「異常な円安」はBTC(ビットコイン)の価格に何をもたらすのか。
Daily Market Report 2022/7/6
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・円安は不安材料となるか
2022/3/1には114円台であったUSD/JPYの価格が、2022/7/4には135円台となっており、異常な円安傾向が続いている。
主な要因として、日米の金利差拡大が挙げられる。
これは、記録的なインフレを抑えるため金融引き締めを急ぐ米国の中央銀行と、大規模な金融緩和を続ける日銀の金融政策の方向性が異なっているためである。
年明けにはおよそ1%だった日米の金利差が、今はおよそ3%と3倍に広がっており、より利回りが見込めるドルを買って円を売る動きにつながっているといえるかもしれない。
2022/6/29の外国為替市場では、USD/JPYは一時、137円台まで円安・ドル高が進み、1998年以来、約24年ぶりの円安水準を更新したが、はたしてこの円安はBTC/JPYの価格にどう影響するのだろうか。
円の価値が下がる一方、BTC/JPYの価格は今年に入り、2022/3/28に590万円台の高値をつけてから、急激な値崩れが続いている。
本稿では、円安とBTC/JPYの関係性について検証していく。
TradingView(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
BTC(ビットコイン)のチャート・価格情報はこちら
上図は、2022/1/1~2022/7/4までのBTC/JPYの価格(オレンジ線)と、USD/JPY(青線)のグラフを表示したものである。
グラフを見ると、2022/4以降、円安・ドル高が進むにつれ、BTC/JPYの価格が下落しているのがわかる。
逆相関が強まっているように見受けられることから、円安傾向が弱まることがBTC/JPYの価格維持に寄与していると想定できる。
つまり、ボリュームが大きいドルベースのBTCの価格をメインとすると、円ベースのBTCは円安・ドル高により下落を緩和していることになる。
2022/4以降のBTCは、ドルベースで見ると価格は47,000ドルから足元では18,000ドルまで62%あまり値を下げている。これに対し、円ベースでは600万円から250万円と約58%の下落にとどまっている。
このことは、円安・ドル高が円ベースでのBTCの価格をかさ上げしている部分もあり、ドル円が110円であれば、現状のBTC/JPYの価格は220万円まで沈んでいることになる。
220万円は2018年からの高値水準あり、このレベルでBTC/JPYがサポートされるかどうかの重要なターニングポイントと見ることもできるだろう。
・強まる国内景気回復による、異常な円安の解消
日本銀行発表の短観(https://www.boj.or.jp/statistics/tk/tankan06a.htm/)より当社作成
上図は、日本銀行が2022/7/1に発表した6月の全国企業短期経済観測調査(=短観)より、業況判断指数(DI)を抽出したデータである。
日銀短観とは、日本銀行が年4回(3、6、9、12月)、景気の現状と先行きについて企業に直接アンケート調査をし、その集計結果や分析結果をもとに日本の経済を観測するものである。
一般に、日銀短観は、景気の変化を敏感に映すとされ、政策当局者や市場関係者が注目している統計である。
今回の結果では、円安が原因となり、原材料コストの高止まりが影響したであろう、大企業製造業の業況判断指数(DI)は前回の3月調査から5ポイント悪化し、プラス9となった。
一方で、大企業非製造業では新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き、消費の回復が進んだ背景からか、2期ぶりに改善しプラス13となった。
注目点は、全産業でみた場合の業況判断指数が前回の0から2ポイント上昇していることだ。
日本の景気が良く、日本企業の業績も上向いている場合には、海外投資家においても日本の国債や日本企業の株式を買おうとする動きが活発化する傾向にある。
円で取引される金融商品を保有するために円の需要が高まり、為替相場は円高になりやすい傾向があるとされる。
今後、日本の景気回復が強まり投資先としての魅力が高まることで、円高傾向が進むとしたら、逆相関を描いているBTCの価格上昇も見込めるかもしれない。
ただし、米国をはじめとしたグローバルの景気は、物価上昇のインパクトから消費の減速が見えてきており、米国株式市場はリセッションを織り込む段階となっている。
米国株が下落すると、特にナスダックとの相関が高いBTCは厳しい局面が継続することになる。円高傾向となると、かさ上げされていた円ベースのBTC価格はより下落することになる可能性もあり、注意が必要だ。
最後に、BTC/ JPYの今後の動向について、テクニカル分析を用いてシナリオを考察する。
・強まる割安感。355万円台を目指せるか。
BTC/JPY 日足 Bidチャート(当社取引ツールより作成)
上図は、2022/5/9から現在までのBTC/JPYの日足チャートにRCI(9,終値)を表示したものである。
RCI(順位相関指数)は一般的に相場の過熱感を測り、現在の価格が割安か割高かを判断するときに使われる代表的なテクニカル指標の一つである。
投資家の心理を数値化して、売買のタイミングをとるのに役立てようという考えから生まれたものであり、日付と価格それぞれに順位をつけて両者にどれだけの相関関係があるのかに着目している。
執筆時点では2022/7/2に底値圏からRCIが上昇後、-80%ラインを越えたタイミングとなっており、買のシグナルが出ている状態である。
割安感から買い優勢となった場合、まずは300万円の大台回復となるかに着目したい。
節目を回復することにより、投資家心理も改善されれば、6月中旬の下落を取り戻す様な上昇の動きにつながるかもしれない。
300万円を回復することにより、2022/6/18の安値2,336,826円と2022/7/3の安値2,499,989円を底として、2022/6/26の高値2,941,822円付近をネックラインとしたダブルボトムが成立する。
この場合、上昇のターゲットプライスは355万円台となるため、上昇を目指した値動きとなることも想定したいところか。
(7/5 午後4:00時点)
・銘柄別価格前日比(%)
社内データより作成
7/5の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は0.32%、中央値は-1.10%、標準偏差は3.65%となった。
最大上昇銘柄はBAT/JPYの13.01%、最大下落銘柄はXTZ/JPYの-2.99%。
最大上昇銘柄のBAT/JPYは、今年5月から意識されてきた54円付近のレジスタンスラインをうわ抜け大きく上昇。中期で上昇トレンドを形成している状況だ。
最大下落銘柄のXTZ/JPYは、中長期レベルでは下落トレンド真っ只中であり、足元では中長期下落トレンドの戻り目として、短期レベルでの上昇トレンドを形成しており、戻り売りの勢力が入ってきやすい相場状況であった。そんな中、昨日のXTZ/JPYは短期目線のトレーダーの利益確定の売りが出てきたような状況だろうか。
・24時間ボラティリティ(%)
社内データより作成
7/5の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は8.10%、中央値は7.76%、標準偏差は2.35%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はBAT/JPYで13.20%。
一方、最もボラティリティの低かった銘柄はMONA/JPYで2.61%となった。
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