ETH(イーサリアム)、POSのThe Mergeを織り込む展開から対BTCでも反発なるか
Daily Market Report 2022/6/1
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・NFT関連の熱狂は一旦沈静化か
Trading ViewおよびGoogleTendsより作成(期間2021/1~2022/5 週次データ使用)
ETH(イーサリアム)のチャート・価格情報はこちら
上図は、2021年1月から現在までのETH/BTCの週足終値のラインチャートとGoogleTends(対象:全世界)での「NFT」の検索度合いを示した棒グラフである。
2021年はDeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)が注目を浴び、そのブロックチェーン基盤に主にETHが採用されていることからETHの需要が高まり、ETH高が進行した。
上図では、2021年3月頃や2021年末頃にGoogleTends「NFT」が大きく上昇したところで、ETH/BTCの上昇=ETH高となっていることが読み取れる。(上図 黄色矢印)
しかし、直近ではGoogleTendsでの「NFT」の検索度合いがピークから大きく落ち込み、ETH/BTCは下落=ETH安が進んでおり、NFTに絡んだETHの上昇は落ち着いてきているようだ。
ただし、検索度合いがピークから大きく減少したものの、2022年3月~5月頃は2021年3月頃の急上昇時の水準の7掛け程度の水準(上図 白枠部分)を維持している。
その点に着目すると、単純に興味が失われて検索度合いが落ちただけではなく、いくらか一般的になり安定的な推移となった、と見ることもできるだろう。
とは言え最近では、高額で取引されていたNFTアートなどの価格下落が進んでいることもあり、NFTブームの沈静化に連動したETH価格の下落に対し不安が燻る状況と言えよう。
足元では地政学的リスクや米金融引締などが意識され、一般的にリスク性が強いとされる暗号資産市場全体が落ち込んでおり、NFTブーム一巡による価格下落に過剰に拍車をかけてしまっている可能性もあるだろう。
そのため、市場環境の改善とともに再度NFT界隈が盛り上がりを見せ、ETHが返り咲くと言った可能性も考えられそうだ。
特に2022年内には「The Merge」と呼ばれるETHの大型アップデートが控えており、PoWからPoSへの移行が主な内容となるようだ。
かねてからPoWでは環境負荷が高いと言われており、PoSへの移行による消費エネルギーの大幅削減やセキュリティ面の強化、手数料の改善期待などもあり大型アップデートへの期待感がETHの下支えとなる可能性もあろう。
なお、大型アップデートはこれまで複数回に渡り延期しており、現時点では今年の秋頃となることが予測されている。
現在、アップデートの初めてのリハーサルを迎えている(5/31 CoinPost)が、今後の進捗度合いによっては不安感が燻る局面もありそうで、アップデートに関する情報については常に注目が必要になりそうだ。
最後にテクニカル面でのETH/BTCのシナリオを整理する。
<上昇シナリオ>:半値押し水準がサポートとなり反発へ
ETH/BTC 月足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
上図は、2021年3月から現在までのETH/BTCの月足チャートにおいて、NFTが注目されETH上昇の起点となった、2021年3月の安値(0.0283BTC)から直近の高値である2021年12月の高値(0.0848BTC)に向かってフィボナッチリトレースメントを描画したチャートである。
上昇シナリオは、直近高値からの半値押し水準(0.0566BTC)でサポートされ、反発に向かうシナリオである。
半値押し水準である0.0566BTCは、2021年5月に上抜けして以降のレンジ下限として、長期目線で強いサポートとして機能していることが伺える。
2021年10月には、ヒゲでも下回らずにサポートとなると(上図 白丸)、翌月以降ETH/BTCは上昇し、2021年5月高値を突破すると同12月に0.0848BTCまで上伸している。
今回も同様に半値押し水準がサポートとなれば、反発の値動きが先行する可能性もあるだろう。さらにPOSのThe Mergeのリハーサルも始まったことが伝わっており、ファンダメンタルズが後押しすると上昇速度も速くなるかもしれない。
反発した場合にはまず今年1月に下抜けしてから終値で回復できていない、23.6%押し水準の0.0715BTCを回復するか確認したい。
同水準を上回ることで、下降チャネルライン(上図 白破線)の上抜けに繋がり、2021年12月からの下落相場からの脱却と捉えられるかもしれない。
そうなれば、直近高値である0.0848BTCや節目である0.0900BTCを目指した上昇相場となることを視野に入れておきたい。
<下落シナリオ>:2021年3月の水準への回帰も視野に
ETH/BTC 週足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
上図は、2021年3月から現在までのETH/BTCの週足チャートに一目均衡表を描画したものである。
下落シナリオは、三役逆転が成立し下落が継続するシナリオである。
週足では、
・ローソク足>遅行線
・基準線>転換線
と2点の逆転が発生しており、下落傾向が示唆される状況である。
そして、現在ローソク足は一目均衡表・雲中にしっかり入っている上、雲下限が目前に迫っており、下値拡大に予断を許さない状況と言えそうだ。
執筆時点での雲下限の水準は0.0533BTC付近であるが、先々若干の切り上がりを見せ、6月後半には0.0565BTCと、上昇シナリオで言及した半値押し水準と同水準となる。
従って、一目均衡表・雲下限を明確に下抜けることは、目先のレンジ下限を下方向にブレイクすることと同義となるため、三役逆転の成立と相まって下落に勢いがつくことが想定されるだろう。
もし、2021年5月以降の安値水準である0.0530BTC付近を簡単に下抜けるような下落となる場合には、2021年2月高値水準である0.0443BTCを目指した足早の下落進行に警戒をしたい。
同水準が維持できなければ、2021年3月初めの水準である0.0300BTCを意識した下落相場が続く可能性も出てくるだろう。
(5/31 午後10:00時点)
・銘柄別価格前日比(%)
社内データより作成
5/31の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は0.96%、中央値は0.80%、標準偏差は2.61%となった。
最大上昇銘柄はXLM/JPYの5.61%、最大下落銘柄はXTZ/JPYの-3.67%。
最大上昇銘柄のXLM/JPYは、4連騰となった。
午後2時頃に5/16以来の高値を上抜けたことで、上昇に弾みがついたようだ。
最大下落銘柄のXTZ/JPYは、4日ぶりの反落。
前日は10%を超える大幅高となったことから、加熱感を警戒した一部の市場参加者の利益確定売りに押された模様。
・24時間 ボラティリティ(%)
社内データより作成
5/31の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は6.86%、中央値は7.05%、標準偏差は1.80%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はMONA/JPYで10.71%。
一方、最もボラティリティの低かった銘柄はETH/JPYで4.23%となった。
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