圧倒的な上昇を見せたXEM(ネム)、反発の要因は?

Daily Market Report 2022/5/18

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XEM急反発の背景に先物取引の影が?


図1


図2
CoinMarketCap (https://coinmarketcap.com/)より当社作成
XEM(ネム)のチャート・価格情報はこちら

上図は、5/12(終値)~5/16(終値)、5/9(始値)~5/12(終値)での当社取り扱い銘柄の騰落率(/JPY)ランキングである。

足元ではアルゴリズム型ステーブルコインである、UST(TerraUSD)が1UST=1ドルの基準値から乖離するディペックが生じ、それに伴い裏付け資産となっていた、LUNA(ルナ)が5/9に50%超の暴落となった。

一連の流れが投資家の不安を大きく煽ると、影響はLUNAに留まらず暗号資産市場から資金が逃避する動きが加速し、5/12にかけて暗号資産市場全体が大幅な下落に見舞われた。

5/13にはLUNAの価値がほぼ0となり、ブロックチェーンの停止が発表されたことで一旦悪材料が出尽くしたと捉えられたのか、BTC(ビットコイン)をはじめとした多くの銘柄で反発の動きが見られた。

ここで、一旦の底となったであろう5/12から直近5/16までの上昇率を上図・図1で確認すると、XEM(ネム)が圧倒的に上昇しており、次点のENJ(エンジンコイン)の約2倍の上昇率となっていることがわかる。

暴落の初動となった5/9始値から、一旦の下げ止まりとなった5/12終値までの各銘柄の下落率を測ると、特に上昇率の高いXEM、ENJ(図1参照)では40%を超える下落率(図2参照)となっており、反発の勢いが他銘柄に比べ大きくなった可能性が挙げられるだろう。

しかし、単純に売り込まれた反動による上昇であれば、XEMだけが突出して上昇していることへの説明とはならず、他の背景が存在すると考えられそうだ。

そこで調査を行うと、XEMの先物取引での出来高と未決済ポジションの急増が確認された。

CoinMarketCap (https://coinmarketcap.com/)より当社作成

上図は、複数の取引所における無期限先物取引の出来高を5/1を基準として増減を表したグラフである。

暗号資産市場全体が混乱した5/9頃から出来高が増加傾向にあり、一旦下げ止まりを見せ、反発に転じた5/13以降に急激に先物取引の出来高が増加していることがわかる。

出来高自体での売買方向の判断は難しいが、足元のXEMの価格動向を加味すると出来高が急増している部分は主に買いでの出来高急増であることが推測できるのではないだろうか。

更に、coinglass.comのデータによると、ある取引所での先物未決済建玉が急増していることに加え、売買比率が買いに傾いていることがデータで示されている。

先物取引における出来高急増の明確な要因は依然不明ではあるものの、取引動向からXEMに関してなんらかの思惑が垣間見れる状況だと言えそうだ。

執筆時点(5/17)で、既に未決済ポジションがピークから概ね半減している状況であるが、足元の雰囲気が改善してくれば、上昇への期待感も高まり、ポジションが増加することも考えられるだろう。

その一方で、短期間で買い建玉が大きく積まれた状況であることが懸念事項であり、再度暗号資産市場への不安感が高まるような事があれば、逆流が起き目先の売り圧力となろう。

今後のXEMの価格動向を考える上で、今回の急反発の一要因と考えられる先物取引で構築されたポジション動向について、目を光らせておく必要があるだろう。

他方で、新たなスーパーノードプログラムが開始されるとの情報(5/16 Twitter@nemofficial)は今後のXEMを下支える一要因となりそうだ。

XEMでは、BTCでのマイニングにあたるハーベストという仕組みが搭載されており、そのハーベストよりも多くの報酬を得ることができる、スーパーノードという仕組みも存在する。

スーパーノードの資格を得るにはいくつか条件があり、その内の一つに約300万XEMを保有するという条件がある。

そのため、新たなスーパーノードプログラムに対し、報酬体系が有利に変化することへの期待が高まれば、XEMを買い集める動きが強まり、実需面で下値が支えられる可能性も考えられることから、公式からの情報発信についても改めて注意を払う必要がありそうだ。

ここで、価格推移に目を移すと、足元では急落からの反発傾向が見られるが、まだ下値不安が消える水準を抜けきっていないと言えるだろう。

そのためまずは直近の下落の勢いを否定することとなる、下落前の安値水準である10円の回復が必要となりそうだ。

節目の10円は、3/31高値(15.46円)を起点とした5/12安値(4.63円)に向かった下落の半値戻し水準でもあり、回復することで参加者に安心感が出始める水準とも言えるだろう。

もし反発が継続し、足元の急落が押し目であったとの認識に変わっていくようであれば、買い遅れた向きによる下支えの可能性もあろう。

その場合は、今年のレンジ上限である15円付近を目指した底堅い展開に変化していくことを想定しておきたいところだ。

最後に、テクニカル面からXEM/JPYの下値の目処を考察する。

週足ダブルトップでの下落維持、奈落の底へ

XEM/JPY 週足Bidチャート(当社取引ツールより作成)

上図は、XEM /JPYの週足チャートにダブルトップ形状(上図 黄色矢印)を図示したものである。

下落シナリオは、2021/11/1週の高値(25.20円)を二番天井と見た、ダブルトップ成立による下落が継続していくシナリオである。

上図において、チャート形状を確認すると2021/11/29週にネックライン(13.86円)を終値で下回ったものの、下げきらず複数回に渡り節目の10円で下値が支えられる格好となった。

しかし、2022/4/4週に再度ネックラインを下回り、下落に勢いがつくと5/9週に10円を割り込み、終値が8.0円と2020/8/10以来の安値水準を遂に下回った。

ネックライン付近が上値抵抗となる格好で再度下落に転じていることから、ダブルトップ成立による下落相場が継続しているとの見方もできようか。

その場合のターゲットプライスは、二番天井からネックラインまでの値幅分、ネックラインから下落した位置が意識されることとなる。

今回であれば、13.86円 -(25.20円 - 13.86円)≒ 2.5円がターゲットプライスとなる。

2020/3/9安値が2.7円となり、その後現在に至るまで3円割れの水準へ到達しておらず、易易と到達する水準ではないと考えられるだろう。

しかし、5/9週に下ヒゲを付けるに留まった、心理的節目である5円をしっかりと下回ることとなれば、ターゲットプライスを目指した動きになる可能性もあり、警戒が必要だと言えるだろう。

(5/17 午後9:00時点)

銘柄別価格前日比 (%)

社内データより作成

5/17の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は2.49%、中央値は2.39%、標準偏差は1.73%となった。

最大上昇銘柄はLTC/JPY6.70%、最大下落銘柄はMONA/JPY-1.55%

最大上昇銘柄のLTC/JPYは、週足や日足レベルの値動きでは、売り込まれている状況だが、中期4時間足、1時間足目線では、ここにきて大きく買い戻されている状況だ。現在は5/13に付けた高値9,500円のラインまで戻して推移している。

最大下落銘柄のMONA/JPYは、一時間足目線で三角持ち合いを形成していたが、下離れ強く売り込まれた。

24時間ボラティリティ(%)

社内データより作成

5/17の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は7.59%、中央値は7.52%、標準偏差は1.57%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はLTC/JPY10.26%。

一方、最もボラティリティの低かった銘柄はETC/JPY5.50%となった。

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2022-05-18
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