米政策金利上昇&決算期…BTC(ビットコイン)の行く末は!?
Daily Market Report 2022/7/21
CoinGecko、CME Fed Watch、Fredより当社作成
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上図は、2022/1/1から2022/7/20におけるBTC/USDと米国政策金利誘導目標の推移(現時点以降(青枠箇所)についてはCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)によるFF(フェデラル・ファンド)先物市場による予測値)だ。
繰り返しの利上げにもかかわらず、高インフレに歯止めがかからない米国の状況において依然として利上げの見込みは強く、12月末に米国金利は300~425bps(ベーシスポイント)まで達する可能性もある。
現在米国では決算期に突入しており、想定以上に金利の引き上げによる影響が軽微であった事から株価指数は回復しつつあるものの、5月から7月第2週にかけて投資家がリスク資産を売却する流れとなっていた。
一方で、BTCは2022年に入り、金利の引き上げによる影響を大きく受け、6/19には終値で2020/12/16以来となる20,000ドルを割った。
以降、約1カ月近くの間BTCは20,000ドルラインで推移し続けていたが、7/19には23,000ドルまで上昇し、復調の兆しも見えている。
とはいえ、7/27には再び米国政策金利が引き上げられる見込みが強く、暗号資産市場を含む市場のトレンドが変化する可能性もある。今後、BTCの価格はどのように推移するだろうか。
・6月の悪材料による影響は…?
CoinGeckoより当社作成
上図は、5/1~7/20におけるBTC/USDの価格推移だ。
ここでまずは6月にかけての簡単な流れをおさらいしたい。
5月に米国金利が引き上げられた際に40,000ドルから30,000ドルまで下落したBTCは、6/10頃発表された米国の消費者物価指数(CPI)が約40年ぶりの水準まで高まったことにより、翌週の政策金利引き上げが想定以上になることが見据えられた結果、30,000ドルラインから約22,500ドルへ下落することとなる。
さらに、3日後の6/13には大手暗号資産レンディング(貸し付け)サービスの「セルシウス」が出金停止措置に至ったことや、6/16には政策金利が大幅に引き上げられた影響で20,000ドルまで下落した。
今回のポイントとなるのは、この6/16以降の政策金利引き上げ以降におけるBTCの価格推移だ。
上に述べたとおり、6月中旬以降はBTCにとって向かい風となる材料が多かった中、BTCは20,000ドルのラインで強い踏ん張りを見せた。
例えば、6/16以降には香港に拠点を置くBabel Financeもセルシウスと同様に債務不履行に陥り、7/6にも暗号資産取引プラットフォームのVoyager Digitalが破産に至った。さらには、7/13には上述のセルシウスが破産申請を行う等の事例があった。
これらの事例についてはBTC自体の信用に関わる問題とはいえないものの、暗号資産全体で異変が起きていると捉えられ価格が下落してもおかしくない状況であったが、結果的にBTCは20,000ドルのラインから大きく下落することはなかった。
実際、BTCには20,000ドルのラインにおいてクジラによる売買が確認されており、強いサポートが存在すると指摘する声もある。
(クジラについては当社コラム「ビットコインの価格に大きな影響を与えるクジラとは?」参照)
・今後のBTCの価格は…?
上述のとおり、5月から6月にかけて政策金利の引き上げや暗号資産関連企業の相次ぐ破産によってBTCは約40,000ドルから20,000ドルまで下落することとなったが、今後の推移はどのようになるだろうか。
CME Fed Watchより当社作成
上図は、Fed Watchと呼ばれるCMEによるFF先物市場を反映した政策金利動向の確率を示したグラフだ。
まず、7/27の政策金利引き上げについて、米国時間の7/13には約80%の確率で4段階もの大幅増となる250-275bpsまで上昇するのではないかと予測されていた。しかし、5日後の7/18には、3段階増となる225-250bpsとなる可能性が70%を超えることとなり、現在もこの見方が優勢だろう。
これは、米国において急速なインフレ加速懸念が一旦落ち着きを見せていることが理由のひとつだと考えられており、一定の上昇幅は受け入れざるを得ないものの、一時よりも状況はやや好転しているといえるだろう。
また、米国では決算期に突入しており、7/19には金融引き締めの影響が想定以上に軽微だったことから、NYダウは大幅な上昇を見せた。
この影響は、米国株価指数との相関関係が高いBTCにも好都合であり、今後8月の2週目あたりまで本格化する大企業の決算が好調であれば、それに追随してBTCが価格を上昇させる可能性もあるかもしれない。
とはいえ、油断は禁物だ。政策金利の引き上げ幅は3段階に妥協される見方が強くなりつつあるものの、BTCは過去2回の引き上げの前後に約10,000ドルずつ価格を大きく下落している。
このことから、今後残された決算発表で多くの米国企業において不調が明るみになった場合は、米国株価指数が下落すると共に相関関係の強いBTCも下落し、さらには政策金利の引き上げの影響によって、強いサポートとされている20,000ドルラインを再度割ってしまう可能性も考えられるだろう。
(7/20 午後7:00時点)
・銘柄別価格前日比(%)
社内データより作成
7/20の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は-2.91%、中央値は-3.46%、標準偏差は3.06%となった。
最大上昇銘柄はMONA/JPYの6.29%、最大下落銘柄はETC/JPYの-7.80%。
最大上昇銘柄のMONA/JPYは一時80円手前まで上伸した。7/19は暗号資産市場全体が上向きとなる中、70円の節目を維持してクローズを迎えたことで7/20も堅調な値動きを続けた。特に米国時間突入後に強い値動きとなっており、75円を上抜けすると78円半ばと6/9以来の高値水準まで上値を伸ばした。
ただ、80円の節目には届かず、クローズ付近では上昇一息といった状況である。
最大下落銘柄のETC/JPYは直近の上昇スピードが一服し下落した。直近4営業日は大陽線を描いて強い上昇を続けていたが、目先の節目である4,000円に届かず失速することとなった。
とはいえ、6月半ばからのレンジの上限である3,000円付近では下げ止まっており、この水準で下げ止まることができれば今回の下げは押し目としての認識となり、再上昇を見込めるかもしれない。
・24時間ボラティリティ(%)
社内データより作成
7/20の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は9.63%、中央値は9.85%、標準偏差は2.95%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はENJ/JPYで15.53%。
一方、最もボラティリティの低かった銘柄はZPG/JPYで1.79%となった。
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