Sell in Mayのそのあとは?BTC(ビットコイン)の動向を探る

Daily Market Report 2022/5/23

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本稿では、BTC/ JPYの今後の動向について、アノマリー(※)とテクニカル分析の両面から値動きを考察する。
※…合理的な説明が難しいものの、経験的に観測できるマーケットの規則性のこと。

株は5月に売れ(Sell in May)の格言に注意

TradingView(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
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上図は、2005年から現在までの米国株式を代表する株価指数であるNYダウ(ダウ・ジョーンズ工業株価平均)の月別騰落率(%)を一覧にした表である。

「Sell in May(株は5月に売れ)」という有名な言葉があるが、過去のデータからは1月や6月の方が5月よりも下落した年が多いことがわかる。

米国株式市場は典型的なベアマーケットに突入したように見えるが、6月は更なる警戒が必要な局面のようだ。

翻って、暗号資産と米国株式の関係はどうなっているのだろうか?

5/20のCoinPostの記事では、「ビットコインと米株市場の30日相関、コロナショック時上回り過去最高の0.9に」との話題があがった。

つまり、米国株式市場とビットコインの値動きは一致度合がかなり高くなっており、6月も米国株が下落するようであると、ビットコインも下値模索となる可能性が高まる。

ビットコインのみならず、暗号資産には他の金融商品と相関関係があまりないとされてきたが、2020年のコロナショック以降、各国で始まった大規模金融緩和の影響により暗号資産市場と株式市場との相関が高まりつつある。

米国の株式市場との相関関係が続くと仮定した場合、5月に売り逃げろ(Sell in May and go away)という格言はビットコインにとっても重要な意味を持つ。

上述のNYダウ月別騰落率では、2005年から2021年までの17年の内、6月の下落は11回となっている。6月に向けて5月の弱気心理が継続するようであると、ビットコインももう一段の下落となる可能性は視野に入れておく必要があるだろう

一方で、「Sell in May(株は5月に売れ)」は5月の売りだけで終わらない。その続きもある。

「Sell in May(株は5月に売れ)」は、1月から5月にかけて米国の株式相場は上昇、6月から下落する傾向があることを意味するが、これに続けて「But remember to come back in September(9月には株価はそこをつける)」という言葉もある。

つまり、6月以降の相場下落は9月には底をつけて収まってくるということである。

相場は上下を試して動くものであり、トレンドもいつかは終わりを迎える。このため、一方的に下落する相場もいつかは上昇することになり、売り心理が極大化している現在の状況は、逆にチャンスと言えなくもないということを、格言が示唆しているのだろう。

次に、BTC/ JPYの今後の動向について、テクニカル分析を用いてシナリオを予想していきたい。

<下落シナリオ>:アノマリーに則り、6月に向け下落を描く

BTC/JPY 日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)

上図は、2021/12/18から現在までのBTC/JPYの日足チャートに単純移動平均線(50日、100日)を表示したものである。

足元では、5/10よりレンジ相場が続いており、320万円から420万円のレンジ内でもみ合う状況となっている。(上図 緑四角)

また、50日移動平均線は下向きとなっており、100日移動平均線は上向きとも下向きとも取れないため、しばらくもみ合い局面が続く可能性もありそうだ。

注目点は、5/20に発生した、50日移動平均線が100日移動平均線を上から下に突き抜けるデッドクロスの存在であろう。

デッドクロスが発生した場合、直近の価格傾向が下向きに転じた売りサインとされるため、市場のリスクオフムードが一段と高まり、一気に価格が下がる可能性も考えらえる。

過去にデッドクロスが発生した2021/12/27を起点とした価格の推移に鑑みると、注意が必要といえるだろう。(上図 白丸)

また、冒頭で記載したように、5月特有のアノマリーにより、6月の売りの優勢に備え、5月に売るという心理が、価格の下落を後押しする可能性にも注意しておきたいところだ。

デッドクロスの発生から、直近安値付近の320万円台で留まれるかに注目したい。ここが漏れてくると更なる下落となる可能性が高く注意が必要だ。

<上昇シナリオ>:売られすぎが意識され、反発上昇を描く

BTC/JPY 日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)

上図は、2021/12/18から現在までのBTC/JPYの日足チャートにスローストキャスティクス(14,3,3)と単純移動平均線(50日、100日)を表示したものである。

3月中旬から下旬にかけて、上昇トレンドを描いていたものの600万円の節目到達とはならず、その後は売り優勢の展開に押され、50日移動平均線を下回る価格推移となった。

現在は320万円から420万円のレンジ内で冴えない値動きを続けている。

上昇シナリオは、BTC/JPYの割安感が意識され、売り優勢から買いへ切り返すシナリオである。

スローストキャスティクスは、Slow%D(上図下部 黄色線)が80%を超えると買われ過ぎ、20%を割り込むと売られ過ぎと判断されるのが一般的であるが、今年に入ってからは、上図白丸部分でSlow%Dが20%を下回っており、買い優勢となった場面が見られた。

また、上記の4つの地点では0~20%で%D(上図下部 水色線)ラインがSlow%D(上図下部 黄色線)を下から上に抜けるゴールデンクロスが発生している。

このゴールデンクロスにより、単なる割安感だけでなく、さらなる強気相場が意識され、価格が上昇した可能性もある。

Slow%Dは現在約30%であり、やや割安感が出ていることと、5/10付近にゴールデンクロスが発生していることから、割安買いの好機と捉え、短期的には価格が反発する可能性も見込めるかもしれない。

「Sell in May(株は5月に売れ)」はあくまでアノマリーである。

米国株式が意外に持ち直し、これに連動してビットコインも反発する可能性はある。

米国インフレのピークアウト、ウクライナ情勢の急な収束など、目が離せない展開が今後も継続しそうだ。

(5/22 午後5:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

5/22の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は4.24%、中央値は3.34%、標準偏差は2.76%となった。

最大上昇銘柄はXEM/JPY11.36%、最小上昇銘柄はMONA/JPY1.41%

最大上昇銘柄のXEM/JPYは、6.6円(ピボットポイント付近)で反発。8.8円(日足一目均衡表・基準線、転換線、日足21日移動平均付近)で引け、日足14日RSIは売られ過ぎ圏(30%以下)を脱出した。

最小上昇銘柄のMONA/JPYは、80.7円と82.6円(ピボットポイントとピボットポイント・R1付近)のせめぎ合いで陽線引け。日足MACD(12,26,9)のシグナルがゴールデンクロスした。

24時間ボラティリティ(%)

社内データより作成

5/22の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は7.94%、中央値は6.39%、標準偏差は6.79%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はXEM/JPY31.93%

一方、最もボラティリティの低かった銘柄はXRP/JPY3.02%となった。

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2022-05-23
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