BTC(ビットコイン)の今後の値動き。キーは経済指標?

Daily Market Report 2022/7/14

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当社取扱い19銘柄の騰落率

騰落率ランキング(期間2022/7/3 – 2022/7/9)
当社クローズレート(Bid)より作成

上図は、先週1週間(2022/7/3~2022/7/9)における当社取扱い銘柄の騰落率のランキングである。

19銘柄中18銘柄はプラス域で推移しており、上位4銘柄は+10%を超えた。

暗号資産の代名詞であるBTC(ビットコイン)は+13.19%と高パフォーマンスを出している。

7/1に暗号資産ヘッジファンドであるThree Arrows capital(3AC)が米国で破産申請をしたことから市場は大きく混乱するかと思われたが、7/2~7/3は大きな値動きは無く、7/4から下値をだんだんと切り上げている状況だ。

暗号資産関連の好材料は乏しい状況であるが、市場は悲観相場から徐々に回復しているようだ。

本稿では今月初頭から今週にかけて起こった暗号資産市場のニュースを振り返り、今後の展開を想定する。

BTCのチャートで見る7月からのニュース(7/1~7/12)

BTC/JPY 日足 Bidチャート(当社取引ツールより作成)
BTC(ビットコイン)のチャート・価格情報はこちら

上図は、2022/7/1~2022/7/12のBTC/JPY日足Bidチャートにニュースを記載したものである。

上記でも述べたように、7/1に暗号資産ヘッジファンドであるThree Arrows capital(3AC)が米国で破産申請を行った(7/2 Coinpost)。

しかし、市場の反応はマイナスに動くどころか陽線をつけた。これは、上記のニュースに起因するものではなく、節目として意識されるであろう価格(250万円)ラインを割ったことによる一時的な買いによる動きに見える。

BTC/USDでみても19,000ドルを割るタイミングがあったが、そこから20,000ドルまで反発した。その後に調整が入り、250万円付近でのもみ合いに終始した。

7/4には、中国において不正アクセスによって10億人分の個人情報が盗まれ、2,700万円相当のBTCで販売するハッカーが現れたと国内外のメディアが報じた(7/5 Coinpost)。

しかし、7/1と同様に市場の反応はマイナスにはならず、その日は陽線をつけた。

7/6は、暗号資産取引プラットフォームであるVoyager Digitalが、破産申請を行ったことが報道された(7/6 Coinpost)。

Voyager Digitalは、6月末に冒頭に記載した3ACに対して債務不履行通知を発行していた。これまでに15,150BTC(約430億円)と3.5億USDC(約474億円)を融資しており、3ACの破産に伴う連鎖破綻ではないかと考えられる。

7/7は、米株の盛り上がりに連れられてBTCも上昇した。

米金利利上げが続く中で米連邦準備理事会(FRB)が、成長が鈍化すれば利上げを抑制する可能性を示唆したことが理由として挙げられる(7/8 Yahoo!ニュース)。

7/10-7/12間のBTCは前日陰線を描いている。これは米株市場が3日続落しており、それに連れられる形でBTCの安値を切り下げていったと考えられる。

これは、7/13 に米消費者物価指数(CPI)の発表があることから、様子見ムードが強まったと見受けられる。

260万円台を推移しているBTCは今後どのような値動きをするのか、以下で検討する。

今後のビットコインを取り巻く動き

直近でアップデート等の動きは無く、BTC固有のニュースは存在しない。

一方、6/30のマーケットレポート(Daily Market Report 2022/6/30「迫るスタグフレーション懸念、BTC(ビットコイン)はどうなる?」)でも述べたように、ETH(イーサリアム)の大型アップデート「ザ・マージ(The Merge)」など、アルトコイン関連のニュースが散見される。

