相場はメルトダウン。リセッションを織り込んだBTC、絶好の押し目買い好機の到来か!?

Daily Market Report 2022/6/20

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BTC vs 暗号資産時価総額

Bloombergより当社作成
BTC(ビットコイン)のチャート・価格情報はこちら

上図は、2021/1/1から現在までのBTC/USDと暗号資産時価総額の価格を比較したグラフである。

2022年の半年が経過したが、暗号資産時価総額とBTC/USDは下落に歯止めがかからない。今月のBTCは節目の30,000ドルを割り込み、ピーク時の67,000ドル台から40%以上の下落。現在、19,000~20,000ドル台までの大幅下落となっていることがわかる。

ドル建て、円建てともに年初来安値を更新することとなり、現在の価格は2021年の年初の価格水準へ後戻りする弱気相場が継続。暗号資産時価総額も、過去最高値である2.97兆ドルから0.8兆ドルと2.17兆ドルの時価総額を喪失、円換算で約290兆円の価値を失う結果となった。

米国のスタグフレーション懸念からリスクアセットの下落が顕著になっているが、暗号資産の下落が加速した要因として、無担保型(アルゴリズム)ステーブルコインのUST(テラUSD)のドルペッグが外れ(デペッグ)、裏付け資産となるLUNA(テラ)の価値が99%安まで下落して売りが売りを呼ぶ信用収縮が加速したことも大きいといえよう。

また、今月に入ると、大手暗号資産レンディングプラットフォームを運営するCelsius Networkが暗号資産市場の大幅下落を理由に暗号資産の引き出し、送金を停止することを発表。

さらには暗号資産大幅下落の影響を受け、シンガポールの大手暗号資産ヘッジファンドであるThree Arrouws Capitalは、ポジションを維持する証拠金不足が発生するマージンコールに応じることができず、債務危機の疑惑が浮上している。

典型的な弱気相場のネガティブな報道が増加傾向にあるが、全ては米国の利上げとテーパリング開始から相場のベアマーケットは避けられなかったと考えられる。

2013年~2014年と類似するマーケットニュース

上図は、2013年から2014年と2021年から現在で暗号資産に生じた重要ニュースを網羅したものである。

2013年から2014年と2021年から現在で共通する点は、マーケットが大量の通貨を供給することを目的とした金融政策の段階的縮小を意味する、テーパリング開始以降の金融引き締め政策が始まっていることである。

2013年のキプロス共和国における金融危機、2021年のエルサルバドルといった新興国が暗号資産を支払手段として利用することを決めた報道や、2013年と2021年のFBIによる暗号資産の取り締まり、2013年、2021年の中国当局による規制など、時系列は異なるが、2021年に生じたトピックはテーパリングを迎えることになる2013年を想起させるものがあろう。

現在の暗号資産市場は2013年の相場サイクルと類似した状況になっていると考えることはできないだろうか。

2014年のMt.Gox閉鎖の様な重大ニュースとして、テラ(LUNA)ショックやCelsius Networkの信用不安などを相場は織り込んでいるが、2014年当時は高値から80%以上下落した価格が底となった。

2014年と比較すると現在の相場は最高値から70%前後で踏みとどまっている。2022年の残りの半年で、2014年2月に起きたMt.Gox閉鎖のように、世界に強く衝撃を与えるニュースが控えている可能性も視野に入れておくことも必要かもしれない。

これからの、暗号資産市場はどうなるのかを確認するために、

・米国金利(米10年金利-米2年金利)
・BTC対数チャート

以上の指標との比較で暗号資産の立ち位置を確認したい。

BTC vs 米10年金利-米2年金利

Bloombergより当社作成

上図は、1988/2/22から現在までの米国10年金利から米国2年金利を差し引き、逆イールドを視覚化したグラフである。
※赤丸、緑丸→逆イールド発生
※赤点線→景気後退期(リセッション)の該当期間

基本的に債券価格は、期間が長くなればなるほど債券償還までの経済状況や物価動向など不確実性が高まるため、不確実性に伴うリスクに見合う利回りが提供され、期間の長い債券の利回りは高くなるのが常である。

