悲壮感漂う世界で、BTCはリセッションに抗うか

Daily Market Report 2022/7/19

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BTC vs 暗号資産時価総額

Bloombergより当社作成
BTC(ビットコイン)のチャート・価格情報はこちら

上図は、2021/1/1から現在までのBTC/USDと暗号資産時価総額の価格を比較したグラフである。

2022年の半年が経過した。暗号資産時価総額とBTC/USDは下落トレンドで2022年前半の幕を閉じることとなったが、7月現在は、20,000ドルをサポートに下落を耐え忍ぶ様相であることが伺える(赤四角)。

今月のBTCは、年初来安値である17,500ドルを下抜けることなく、一時22,500ドルまで自律反発となり、月足ベースで3か月ぶりに陽線での推移となっている。

しかし、暗号資産時価総額ベースでは、過去最高値である2.97兆ドルから0.94兆ドルと2.03兆ドルの時価総額を喪失した状態の相場展開が続いており、円換算で約280兆円の価値が喪失したままである。

米国のスタグフレーション懸念からリスクアセットの下落が顕著になっているが、暗号資産の下落が加速した要因として、無担保型(アルゴリズム)ステーブルコインのUST(テラUSD)のドルペッグが外れ(デペッグ)、裏付け資産となるLUNA(テラ)の価値が99%安まで下落して売りが売りを呼ぶ信用収縮が加速したことも大きいといえよう。

また、大手暗号資産レンディングプラットフォームを運営するCelsius Networkが暗号資産市場の大幅下落を理由に暗号資産の引き出し、送金を停止することを発表。今月の14日には1,600億円の負債を抱えたまま破産申請を行った(2022/6/13 Coindesk)。

そして暗号資産大幅下落の影響を受けマージンコールに応じることができず、債務危機の疑惑が浮上していたシンガポールの大手暗号資産ヘッジファンドであるThree Arrouws Capitalは、今月4日に破産申請を行っていたが、創業者の2名は債権者から逃亡中という(2022/6/17 Cointelegraph)。

典型的な弱気相場のネガティブな報道が増加傾向にあるが、全ては米国の利上げとテーパリング開始から相場のベアマーケットは避けられなかったと考えられる。

2013年~2014年と類似するマーケットニュース

上図は、2013年から2014年と2021年から現在で暗号資産に生じた重要ニュースを網羅したものである。

2013年から2014年と2021年から現在で共通する点は、マーケットが大量の通貨を供給することを目的とした金融政策の段階的縮小を意味する、テーパリング開始以降の金融引き締め政策が始まっていることである。

2013年のキプロス共和国における金融危機、2021年のエルサルバドルといった新興国が暗号資産を支払手段として利用することを決めた報道や、2013年と2021年のFBIによる暗号資産の取り締まり、2013年、2021年の中国当局による規制など、時系列は異なるが、2021年に生じたトピックはテーパリングを迎えることになる2013年を想起させるものがあろう。

現在の暗号資産市場は2013年の相場サイクルと類似した状況になっていると考えることはできないだろうか。

2014年のMt.Gox閉鎖の様な重大ニュースとして、テラ(LUNA)ショックやCelsius Networkの信用不安などを相場は織り込んでいるが、2014年当時は高値から80%以上下落した価格が底となった一方で、現在の暗号資産相場は最高値から70%前後で踏みとどまっている。

2022年の残りの半年で、2014年2月に起きたMt.Gox閉鎖のように、世界に強く衝撃を与えるニュースが控えている可能性も視野に入れておくことも必要かもしれない。

これからの、暗号資産市場はどうなるのかを確認するために、

・米国金利(米10年金利-米2年金利)
・BTC対数チャート
・銅

以上の指標との比較で暗号資産の立ち位置を確認したい。

BTC vs 米10年金利-米2年金利

Bloombergより当社作成

上図は、1988/2/22から現在までの米国10年金利から米国2年金利を差し引き、逆イールドを視覚化したグラフである。
※赤丸、緑丸→逆イールド発生
※赤点線→景気後退期(リセッション)の該当期間

基本的に債券価格は、期間が長くなればなるほど債券償還までの経済状況や物価動向など不確実性が高まるため、不確実性に伴うリスクに見合う利回りが提供され、期間の長い債券の利回りは高くなるのが常である。

しかし、グラフ赤丸の箇所を確認すると、期間の短い債券の利回り(米2年金利)が期間の長い債券の利回り(米10年金利)を逆転する逆イールドが発生していることが分かる。

逆イールドは世界景気後退(リセッション)の兆候ともいわれており、直近の逆イールド発生から景気後退に陥った例として以下が挙げられる。

NBER(全米経済研究所)より当社作成

1990年からの過去30年をみると、米国の景気動向の転換点を判定する全米経済研究所(NBER)の発表した景気後退判定の前には逆イールドが発生していることが分かるだろう。

そして2022年、緑丸の現在地点で、逆イールドが発生している。

コロナショック以降の世界は、際限のない法定通貨発行により資産インフレを生み出した。その結果が世界株価指数やBTCの価値向上に寄与していたが、現在はコロナショックを受けた大規模金融緩和の弊害というインフレ高進に加え、ウクライナ侵攻という地政学的リスクを世界は受け止めなければならず、食品、エネルギー価格高騰という負の影響を家計に与えている。

逆イールドとなる背景として、40年ぶりとなるアメリカのインフレ率を抑え、物価の安定と雇用の最大化を目指すFRB(米連邦準備制度理事会)により金利の引き上げを実施する最中に位置していることがあげられよう。

