対BTCでV字回復のETH(イーサリアム)。2021年の水準を狙えるか
Daily Market Report 2022/8/4
5月から6月にかけてBTC(ビットコイン)に対して遅れを見せていたETH(イーサリアム)は、7/15頃から巻き返しを見せているようだ。
これにはEthereum待望の大型アップデート「The Merge」への期待が含まれるのだろうか。
本稿ではETH/BTCの推移や、今後注目すべきイベントについて考察する。
CoinGecko、CME Fed Watch、Fredより当社作成
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まずは、ETH/BTCの推移について簡単におさらいしておこう。
上図は、2021/5/1から2022/7/31までのETH/BTCと米国の政策金利誘導目標の推移(青線=ETH/BTC、灰色枠=政策金利誘導目標、青枠=政策金利誘導目標の予想)だ。
はじめに、ETHは昨年、暗号資産とNFTブームの追い風によって価格の上昇に成功した銘柄のひとつである。
実際、ETH/BTCは2018/9から2021/4頃にかけては、約2年半もの間0.02~0.04BTCの間で推移していたが、2021/5以降は一気に幅を縮め、2022/5までの1年間は0.06~0.08BTCの間で推移していた。
このように、約1年間 0.06~0.08BTCの間で推移していたETHであるが、2022/6/19には約1年ぶり水準である0.052BTCまで下落することとなる。
この理由については、ETHのPoSへの移行が遅れたことや、BTCと比べて暗号資産サービスの出金停止・破たん等の影響を大きく受けた可能性を挙げることもできるだろう。
CoinGeckoより当社作成
上図は、2022/5/4から2022/8/3までのETH/USD(左軸)とBTC/USD(右軸)の推移だ。
まず、2022/5に米国の政策金利の引き上げが行われたことは記憶に新しい。この際、市場は同年3月に政策金利が上昇した際よりも積極的にリスク資産の売りを行う反応を見せ、これにより、株式市場、暗号資産市場全体が大きく下落することとなった。
このような状況の中、当然ETHに限らずBTCも影響を受けており、5/5の政策金利引き上げ以降、1週間後の5/12までは下落率に差がなかったが、その後はなんとか横ばいに推移するBTCを横目にETHは徐々に下落を辿ることとなり、結果的にETH/BTCは差が拡大することとなった。
その後、6/10にはインフレ率を把握するうえで最も重要となるとされるCPIの発表によって金融市場が下落、6/13に暗号資産の大手レンディング(預かり・貸付)サービス「セルシウス」が出金停止に陥り、その3日後の6/16にはさらなる政策金利の引き上げが行われる等、混沌とした1週間が訪れた。
この間、BTCとETHにおいて個別の価格変動要因は特になかったことから、下落率の差はBTCに対して時価総額の劣るETHがよりリスクの高い暗号資産としてみなされた結果として、ETHがBTC以上に多く売られたと考えることもできるかもしれない。
・The Mergeの影響はいかに
CoinGeckoより当社作成
このように、5月から6月にはETHは対BTCで下落、横ばいの状況が続いており、7/13時点では0.053BTCとなっていたものの、7/15に待望のアップデート「The Merge」の実施予定日が公開されたことから、ETH/BTCは上昇に転じ、7/31には0.072BTCまで回復した。
The Mergeの実施予定日は9/19となっており、6/23の当社マーケットレポート※で解説した内容からほぼ変更はないが、アップデート実行後も高額なガス代は依然として低下しないことが開発者から明らかになっている。
※「Daily Market Report 2022/6/23「”氷河”で遠のく大規模アップデート。ETH(イーサリアム)に待ち受ける未来は…」
ただし、ガス代は低下しないとはいえ、環境問題の理由からヨーロッパを中心にPoW(プルーフ・オブ・ワーク)への批判や規制論が存在する中でPoS(プルーフ・オブ・ステーク)へ移行することには大きな意義があるといえるだろう。
また、翌2023年に予定される「シャードチェーン」アップデートへ繋がる大きな一歩であるという意味でもThe Mergeは実施日に至るまで関心が高まり続ける可能性もあるかもしれない。
もちろん、これまでEthereumはアップデートの延期を数多く行ってきた経緯があり、The Mergeについても今後も開発上の都合により延期に至る可能性も捨てきれず、過信は禁物だろう。
とはいえ、さらなる延期があったとしても、The Mergeは紛れもなく近づいていることに違いはない。
2022/8/3時点ではETH/BTCは約0.071となっているが、8/6にはThe Mergeに向けたテストネット最後の実装となる「Goerli」も予定されており、The Mergeの正式な実施日程が公開されれば、2021/12/9に記録した昨年の最大値である0.087BTCに近づくこともありえるかもしれない。
(8/3 午後7:00時点)
・銘柄別価格前日比(%)
社内データより作成
8/3の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は1.32%、中央値は1.32%、標準偏差は1.55%となった。
最大上昇銘柄はENJ/JPYの4.31%、最大下落銘柄はXYM/JPYの-1.85%。
最大上昇銘柄のENJ/JPYは、上昇は目立ったものの6月以降のレジスタンスラインとなっている85円付近から抜け出せない展開となっている。
最大下落銘柄のXYM/JPYは、ここ3週間ほど約7.5~6.8円でのレンジ相場が続いており、下限の6.8円付近で一旦は下げ止まりを見せたようだ。
・24時間ボラティリティ(%)
社内データより作成
8/3の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は6.75%、中央値は6.69%、標準偏差は2.35%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はENJ/JPYで10.50%。
一方、最もボラティリティの低かった銘柄はZPG/JPYで1.43%となった。
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