勢いが強いようだ。
(※)三役好転…強気相場を示すシグナルのことで、「転換線が基準線を上回る」「ローソク足が雲の上を抜ける」「遅効スパンがローソク足の上にある」の3条件が揃った場合に成立する
最大下落銘柄のXLM/JPYは、17.699円でオープンし、16.458円でクローズとなった。オープン時は一目均衡表(日足)の雲の上限でオープンし、それがレジスタンスとなったのか、1時間足、4時間足ともで続落となった。しかし、4時間足のスローストキャスティクスでは20付近でゴールデンクロスを形成しているため、下落の勢いは収まるかもしれない。
・24時間ボラティリティ(%)
社内データより作成
8/9の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は7.69%、中央値は8.25%、標準偏差は2.81%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はOMG/JPYで11.81%。
一方、最もボラティリティの低かった銘柄はZPG/JPYで1.09%となった。
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