調整を迎えたBTC(ビットコイン)、米経済リセッション入りでの影響は?

Daily Market Report 2022/7/8

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リスク資産との相関性が強いBTC

Tradingview(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
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上図は、今年1月からの各主要資産群とBTCとの値動きの相関関係を比較した表である。

基本的に1に近ければ相関しており、-1に近ければ逆相関していることを示している。

金融資産市場全体では、米中央銀行による金利の引き上げ、資産縮小、さらにはウクライナとロシアの戦争状態による地政学的なリスクと市場にとってはネガティブな要素がいまだ上値を重くしている。

さらに現在、市場参加者の共通認識として、米中央銀行が加熱しすぎたインフレに歯止めをかけるべく、金利上昇に対するバリュエーション調整を実施していることにより、米経済はリセッション(景気後退)入り懸念が広まっており、金融市場参加者にとっては総じてリスクを取る気を失わせる相場展開となっている。

ここで、代表的なリスク資産である原油価格に着目すると、7/5の取引において、1バレル109ドルから97ドルと10.5%以上の下げ幅を記録した。

同じくリスク性の高い暗号資産の代表であるBTCとの相関度は、6月に入ってから0.6と中程度の相関に留まっており、景気後退懸念下でとりわけ原油需要低下が示されたことがわかる。

また、上図相関表から直近6月において、BTCは、S&P500・NYダウ平均株価との相関係数が0.9程度を示しており、いまだリスク資産として市場参加者に認識されていることがわかる。

米景気が後退し金融引き締めがハードランディングすれば当然、市場参加者は投資に回す資金を減らすことになり、株価は下落する。

米株式市場と相関の強いBTCも同じく上値を重たくされてしまう展開が懸念されるか。

過去の景気後退局面との比較

上図は、1980年代から、現在までの過去のリセッション局面から株価(S&P500)下落日数、下落率を比較したものだ。

表を見ると、1980年代のイラン革命を発端とした第二次石油ショックによる景気後退から、直近のコロナショックによる景気後退までの平均株価下落率は-37%ほどである。

コロナショックではBTCも大きく下落しており、該当期間中には高値114.2万円から安値42.4万円と約63%安を記録した。

株式市場での下落率が34%安となったことに対し、BTCはおおよそ2倍の下落率を記録している。

次の株価下落局面でのBTCの下落率を予測する上で、単純に上図の平均株価下落率に2倍を当てはめて考えると、37%×2でBTCは74%安を記録してくる可能性も否定できない。

S&P500では1-6月期に21%安を記録し、上半期での騰落率は1970年以来となっている(Bloomberg 7/1)。

既に株式市場が下落局面に入ったと見られる中、BTCでは年初来高値から50%安となっているため、更に20%ほどの下落余地が残されている可能性もあるといえる。

他方、平均下落日数は437日と1年以上の下落が続く傾向が確認できるが、今回のリセッション入りはリーマンショックやITバブル崩壊ほどのショック規模とは言えないため、多く見積もっても1年前後の景気後退が想像しやすいだろうか。

以上より、今後株式市場が下落を続ける場合には、BTCは年初来高値である、3/28の596万円から、前述で仮定した74%下落した水準である155万円台への下落の可能性と、1年前後にわたるベア相場突入まで見ておくのが保守的な見方といえるかもしれない。

ソフトランディングであれば、価格上昇の可能性も

JPモルガンのストラテジストによると、米経済がリセッション入りする可能性は、85%と高水準であるようだ。

リセッションの可能性への懸念点は多いものの、今回のリセッション入りは災害やバブルの崩壊など自然的に発生したものではなく、人為的に米中央銀行の手によって作り出されたものであるといえるかもしれない

つまり、金利誘導によるコントロールがある程度可能であり、金利引き上げを市場の混乱を招かない程度に慎重に行うことで、米中央銀行が誘導目標としているインフレ率2%にソフトランディング出来る可能性もある。

そうなれば、リスクオフに傾いている市場心理の改善からBTCのベアマーケットが早期に終了し、ブルマーケットに向かう展開も見込めるととれるだろうか。

いずれにせよ、景気後退は起こるのか、起こるとするならばいつからなのか、また出口はどこなのかが、今後の市場にとって課題になってくるといえるだろう。

(7/8 午前6:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

7/7の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は4.10%、中央値は4.41%、標準偏差は1.48%となった。

最大上昇銘柄はETH/JPY6.83%、最小上昇銘柄はTRX/JPY1.87%

最大上昇銘柄のETH/JPYは、長期時間軸の投資家の買戻しの動きがはっきりしており、一時間足目線で大きく買い戻され、先月26日に付けた高値17万円ラインを推移している。

最小上昇銘柄のTRX/JPYは、一時間足直近高値である9.2円のラインを抜けきれず、上げ渋っている状況だとみられるだろうか。

24時間ボラティリティ(%)

社内データより作成

7/7の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は5.70%、中央値は5.57%、標準偏差は1.08%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はXYM/JPY7.63%

一方、最もボラティリティの低かった銘柄はTRX/JPY4.05%となった。

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2022-07-08
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