ETHは7/13時点で時価総額2位の暗号資産であり、大型アップデートの情報によっては市場が動く可能性もあるため、注意しておきたい。

また、米金融政策の動向も視野に入れておきたい。

上記でも述べているが、BTCは米株市場の動きに連れられることが多い。

その米株の値動きには様々な要因があるものの、米金融政策の影響や経済指標の発表などにより大きく値が動くことがある。

例えば、6/30に発表された5月の米個人消費支出(PCE)は、前月比+0.2%と鈍化。年初来で最小にとどまった(6/30 Kabutan)。

変動の激しい燃料や食品などを除いたコアPCE価格指数も、前年比+4.7%と3カ月連続の鈍化で予想も下回っていた。

この時のNASDAQ総合は前日比-1.3%、BTCは前日比-7.84%と値幅は異なるものの同様に下落した。

反対に、上述の通り7/7は米金利利上げが続く中で米連邦準備理事会(FRB)が利上げを抑制する可能性を示唆したことで、期待からかNASDAQ総合は前日比+2.3%、BTCは前日比+6.51%と上昇した。

市場に織り込み済みなリスクや市場で予想されている通りの数値であれば市場は落ち着いて捉えるだろうが、相場に織り込んでいない材料の出現(ネガティブ・ポジティブサプライズ)で市場が大きく動く可能性もある。

7/13に発表された米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で+9.1%と、1981/11以来の大幅な伸びとなった(7/13 ロイター)。

背景に世界的な物価上昇による影響があると考えられ、実質賃金に一段と影響を与えていることを確認できる結果となった。

今回の結果を受けて、米クリーブランド連銀のメスター総裁は、7/26、7/27の連邦公開市場委員会(FOMC)で少なくとも75bpの利上げが必要とされることを示唆する考えを示した(7/14 Bloomberg)。

75bpを上回る利上げを支持するかどうかの明言は下げたものの、一部では100bpの利上げもあるのではないかとの声も上がっている(7/13 Bloomberg)。

これらの影響は市場にどのような影響を与えたのか。

NYダウ平均は-0.67%、NASDAQ総合は-0.15%と主要な米株指標はマイナスで推移したが、大幅なCPIの上昇や、度重なる利上げの示唆にも関わらず下げ幅はそこまで大きくは無かった。

BTCは発表時間である7/13 21時30分に一時的に-6.8%、250万円台まで下落したものの、その後は値を戻しつつ、現在は下値を切り上げ270万円台中盤で推移している。

CPIの結果や100bp利上げの示唆など悪材料がある中、なぜこのような値動きになったのか。

これは、米国景気後退(リセッション)が強まると、同時に金融引き締めも想定されたほど進まないとの見解が広まっているからだと考えられる。

7/13の米株指標は小幅なマイナスで終了したものの、日経平均株価は買い優勢の展開となり、前場はプラス域に達している。

米消費者物価指数(CPI)は一時的に市場に影響を及ぼしたものの、直近では経済指標と景気動向を合わせた見解を持つことが重要だといえよう。

直近の重要経済指標では7/15の21時30分発表予定の6月米小売売上高や、7/21の21時15分発表予定の欧州中央銀行(ECB)政策金利などがあるため、発表時の値動き及びその後の動向には注意が必要だ。

米株指標、とりわけNASDAQ総合はBTCとの相関性が高いとされていることから、米国指標に影響を与えるニュースはBTCにも影響を与える可能性もあるため景気動向には常に注視していきたい。

(7/14 午後12:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

7/13の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は2.07%、中央値は1.90%、標準偏差は1.43%となった。

最大上昇銘柄はETH/JPY5.36%、最大下落銘柄はZPG/JPY-0.18%

最大上昇銘柄のETH/JPYは、米CPIの結果に反応し15万円手前から14万円割れまで下落したものの、為替相場も落ち着きを見せたことから徐々に下値を切り上げた。

米CPI発表前の水準を取り戻したのちは15万円の節目に頭を抑えられ、上昇の勢いは弱まったものの、日通し高値水準でクローズしており、底堅さを感じる値動きである。

最大下落銘柄のZPG/JPYは、100円程度の値幅での振幅となった。こちらも米CPIの結果により下押ししたものの、米国時間にかけて下落幅を取り戻した。その後は7,500円付近で小動きとなり、特段大きな値動きは見られなかった。

24時間ボラティリティ(%)

社内データより作成

7/13の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は7.08%、中央値は7.41%、標準偏差は2.00%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はENJ/JPY9.96%

一方、最もボラティリティの低かった銘柄はZPG/JPY1.86%となった。

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2022-07-14
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