期間の短い利回りは上昇しやすくなるが、期間の長い利回りは、未来の景気減速を織り込み(将来の利下げ)、上昇しにくい傾向にあるといえるだろう。

Bloombergより当社作成

上図は、2016/1/1から現在までのBTC/USDの価格と米国10年金利から2年金利を差し引き、逆イールドを視覚化したグラフである。
※赤丸→逆イールド発生
※赤点線→景気後退期(リセッション)の該当期間

BTCの価格動向も金利、そして世界景気動向に左右されるのは避けられないようだ。

全米経済研究所(NBER)の発表した最新の景気後退期は、赤枠のコロナショックに該当する期間であるが、BTCは景気後退期間中に10,500ドルから3,800ドルと60%以上下落している。

 コロナショック時の景気後退期はわずか2か月であったが、仮にNBERが景気後退の声明を発表したとしても、既に大規模量的緩和と十分すぎる金利引き下げを実施しているため、次の景気後退を支えるための金融政策は尽きてしまったようにも思われる。

直近40年間の最長の景気後退期間は、リーマンショック時の18か月である。

BTCの底は、1年以上見えない可能性も考慮する必要がある転換期に突入したといえるかもしれない。

BTC vs 対数チャート

Bloombergより当社作成

上図は、2012/1/1から現在までのBTC/USDの価格を価格換算でなく、変動率で表示した対数グラフである。
※赤丸→押し目買いライン

世界景気動向を振り返ると、ネガティブな環境であることは確からしいが、テクニカル目線で見ると、今のBTCの価格水準は押し目買いに相応しい価格帯に位置している可能性も考えられる。

グラフはBTC/USDの対数チャートに200週移動平均線をプロットしたものであるが、

過去の価格推移で、200週移動平均線抵触時が当時の絶好の押し目買いラインであったことがわかる。2012年から現在までの200週移動平均線に抵触した期間と価格は以下である。

200週移動平均線は上向きが続いており、時代が流れるにつれてBTCの押し目買い価格も上昇してきたことが分かる。

今いる地点が最後の押し目買い価格となるか否か、注目される年となるだろう。

BTC(ビットコイン)vs 銅

Bloombergより当社作成

上図は、2017年1月からの銅価格とBTCの価格比較をしたグラフである。

グラフを見ても分かる通り、銅とBTCは同じような値動きとなっており、相関を示してきた。

大きなサイクルとして具体的には、下記のとおりとなる。

BTCは大きな上昇と下落を繰り返しながらも、世界経済の成長に寄り添って銅と同様な値動きで推移していたことがわかる。

銅価格は、かつて2008年のリーマンショック発生の1か月前に急落。2020年コロナショックでも1か月前に価格はいち早く下落しており、世界経済を占う道標と言われている指標である。

BTCをはじめとした暗号資産の今後の動向は、世界経済の先行指標であり炭鉱のカナリアとも呼ばれる銅が鍵となる可能性もあるだろう。

銅は長らく保ち合い相場が続いていたが、軍事侵攻をきっかけにコモディティ市況は上昇軌道に乗ったか、銅も最高値を更新することとなった。

しかし、金利は逆イールドと世界景気後退(リセッション)の兆候を示しており、アメリカの最新のエコノミスト指標調査でも、経済が景気後退に陥る可能性は5割程度であるとの見立てをしている現状、やはり銅相場もBTCと同じく、大きく値を崩していることが分かる。

炭鉱のカナリアである銅が崩れてしまった今、唯一の希望はBTCの価格が踏みとどまっていることが挙げられる。

Bloombergより当社作成

銅価格は、世界経済の先行指標として市場関係者から注目を浴びる指標であった。

しかし、2021年からの銅とBTCを比較すると、価格の節目で常にBTCが銅よりも数か月程度先行して価格推移していることがわかる。

BTCは、インフレヘッジ資産や国の法定通貨として成長し、暗号資産の規制にも抗い誕生から13年経過することとなった。

景気後退を織り込み、あらゆる金融資産が軒並み値を崩す悲観相場の中で、BTCが反発の兆しを見せることができれば、リセッションに抗う唯一の資産として既存金融に匹敵する存在感を見せることも可能であろう。

(7/18 午前6:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

7/18の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は3.78%、中央値は2.59%、標準偏差は3.45%となった。

最大上昇銘柄はETC/JPY13.11%、最大下落銘柄はTRX/JPY-0.47%

最大上昇銘柄のETC/JPYは、6営業日連続の陽線となり強い上昇を描いた。

多くの暗号資産でここ数日は上昇傾向が続いており、暗号資産の代表格であるBTCよりもETHの上昇力が強い状況だ。

ETHから分岐した暗号資産であり、より投機的側面の高いETCにおいてはボラティリティの高さ故か上昇著しく、6月高値付近まで上昇している。

最大下落銘柄のTRX/JPYは、直近7/9高値9.57円を試したものの、上昇を維持できず反落。

しかし6/13-6/14での2連続の大陰線を描いて下落した水準である6.5円付近からは確実に下値を切り上げる動きを続けており、本日は高値更新後に陰線に転じたものの底堅い値動きを続けている。

24時間ボラティリティ(%)

社内データより作成

7/18の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は9.49%、中央値は8.85%、標準偏差は3.88%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はETC/JPY19.94%

一方、最もボラティリティの低かった銘柄はZPG/JPY1.54%となった。

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2022-07-19
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