しかし、グラフ赤丸の箇所を確認すると、期間の短い債券の利回り(米2年金利)期間の長い債券の利回り(米10年金利)が逆転する逆イールドが発生していることが分かる。

逆イールドは世界景気後退(リセッション)の兆候ともいわれており、直近の逆イールド発生から景気後退に陥った例として以下が挙げられる。

NBER(全米経済研究所)より当社作成

1990年からの過去30年をみると、米国の景気動向の転換点を判定する全米経済研究所(NBER)の発表した景気後退判定の前には逆イールドが発生していることが分かるだろう。

そして2022年は、緑丸の4月と6月に逆イールドが発生している。

コロナショック以降の世界は、際限のない法定通貨発行により資産インフレを生み出した。その結果が世界株価指数やBTCの価値向上に寄与していたが、現在はコロナショックを受けた大規模金融緩和の弊害というインフレ高進に加え、ウクライナ侵攻という地政学的リスクを世界は受け止めなければならず、食品、エネルギー価格高騰という負の影響を家計に与えている。

逆イールドとなる背景として、40年ぶりとなるアメリカのインフレ率を抑え、物価の安定と雇用の最大化を目指すFRB(米連邦準備制度理事会)により金利の引き上げを実施する最中に位置していることがあげられよう。

期間の短い利回りは上昇しやすくなるが、期間の長い利回りは、未来の景気減速を織り込み(将来の利下げ)、上昇しにくい傾向にあるといえるだろう。

Bloombergより当社作成

上図は、2016/1/1から現在までのBTC/USDの価格と米国10年金利から2年金利を差し引き、逆イールドを視覚化したグラフである。
※赤丸→逆イールド発生
※赤点線→景気後退期(リセッション)の該当期間

BTCの価格動向も金利、そして世界景気動向に左右されるのは避けられないようだ。

全米経済研究所(NBER)の発表した最新の景気後退期は、赤枠のコロナショックに該当する期間であるが、BTCは景気後退期間中に10,500ドルから3,800ドルと60%以上下落している。

コロナショック時の景気後退期はわずか2か月であったが、仮にNBERが景気後退の声明を発表したとしても、既に大規模量的緩和と十分すぎる金利引き下げを実施しているため、次の景気後退を支えるための金融政策という弾薬は尽きてしまったようにも思われる。

直近40年間の最長の景気後退期間は、リーマンショック時の18か月である。

BTCの底は、1年以上見えない可能性も考慮する必要がある転換期に突入したといえるかもしれない。

BTC vs 対数チャート

Bloombergより当社作成

上図は、2012/1/1から現在までのBTC/USDの価格を価格換算でなく、変動率で表示した対数グラフである。
※赤丸→押し目買いライン

世界景気動向を振り返ると、ネガティブな環境であることは確からしいが、テクニカル目線で見ると、今のBTCの価格水準は押し目買いに相応しい価格帯に位置している可能性も考えられる。

グラフはBTC/USDの対数チャートに200週移動平均線をプロットしたものであるが、

過去の価格推移で、200週移動平均線抵触時が当時の絶好の押し目買いラインであったことがわかる。2012年から現在までの200週移動平均線に抵触した期間と価格は以下である。

200週移動平均線は上向きが続いており、時代が流れるにつれてBTCの押し目買い価格も上昇してきたことが分かる。

今いる地点が最後の押し目買い価格となるか否か、注目される年となるだろう。

(6/19 午前6:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

6/19の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は8.69%、中央値は9.33%、標準偏差は5.49%となった。

最大上昇銘柄はLTC/JPYの21.25%、最大下落銘柄はTRX/JPYの-0.04%

最大上昇銘柄のLTC/JPYは、一目均衡表の雲下限(4時間足)でオープンし、12時ごろから厚い雲をレジスタンスとしないほどの急騰を見せた。そして、スローストキャスティクス(4時間足)は買われすぎ水準の90をつけ、さらにはデッドクロス直前であるため、勢いは落ち着くかもしれない。

最小上昇銘柄のTRX/JPYは、8.189円でオープンし、1時間で約7%の下落する場面があったものの最終的には8.186円でクローズとなった。スローストキャスティクス(1時間足)は50付近を示し、依然と方向感が見えないようだ。

24時間ボラティリティ(%)

社内データより作成

6/19の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は13.80%、中央値は14.60%、標準偏差は4.72%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はLTC/JPYで23.51%

一方、最もボラティリティの低かった銘柄はMONA/JPYで6.76%となった。

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2022-06-20
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