”氷河”で遠のく大規模アップデート。ETH(イーサリアム)に待ち受ける未来は…

Daily Market Report 2022/6/23

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The Wall Street Journal、CoinMarketCapより当社作成
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現在、株式市場および暗号資産市場に下落の波が押し寄せており、当然この状況はETH(イーサリアム)にとっても同様だ。

まずは、米国の主要株価指数であるナスダック100指数(上図オレンジ線)の終値の推移を見てみよう。

ナスダック100指数は6/16に591日ぶりの安値となる11127.57ポイントを記録した。これは2021/11/19に記録した最高値16,573.34ポイントから約33%下落した数値となった

一方、ETHの価格(上図青線)はナスダック以上に深刻だ。

ETH/USDの6/19に安値896.11ドル、終値は995.25ドルとなった。この終値は2021/1/4以来、531日ぶりとなる価格である。ETH/USDの過去最高値は2021/11/9につけた4,815ドルである事から、たった7カ月の間に約79%もの大幅な下落が生じている

また、当社取扱い銘柄の中でもETHの下落率は他の銘柄に比べ大きくなっている。

CoinMarketCapより当社作成

上図は、時価総額上位40位までの銘柄のうち、当社にて取扱いのある銘柄の6/1(UTC+0)終値を100として指数化したグラフだ(青線=ETH)。

図の通り、全ての銘柄が下落してはいるものの、ETHは6/19には-48.81%となっており、最も下落率が大きい銘柄として推移している事がわかる。

この価格の下落は、暗号資産の中ではETH特有のものなのだろうか。

ここで考えられるのは、「The Merge」アップデートへの期待と、そのアップデートの延期が及ぼした影響である。

The Mergeについて

まずは、今後のETHにとって肝となる、年内実施予定のThe Mergeについておさらいしたい。

昨今のETHと切って切り離せない問題といえば、「スケーラビリティ問題」や環境問題が挙げられるが、The Mergeはこれらの問題への切り口となるアップデートだ。また、このアップデートは過去には「Ethereum2.0※」と呼ばれていた。

(※なお、実際にこのアップデートにより新規暗号資産が発行される事はなく、既存のETHが従来通り使用されるが、詐欺が横行した事から誤認防止のため名称が改められた経緯がある。)

このアップデートが実施されると、トランザクションの合意に大量のCO2を排出する「PoW(プルーフオブワーク)」という手法から、CO2の排出を99%以上抑える「PoS(プルーフオブステーク)」という方法に変更され、Ethereumブロックチェーンで長年の問題となっている高額なガス代(手数料)もある程度軽減されることが見込まれている。

(なお、ガス代の大幅な軽減はThe Mergeの次に予定される「シャードチェーン」アップデートで本格的に行われる予定。)

このように、The MergeはEthereumにおいて過去一番の大型アップデートともいえるが、同時に技術的な事情により、過去にも複数回アップデート予定日が大幅に後ろ倒しとなっている経緯もある。

Gray Glacier”氷河”アップデートによる影響

このように、以前よりアップデートが後ろ倒しとなっているThe Mergeであるが、イーサリアム財団より6/16発表された「Gray Glacier」アップデートによって、またしてもThe Mergeの延期が発表された

イーサリアム財団はディフィカルティボムの期限を延長する事のみを目的としたアップデートを「Glacier(日本語で氷河)」と区分して名付けており、今回の”氷河”アップデートは3度目となる

今回の”氷河”アップデートの効果における簡単な認識としては、PoWの稼働が約3カ月間延長されると同時に、The Mergeアップデートが約3カ月間延期されたと考える事がよいだろう。

イーサリアム財団はThe Mergeは大規模であるからこそ実施に慎重な姿勢を示しているが、さらなる延期を意味するGray Glacier発表の6/16以降、ETHの価格が下落を続けた事は市場の落胆も影響しているかもしれない

Ethereum Foundation Blogより当社作成

一方、過去の氷河アップデートと比較すると、The Mergeまでの道のりが見えてくるだろう。

まず、2020/1/1頃に実施されたMuir GlacierにおけるThe Mergeは、約2年間の延期があったが、その後の Arrow Glacierでは約半年、今回のGray Glacierでは約3カ月と、延期期間は短くなっている。

技術的な前提として、今回の”氷河”アップデート「Grey Glacier」によって先延ばしにされるディフィカルティボムは9月中旬に起爆し、Ethereumブロックチェーンでマイニングが不可能になる事から、The Mergeはそれよりも前に行われることになろう。

これまでと同様に、上述の内容は”氷河”アップデートによってさらなる延期が可能だが、EthereumのテストネットでThe Mergeが成功している事を踏まえると、現時点では最短で9月、遅くとも予定通り年内にメインネットでThe Mergeが実施される可能性が高まったと考えられるだろう

下落するETHに起死回生の道はあるか

ETHの直近の目標は3カ月後に控えるThe Mergeとなるが、一方でこの大型アップデートを除くと現時点での好材料は特にないのが現状だ。

また、ETHの価格に影響を及ぼす事の多いNFTの売買高も奮わない

THE BLOCKより当社作成

上図は、過去1年間におけるNFT週間取引高を低い順に並べたグラフだ(水色=2022/5以降)。

2022/5/15週から2022/6/6週にかけてNFTの取引高は過去1年間の売買高においてワースト4までを独占する状況となっており、その後、6/12週はややNFTの取引高は増加したものの、それでも低い水準である事には変わりなく、絶不調といえる状況だ。

他方で、現在の暗号資産市場は米国の政策金利の引き上げや、それに伴う株式市場の下落、その他にもロシアによるウクライナ侵攻等の影響によって下落相場といえる環境である中、6/18~6/19にETHは1,000ドルを割る水準まで下落したものの、以降は回復の兆しもみられた。

これらの事から、The Mergeの延期や、奮わないNFT市場といった悪材料が重なる状況において1,000ドルという価格がETHの心理的節目の最低ラインとして機能しているのかもしれない

今後、ETHのアップデートに関して好材料が出てきた際には、価格の上昇も考えられるかもしれない。

(6/22 午後3:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

6/22の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は-3.20%、中央値は-1.97%、標準偏差は2.64%となった。

最大上昇銘柄はXYM/JPY3.45%、最大下落銘柄はIOST/JPY-7.53%

最大上昇銘柄のXYM/JPYは一目均衡表(1時間足)雲上限の6.640円でオープン。19日以降、上昇トレンドとなっている。先述の雲上限がレジスタンスとなっているようだ。

最大下落銘柄のIOST/JPYは、1.980円でオープン。昨日22時から24時の13%上昇を1日かけ緩やかに戻した。スローストキャスティクス(14,3,3)の1時間足では売られすぎ水準に到達するも、上位環境である4時間足と日足では50付近に位置しており、方向性が掴めない状況である。

24時間ボラティリティ(%)

社内データより作成

6/22の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は8.25%、中央値は8.93%、標準偏差は2.26%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はIOST/JPY14.12%

一方、最もボラティリティの低かった銘柄はXRP/JPY4.69%となった。

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2022-06-23
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